(公開シナリオ)失われた彼女を求めて
オンライン・ライターズクラブを立ち上げて3ヶ月目くらいに書いたシナリオです。今までと作劇上、ちょっと違うことをやっていることもあって、シナリオを公開することにいたしました。
○ズーム画面
勇太と夏美。
同じ道路のズーム背景の前。
勇太、夏美、両者とも右を向いた状態
勇太「夏美、待ってくれよ。俺、反省するから。
俺たち、やり直せるって」
夏美、左を向く。
夏美「なんなの、付き合ってる最中は全然かまっ
てくれなかったのに、今になって、ストー
カーだよ、こういうの」
勇太「夏美、話そう。話せば分かるって」
勇太、夏美の方に近づいていく。
画面から、勇太の体がはみ出した瞬間に、
夏美、ビンタ(効果音重ねる)。
勇太「ってえ」
夏美「もう別れたでしょ。いつまでもこんなこと
してたって、痛い思いするだけだよ」
夏美、画面からアウト(右から)。
勇太、頬を押さえながら前を向く。
勇太「ああ。俺、こんなに夏美のこと好きなのに
…。俺たち、もう終わったんだなあ…。俺、
もう夏美のこと、思い出すことしか出来な
いんだ」
夏美、画面イン。
夏美の背景画面は水族館にチェンジ。
勇太「ああっ。夏美!そうだ、あれは、夏美と初
デートした時だ」
夏美「ちょっとゆう君!さっきから、私の横顔ば
っかり見てるでしょ。ちょっとはお魚も見
なさいよ!」
勇太「だって魚より夏美の方が可愛いし…」
夏美「やめてよ照れる。ゆうくん、きっと幻想だ
よ、でも、夢から冷めないで」
勇太「ああヤバい。どんどん記憶が美化されてい
く。夏美ってあんなに可愛かったんだっけ。
もう俺、夏美のことしか考えられないよ。
夏美」
夏美の背景画面が砂浜にチェンジ。
夏美「誕生日に海に連れきてくれるなんて思わな
かった。毎年、ここで祝ってよ。忘れたら
ペンペンしちゃうぞ、ゆうくん」
勇太「うん。毎年ここで誕生日祝おう夏美。そう
だよ、今年だって…。嗚呼、どうして俺、
今年、夏美と海行かなかったんだろ」
夏美「ねえ、ゆうくん、さっきから何ぶつぶつ言
ってるの?私ここにいるんだから、自分の
世界に入ってないで、早くこっちきて抱き
しめてよ」
夏美、左を向いて手を広げる。
勇太「そうだよな。夏美がそこにいるのに、何言
ってんだ俺。夏美!」
勇太、手を広げ右に進む。
勇太、夏美の方に近づいていく。
画面から、勇太の体がはみ出した瞬間に、
夏美、ビンタ(効果音重ねる)。
勇太「ってえ」
夏美、画面からアウト(右から)。
勇太「どうして夏美…って、あ、そうか、電信棒
にぶつかったのか俺…」
(了)