Vigier Excalibur モデルの紹介とVigier製ギターについて
出会い
【2023年10月7日現在所有中】
私の機材紹介シリーズ第二弾、Vigier Excalibur (エクスカリバー)を紹介します。
Vigier社はフランスにあるギターメーカーで、現在も製造を行っております。
手にしたのは8年前ぐらいです。
その頃はメインとしてIbanezのSV5740Fを使用していました
特別不満があったわけではありませんでしたが、ある時なんとなくこう思ったわけです
「ハイエンドギターほし~~~」
ということで新しいギター探しの旅に出ました。
その時ハイエンドギターについて考えました。色々と解釈はあると思いますが、当時の私はこう結論付けました。
「ハイエンドギターのみを製造している会社をハイエンドとしよう」
進次郎構文みたいになりましたが、この考えはそう間違ってないと思っています。
例えばFender社を考えたときには
Fender製としてCustom→スタンダード→メキシコ製みたいな序列がありますし、さらにFenderブランドの下にはSquierブランドがあります。
ほとんどのメジャーギターメーカーはこの構造なんですが、当時はそのような社会の縮図みたいなギターを使うことに魅力を感じませんでした。
今考えるととんでもない逆張りだったなぁと反省してます。
そんな状況でヤフオクで見つけたのがこのVigier Excalibur モデルになります。
ボディの状態もよくはありませんでしたし、なによりダサいので10万円で落札できました。
そんなこんなでもう8年ぐらいメインギターとして使用してます。Vigier君。
スペック
概要
私のモデルは
・品番→EXG165AV SSP/MM trem
・ネックおよび指板→メイプル(多分)
・ボディ→アルダー(多分)
です。
申し訳ないんですが、このモデル古すぎて全く情報がありません。
ネックと指板に関しては、見た目からしてさすがにメイプルと思われます。
ボディはわかりません。ですがVigierは伝統にアルダーを使用していることからアルダーです多分。
ハードウェア以外のスペックは、おそらく現行スペックと変わらないと思います。
詳細はVigierホームページをご覧ください。
落札した際に、出品者の方から購入証明書を譲って頂きました。
シリアルからしておそらく2001年製です。
ヘッド
ヘッドです。
なんでしょうかこの色は。写真では伝わりずらいですが、現物はもっとダサいです。ラメが雑妙のダサさを引き出してます。
私のモデルには、1弦と2弦のために標準的なストリングスガイドがついています。現行モデルではVigier特注のFlexretainerがセットされています。
また現行はナット⇔ペグ間の共鳴をおさえるスポンジ?のようなものも搭載されています
歴史を感じますね。
ペグはロック式です。
現行もロック式ですので、ここは昔からロック式のようです。
ただ少し緩めのロックです。一度ライブ前に緩んでのに気づかず事故りました。ロック式は意外とこういう罠があったりするので、自分は運んだ後に再度締め付けるようにしています。
指板
指板です。ギターに詳しい後輩にリフレットを依頼した際に、指板の塗装はしなくていいと伝えた結果すごいことになりました。
もう味として受け止めてます。
ネック
Vigierの究極武器がこのネックです
先ほどの正面のダサさから一転してきれいな木目です。20年たつネックなのに、演奏による塗装の剥がれもなく素晴らしいの一点です。
シェイプも抜群によく、細すぎず太すぎずのまさに最高の形です。
そしてこのヘッド付近のネックシェイプ
この造形美。まさに素晴らしいとしか言いようがありません。もちろん演奏性も抜群です。
ネック元です。
Vigier社はネックにカーボンを埋め込む、10/90 Neck Systemを採用しています。緑の部分はカーボンが埋め込まれた後です。また、ネックの黒い線はカーボンが埋め込まれた痕跡になります。
ネックが反らないことが売りのシステムですが、
本当に全く反っていません。
20年物のギターで全く反らないとは、チェックする度本当にいつも驚きます。
今回分解清掃にあたって初めてネックを取り外しましたが、ボディとかなり密着しており取り外すのに躊躇しました。かなり精度の高い加工をされていることがわかります。
ゼロフレット
Vigierは全てのモデルにゼロフレットを採用しています。私のエクスカリバーにももちろん搭載されています。
ただよく弦が当たる部分だけあって消耗が激しいです。現行モデルでは1つの弦ずつフレットが交換できるようなシステムに変更されています。
ボディ
ボディです。
この銀色ラメはなんなんでしょうか。当時流行っていたのでしょうか…
そしてこのピックガードです。こんなメインを主張してくるピックガードがあるのでしょうか。
そして多分ピックガードとマッチングヘッドなんですが、マッチングヘッドって普通ボディ色と合わせることのような…
もしかしたら前オーナーがピックガードを自作されてたのかもしれません。
そしてこのピックガード、強度が弱く至るところが割れています。
いつか丸ごと取り替えることを考えてます。
本ボディは2000年7月に作成されたようです。
中央に裂け目があることから、現在も続いているセンターパート2ピースであると思われます。
ボディ内はシールディング加工されています(多分)。
ボディ裏です。特別なところはありません。ここでも銀色の主張が強いです。
ブリッジはWilkinson by GOTOH VS100Nです。純正でこのブリッジなのかは不明です。古いモデルのためか、ネジを固定するクリアランスがありません。
現行モデルではボールベアリングを活用した、独自のトレモロユニットを搭載しています。
ストラップボタンです。少し小さめのボタンです。
