シナリオライターと劇作家について(花緒)
Online Writers' Clubというズーム演劇を専門に手掛けるライターズクラブを立ち上げて1ヶ月半が経った。ぼちぼち軌道に乗ってきたようにも思うので、折に触れてOWCやそれに纏わる事柄について語っていこうと思う。
OWCの特徴なのだけれど、中の人がシナリオライター系の作家で構成されていることが挙げられる。ズーム演劇はその名の通りCOVID-19により公演できなくなった演劇畑の人たちによって掘り起こされたジャンルであるわけだけれど、実のところ、劇作家だけでなくシナリオライターももっと参戦してくれば良いのにと思う。
劇作家とシナリオライターの境界線はとても曖昧で、戯曲もシナリオも両方書く人は少なくないし、実際OWCの中の人にも戯曲を書く作家は在籍しているが、両者は野球とソフトボールのように似て非なるジャンルのように思える。
ズーム演劇はツイッターで自動再生させようとすると140秒以内におさめる必要があるのだけれど、劇作家的には140秒という尺は相当厳しいのではないかと思う。他方、シナリオライター的には5枚シナリオを書けというだけの話なので、そこまで違和感なく取り組めるはずだ。
倉本聰が「やすらぎの郷」という一話15分の連続ドラマを手掛けることになった際、尺が短すぎないかとインタビューで問われ「15秒のCMの脚本を幾度となく書いたが、1分あれば面白いものが書けるのに!と良く思ったものだった。そのことを思うと15分なんて贅沢すぎる」と回答していてとても印象に残った。
そのインタビュー記事をみて以来、尺が1分だからいい加減なものしか作れないなんて言い訳は出来ないのだと思うようになった。しかし、そういう感性はやはりシナリオライターのものであって、劇作家的には140秒という尺そのものが演劇的ではないと思うのではないだろうか。
そんなわけで、ツイッターで流す類の短いズーム演劇については、シナリオライターの方が親和性が高いと思う。ライター勢ももっとズーム演劇に参入してくればいいのに、と私は内心思っている。