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プラ新法施行で注目される生分解プラ?

2022年4月に「プラスチック資源循環法」が施行され、コンビニやカフェなどのカトラリー(ナイフやフォーク、スプーンなど)、ホテルのアメニティ、クリーニング店のハンガーなど、無償で大量に提供されるプラスチック製品を削減する取り組みが不十分な企業などは勧告・公表・命令の対象となり、従わない場合は50万円以下の罰金が科されることになった。そのため、環境にやさしいとされる生分解性プラスチックなどが注目されている。

化学メーカーのカネカが開発したGreen Planetは、植物油を原料に微生物によって生産されるバイオマスポリマー・PHBHで、土の中だけでなく海水中でも生分解(微生物が有機化合物を水や二酸化炭素に分解する)されるという特徴を持ち、ファミリーマートや平和堂のスプーン、セブンイレブンや伊藤園のストロー、JALUXのショッピングバッグ、東急ホテルズの歯ブラシなど、さまざまな企業で採用されている。カネカは、2019年12月から年間5千トン規模の実証プラントでポリマーを生産してきたが、2022年秋からは原料に廃棄油を使う実証試験を始める。また、兵庫県の工場に約150億円を投じて、2024年までに生産能力を年間2万トンに増強。さらに、2030年には生産量を10万~20万トンへ拡大する計画を進めている。現在、Green Planetは植物油を原料にしているが、二酸化炭素と水素から生産するための水素酸化細菌の開発を計画している。

三菱ケミカルはタイのバンコクにあるPTTGC社と、折半出資子会社のPTT MCC Biochem社を設立し、石油化学製品製造で培われたプロセス技術と保有する特許群をライセンス。PTT MCC Biochem社は2017年に、植物由来のコハク酸と1,4ブタンジオールからなるBioPBSの商業生産を開始した。ポリブチレンサクシネート(PBS)は、自然界の土壌中に生息する微生物の力で水と二酸化炭素に分解される生分解性プラスチックで、高い耐熱性を持ち、繊維などとの相溶性も高いという特徴を有している。BioPBSは、2016年1月にアメリカ食品医薬品局(FDA)の食品接触物質の届出制度(FCN)に関する認証を取得し、使い捨て食器や紙コップ、ガスバリア包材などの食品包装材用途で使用されている。また、BioPBSを使用したコンパウンド樹脂・FORZEAS(フォゼアス)は、用途に合わせた多様なグレードが生産され、カトラリーの製造会社などに供給されている。

製紙最大手の王子ホールディングスは、2025年を目処に木材を原料とするプラスチックの量産を始める。一般的なバイオマスプラスチックは主にサトウキビやトウモロコシなどの可食原料から製造されるが、王子グループHDでは食料と競合することのない非可食である樹木由来のパルプを原料としたプラスチックの開発を進めている。パルプを原料としたポリ乳酸、ポリエチレンの開発事業は、環境省の委託事業である「令和元年度脱炭素社会を支えるプラスチック等資源循環システム構築実証事業」に採択。双日プラネット株式会社の販売網を活用し、本実証事業で製造したバイオプラスチックの利用・リサイクルのしやすさの確認、環境負荷の評価マーケティングなどを行う。双日は2012年から、ブラジルのBraskem社が製造するグリーンポリエチレン(サトウキビ由来)の販売・普及活動を進めている。

※ 見出し画像にはPixabayのフリー素材を利用しています。

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