【第104回】ライトニン・ホプキンス/シングス・ザ・ブルース
今回はなんだかんだ言いながらも、今回で4枚目となる「ライトニン・ホプキンス」である。聴くたびにそんなに雰囲気は変わらないし、もういいかなと思うのだが、お店で見つけるとついつい購入してしまう。ライトニンさんはたくさんLPがあるから、目に入る機会も多いのだよね。ただ今まで聴いてきたのは再発見後のLPで、今回は再発見前の、いわゆるアーリー・ホプキンスなので、結構違いが楽しめるんじゃないかと思ったりする。
聴いたLPは黒人美女寝そべりジャケットの「シングス・ザ・ブルース」。録音時期は基本1950年前後なのだけれど、若干バラつきがあるようで、特に「ロンサム・ドッグ・ブルース」と「ラスト・アフェア」の2曲は1965年の録音だそうだ。なぜ故こんなに時期がバラけているのかは不明だけれども、言われるまで気がつかないほどに馴染んでいて、違和感は全く感じなかった。こういうところは流石どこまでもライトニンだなぁと感じるのである。
ただこのLP、録音時期のバラつきどころか、最後の「ジャスト・シッティン・ダウン・シンキン」はライトニンさんではない全くの別の人(「ビッグ・ビル・ダットサン」という人らしい)の曲が収録されている。これについても収録理由はわからないが、馴染み過ぎていて言われるまで全く気がつかなかった。情けない話だが、知っていても意識していないと気づけないくらいで、やはりどこまでもライトニンである。
ちなみに「ジョン・リー・フッカー」の「シングス(キング727)」(第5回参照)にも別人(と言っても従兄弟ではある)の「アール・フッカー」の曲がA面B面最後にそれぞれ2曲づつ紛れ込んでいる。こういった適当さもブルースらしいと言えるかもしれない。私の中では「ブルース」の語源は「ブルーな気持ち」の「ブルー」と、「適当」という意味の「ルーズ」が合わさって「ブルーズ」(本場だとブルー"ズ"と発音するらしい)になったのだと勝手に解釈している。私の勝手な解釈なので真に受けないでくださいね。
さて、このLPを聴いた感想だけれど、まず印象に残るのは「バッド・ラック・アンド・トラブル」や「ニーデッド・タイム」といったカントリー調の曲があることだ。このカントリー調の曲がとても穏やかな雰囲気を醸し出していて、今まで聴いてきたライトニンさんにはあまりなかった曲調だったので、とても新鮮に感じた。初期の頃にはこういう曲も演っていたのだねという新しい発見である。
そしてこの穏やかな曲に引っ張られてか、LP全体の印象もライトニンさんにしては、尖り具合が薄まっている感じだ。他の曲はしっかりホプキンスさんのブルースをやっているのだと思うのだけれどね。個人的にはアクの強さもホプキンスさんの魅力だと思っているので、再発見後のホプキンスさんのほうがオススメっちゃあオススメだけど、こういうホプキンスさんも興味深いなと感じた。
今まではホプキンスさんを聴くと、雰囲気もあまり変わらないしもういいかなと思っていたのだけれど、このLPを聴いてみて、もう少しアーリー・ホプキンスさんについて深堀してみたいなと思い始めている。これはホプキンスさんの魅力にハマり始めているということなのだろうか。
といったところで最後に、言われてみれば微かに聴こえる空耳アワーで締めたいと思う。B面6曲目の「ハウス・アポン・ザ・ヒル」という曲、比較的序盤の方になりますが、「とりあえず大阪、色っぽいんいる」と言っているように聴こえます。興味のある方は是非チェケラしてみてください。
比較的
初期のブルース
を聴くんす(ホプキンス)
季語はブルース。
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