形から見るに、現行の強力なものと同じのようです。
電装系
私の手元に来た際はオリジナルかと思われますが、今は見る影もありません。
まずトーンポッドを削除し、ボリュームポッドをその場所に移動させました。赤白線の見えるところが元々ボリュームポッドがあったところです。
ピックアップは元々DiMarzio のなにかでしたが、最終的にEMGに換装しました。センターピックアップはなしの3wayです。
フロントは85,リアが81Xです。81X君はサウンドハウスで買ったのに正規輸入品のシールが貼られていませんでした。
81Xは81のパッシブみたいなやつという矛盾したセールストークを受けて買いましたが、結構気に入っています。もっと市場で評価されていいピックアップだと思いますが、パッシブさ求めるならダンカンかディマジオ使うよという方が多いのでしょうか。使ってるアーティストが少なく、コマーシャル不足なのも原因でしょうか。
中身の配線です。この画像を見ておかしいと感じた方はEMG検定3級です。
そう、セレクターがソルダーレスじゃないですね。
換装当時、色々シミュレーションしたら、このソルダーレス専用が今のセレクター穴に合わないことがわかったため、通常の3wayスイッチをそのまま採用しました。
EMGの「我々の配線は差し込むだけで楽だよ!」
という優しさを裏切り、コネクターを切って心線を露出させアッセンブルしました。
9V電池はマジックテープで固定しています。
コントロール内が狭そう?すごく狭いです。なんなら気持ち入り切れてないぐらいギリギリです。
ジャックです。タイプはダイレクトジャックで、ステレオにも対応していました。
ということでここでもEMGの優しさを裏切りそのまま結線しました。
ダイレクトジャックを搭載しているギターはあまり見ないような?気もします。現行はロッキングジャックを搭載しています。ベースに搭載されているケースは見ますが、ギターには珍しいですね
以上が私のエクスカリバーの紹介でした。非常に気に入ってるギターです。
あとパッシブからアクティブの変更は一生やらないと決めました。良い子は真似しないでください。
Vigierのこだわり
冒頭でハイエンドギターを購入するきっかけをつづりましたが、皆さんはハイエンドギターを買うとき、またはこれから買うときにどういう考えをお持ちでしょうか?
もちろん正解はありません。ただ99%の人がこう思っているはずです。
「今のギターよりいいものが欲しい」
それはハイエンドを買うだから当然です。そこでこの考えをもう少し掘り下げてみます。
「いいギターとは、今のギターの延長線上にあるものをさしているのか?」
例えば、Fenderメキシコのストラトキャスターを使ってる方がFenderマスタービルダーのストラトを購入したらどうなるでしょう。
・ハードウェア→精度の高い高級品
・木材→厳選され管理が行き届いたものになる
・木材加工→熟練の職人による極上品
・組み上げと仕上げ→熟練の職人による完璧なセットアップ
こうなります。しかしこれは、今のギターの延長線上にあるものです。
「それが難しいからハイエンドなんだろ!!!」
全くもってそうです。はい。
そこで1%の人はもしかしたらこう思うかもしれません
「私は今のギターの進化系が欲しいのか?そうじゃないんじゃないか?」
という方にVigierはおすすめです。
ゼロから書くのは冗長になるので、私が思うことを書きます。
基本的なアピールポイントは、御茶ノ水楽器センター様が書かれたブログが参考になりますのでこちらをご覧ください
10/90 Neck System
Vigierは10/90 Neck Systemといって、ネックにカーボンを仕込むシステムを採用しています。
これがVigierの看板技術です。Vigierは、この技術によりネックが反ることはないのでトラスロッドを搭載しないと明言しています。
カーボンをネックに仕込む技術自体はVigierの特許でもないので、他メーカーも行っています。しかしどのメーカーも保険でトラスロッドを導入しています。
普通そうですよね。いくら頑丈なネックでも、なにかあった時調整できないのは困るじゃないですか。
ましてや、ずっと使うハイエンドとなったら、入れる方がビジネス的にも懸命な判断です。
そこを入れないんです。この思い切りの良さ、果たしてどのメジャーギターメーカーが真似できるのでしょうか。
ネックにトラスロッドが入っていないところで、音は変わらないよといった意見もあります。
私は問いたい
「トラスロッドが入ってないエレキギターを、弾いたことがありますか?」
そもそも、バイオリンやチェロにはトラスロッドがありません。なぜエレキギターだけが、トラスロッド前提の音なのでしょうか。
Vigierはこの技術に大きな誇りをもっています。
ゼロフレット
ゼロフレットも大きな特徴です。ほとんどのギターが現在ゼロフレットを搭載していません。
開放弦だけフレットの当たってない音でいいのでしょうか?
良いか悪いか、それはだれにもわかりません。
少なくともVigierは、「開放弦もフレットの質感を与えるべき」という観点でゼロフレットを採用しています。
終わりに
いいギターメーカーとはなんでしょうか。
・ブランド
・えぐい木目
・最新のパーツ
・貴重な木材
正解はないと思います。ただこれだけは言わせてください
「そのギターメーカー、こだわりはどこですか?」
こだわりを感じられるギターメーカーはきっと、情熱があります。情熱はなににも代えがたい最高の技術です。
情熱を感じるギターに出会えますように。
余談
エクスカリバーの名前は、
「まるで石の封印から解き放たれたーーー聖剣ーーー」
というインスピレーションからつけられたようです。ダサい
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