【第148回】ちーす、これ、マイ・ソース/WANDS
皆さん、ビックリしませんでしたか。ミポリンこと「中山美穂」さんの訃報。私は思わず「えっ」て声をあげてしまいました。もろ世代だし、まだお若いし、見た目なんか四十代、下手すりゃ三十代だし、体を壊していたわけでもなかったみたいだしで、人間何があるかホントに分からんですね、今を大切に生きないといかん(遠い目)。心よりご冥福をお祈りいたします。
ミポリンさんと言えば、誰もが真っ先に思い浮かべるのが「中山美穂のトキメキハイスクール」である。ディスクシステムで発売された恋愛アドベンチャーゲームだ。「ときめきメモリアル」の原型みたいなものかな。あのミポリンさんと恋愛ができるなんて、こんなの売れないわけがない。私はやったことないけれど。続いて思い浮かぶのが「世界中の誰よりきっと」。「中山美穂&WANDS」の名義で発売された名曲だ。歌詞はミポリンさんと「WANDS」のボーカル「上杉昇」さん、作曲が「織田哲郎」さんと、これまた売れないわけがない。こっちは私、結構聴いた。かなり売れた曲なので、きっと皆さんもご存知でしょう。というわけで今回はWANDSについて書く。
WANDSと言えば、私の場合はやっぱり黄金期の「上杉昇」さん(ボーカル)、「柴崎浩」さん(ギター)、「木村真也」さん(キーボード)のイメージが強い。この3人ってオリジナル・メンバーだと思いがちだけれど、実は違っていて第2期WANDSメンバーなのである。デビュー・アルバム「WANDS」ではキーボードが違う方で、スクウェア・ヘッド(四角い頭)の「大島こうすけ」さんという方。セカンド・アルバム「時の扉」からは木村さんにしれっと変わっていた。これは私の勝手な想像だけれど、大島さんって体育会系って感じのゴリゴリな見た目だったので、WANDSのイメージに合わないってことで木村さんに変えられたんじゃないかと思っている。木村さん見た目シュッとしてるしね。ちなみに現在WANDSは第5期まで進んでいるらしい(なんとギターの柴崎さんが復帰してた)。一度解散(彼らはそれを解体と呼ぶ)しているみたいだが。
ついでにもうひとつトリビア的な話を。WANDSのデビュー・アルバム「WANDS」での上杉さんのクレジット表記は「SHOU UESUGI」となっているのだが、セカンド・アルバム「時の扉」では「Show Wesugi」となっている。そう、「U」を「W」にしれっと変えてきてる。これってバンド名がWANDSだから「W」(上杉)「AND」「S」(柴崎さんも真也さんもSだしね)になってカッコ良くね〜、それに「上杉ショー」みたいになってさらにカッコ良くね〜っていうノリで変えたんじゃないかと、これまた勝手に想像している。
さて、そんなWANDSだけれど、一番売れたアルバムは「時の扉」である。私もこれ結構聴いた。なにせ前述した「世界中の誰よりきっと」(当然上杉さんがボーカルのバージョン)が入っているし、「もっと強く抱きしめたなら」(友人の結婚式の余興で歌った)、「時の扉」(今聴くとちょいダサい)なんてシングル曲、さらには名曲「星のない空の下で」も入っている。こんなの売れないわけがない。WANDSがノリノリの時期なのです。ただ、天邪鬼な私が一番聴いたWANDSのアルバムはこれではなくて、「PIECE OF MY SOUL」という4枚目のアルバムだ。
このアルバムは以前までのWANDSから路線ををガラッと変えてきている。どうやら上杉さん、そもそもがもっと泥臭いロックをやりたかったらしく、今までのWANDSの活動には抵抗があったそうだ。そしてこのアルバムでは好きなことをやらせてもらったようで、かなり泥臭いロックな曲が並んでいる。この方向転換には大抵のWANDSファンは面食らったであろう。実際私の周りでも聴くのをやめたという友人が存在したし。私の方は、このアルバムに先立って発売された「Secret Night」が気に入っていたこともあり、かなり肯定的に受け止めていた。肯定的どころかこれはこれでカッコ良いじゃんって思っていた。それに「世界が終わるまでは」とか「Jumpin' Jack Boy」といったWANDSを代表するシングル曲も入っているし、「Love & Hate」みたいな今までのWANDSの流れを踏襲した名曲もある。上杉さんのやりたかった音楽と、従来のWANDSのイメージの曲とが絶妙なバランスでせめぎ合っている名盤、とまでは言わないけれど、結構楽しめる内容だったと思うんだけどなぁ。
とは言え私もWANDSを楽しめたのはここまで。これ以降上杉さんはさらに自分の音楽を突き詰めていき、「Same Side」「WORST CRIME」をリリース、着実に売り上げを減らしていく。私の方もこの2曲についてはあまりカッコ良いとは思えなくて(今聴いてもあまり良いとは思えていない、印象に残る曲ではあるんだけどね)、WANDSへの興味も薄れていった。そしてさらに自分のやりたい音楽を追求するためか、上杉さん、そして柴崎さんがWANDSを脱退して、新しく「al.ni.co」を結成することになる。柴崎さんも一緒になった経緯はよく分からない。上杉さんに恩があったのか、上杉さんと音が合ったのか。このときどこの新聞かは忘れたけれど、WANDSからの脱退と、これから2人で新しい活動をしますって一面広告に載せていたのを覚えている。
さて、最後に恒例の俳句のお時間ですが、よく遊びにきていただいているあるnoterさんが、少し前に、本当にありがたいことに私の俳句を取り上げてくださいまして、若干ハードルが上がっております。ちょい緊張気味ではありますが、いつも通り詠んでみたいと思います。今回も最後までお付き合いいただきありがとうございました。
俺たちの
音、追わず(WANDS)には
いられない
季語はWANDS。