「かっこ悪くてもいいよ」──『野心のすすめ』から見る野心をカタチにするための最短距離
初めてのことに挑戦するとき、思い切って新しい世界に踏み出せない自分がいる。
上手にできるか分からなくて、簡単なことに失敗してしまうのが怖くて、周りの人の目に自分の姿がダサく映らないか心配で、躊躇してしまうのだ。
そんなときに「ボン!」と勢いよく背中を押してくれるこの本。
林真理子さんの『野心のすすめ』。
私みたいに、周りの目が気になってスタートをなかなか切れない人こそ読んでほしい一冊だ。
この本を読んでから、「かっこ悪くても、走り出してしまえば成長できるからOK!」と思えるようになった。
「健全な」野心とはなんぞや
「野心」と聞くと、メラメラギラギラ燃えたぎっているようなイメージが頭に浮かんできてしまう。今回選んだ本『野心のすすめ』はタイトルから、私とは縁遠い世界の人たちの話なのかと率直に思った。
でもこの本をオススメしていたのは、「野心」とは似つかわしくない、あの弘中綾香アナ。可憐でピュアな見た目とは裏腹に、一体彼女にはどんな野心があるのだろうと気になって私も手に取ってみた。
林真理子さんのエッセイ『野心のすすめ』では、健全な野心を持つことが大切だと説いている。野心は野心でも、「健全な」野心であることがポイント。
野心が車の「前輪」だとすると、努力は「後輪」。前輪と後輪のどちらかだけでは、車は進んで行けない。野心と努力、両方のバランスがうまく取れて進んでいるときこそ、健全な野心といえるそうだ。なるほど納得。確かに野心だけあっても、それを形にできなかったら少し残念だ。
「努力」している姿ってかっこいい?かっこ悪い?
この本を読んでいると、グサッと刺さる言葉がいくつも出てくる。
林真理子さんの言葉はド正論すぎて、何も言えない。でも、それ以上に背中を押してくれる言葉がたくさん散りばめられている。
中でも私が好きな一節はこれだ。
若いうちの失敗ならまだよいが、年を重ねるうちに失敗をすることがだんだん怖くなってきたように思う。「いい年なのに、こんなことも知らないんだ」と思われるのが恥ずかしくて、思い切ってチャレンジするのを躊躇ってしまう。
でもよく考えたら、老若男女誰でも初めての分野においては初心者なのだ。「えいっ!」と飛び込まないと、力がつくはずはない。ぐちぐち言い訳を並べる前に、かっこ悪くても努力をしてしまおうということだ。
30才、社会人8年目の私、新卒1年目の子と同じ勉強をしていた
ちょっとここで私の話を聞いてほしい。
29才のとき、私は前職で望まぬ部署に突然異動となった。それまでの業務内容とはガラリと変わり、今までの仕事の仕方が通用しなくなってしまった。とても苦しい時期だったのをよく覚えている。
なんとか期待に応えようと、自分の仕事を最低限こなすべく、勉強することにした。社会人8年目なのに、入社1年目向けの本を読んだり、名刺交換のマナーを今更ながら会得したりした。
そして数か月後、新卒の女の子が同じ部署に後輩として配属された。その子が優秀ということもあって、自分が新卒1年目の後輩と同じ立場で仕事しているのが情けなかったし悔しかった。上司にも泣きながら「私は仕事ができない」と訴えたり、精神的に自分を追い込んでしまって休みがちになったり。今振り返ると、当時は相当に参っていた。
きっと周りの人の目には、私の姿は非常にかっこ悪く映っただろう。でも、そんな私を見捨てずに、前職の同僚は今でもご飯に誘い、「いつでも戻ってきていいよ」と言ってくれる。そんな風に認めてくれるのは、きっと私ががむしゃらに頑張っていたからなのではないか、と思うのだ。
林真理子さんはその状態を「走っている不幸」と表現している。
かっこ悪い自分でも会社の人に応援してもらえたのは、私にも明るい爽快感があったからなのかもしれない。
なんとか仕事に追いつけるように、途中で私は開き直ることにした。アラサーだけど、私はこの仕事では1年目の初心者なんだ。足りない知識を積極的に取り入れるようにしたり、自分でもできる仕事には手を挙げて取り組んだりもした。とても苦しかったけど、初めて「仕事って楽しい!」と思えた時期だった。
ここで踏ん張った1年は、今の自分の力になっていると思う。結果、やりたいことも見つけられて、胸を張ることができた1年だった。
まさにこの本の言葉通りだ。
「かっこ悪くてもいいじゃん!」と勇気づけてくれる本
私の野心に見合う努力は、一体どれくらい必要だろうか。前輪はだいぶ重くて大きいから、前に進むためには後輪も立派にしなくてはいけない。
現在、私はVTuber準備中の身。動画の出来も、サムネイルのクオリティーも低すぎて、まだまだかっこ悪く見えるかもしれない。でもきっと、ぶつかればぶつかるほど自分の力になって、いつの間にか大きな後輪になれるはずだと信じている。
かっこ悪くても、止まらずに走り出してしまえばいいのだ。
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