山田「ダダこだまはお笑いじゃなくてラッパーになろうとしてて」
山田・写真真ん中 駒澤大学お笑い集団ナイフとフォーク所属。伝書鳩のリーダーを標榜する男。
原薗・写真左 駒澤大学お笑い集団ナイフとフォーク所属。破天荒でありたいと思っている。
ダダこだま・写真右 駒澤大学お笑い集団ナイフとフォーク所属。色黒。表記はダダとする。
渡邉・筆者 帝京大学お笑いサークルア☆テンション所属。伝書鳩に緊張したのか目がキマっていた。
小林・撮影者 STRIP GUN CLUB所属。ベースがやはり弾けるらしい。
同級生トリオ
渡邉 そもそも３人の出会いは高校だっけ？クラス？
山田 そもそもダダこだまは野球部で、高１からもう一人、主旋律っていう同じナイフとフォークの山崎ってやつとダダこだまと山田で仲良くて、高２で同じクラスになったんですよ。原薗もサッカー部で一緒で仲良くなって、卒業して、「じゃあ大学でお笑いサークルで頑張ろう」って。
渡邉 じゃあ当時からお笑い的なことはやってたの？
原薗 当時は…いや…「してなかった」って言いたい…。やってなかったことにさせてください。
山田 クラス15人で集団コントやって…。
原薗 本当にみんな仲良くて、「みんなでコントやろう」って。
山田 それこそ中野117っていうナイフとフォークの同期も同じクラスだったんですけど、そんなやつもいたりして。文化祭でクラスでコントやって、10分間一笑いも起きず（笑）。
ダダ クラスの女の子みんな見に来てくれたのに（笑）。
山田 教室のお化け屋敷停止させてまでみんな観に来てくれたのに。
ダダ 「同じクラスTシャツで恥ずかしかった」って言われたもんな（笑）。
渡邉 なんでそもそもナイフとフォークのメンバーそんなにいるの？
山田 話すと長くなるんですけど、お笑いはまあみんな好きだったんですけど。最初はがくとが「プロのお笑い芸人になろう」って俺のこと誘ってきたんですよ。同じ自動車学校に二人で通ってて、高３の冬の１月に、河川敷でおでん食ってたんですよ。そしたら、おでんの汁を飲み干して（残り汁を）シャッと切って、「お笑いやろうぜ」（笑）。
原薗 殺すからな本当に。
（一同笑い）
渡邉 話盛ってる訳じゃないよね？（笑）
山田 本当に盛ってないんです。
原薗 いや事実なんですけど、"シャッ"はやってないと思います。
山田 高3のときに誘われて、「じゃあ漫才やろうか」ってことで大学1年のときにイチハチ（原薗、山田）っていうコンビでＭ−１に出たんです。
渡邉 伝書鳩より先にイチハチやってたんだ。
ダダ イチハチより先に豆ヨーグルトがあります。
渡邉 豆ヨーグルト？（笑）
ダダ 僕と山田が高2ぐらいの時にM-1に出たコンビです（笑）。
山田 高2の時に出たんですけど、それは本当に記念受験っていうか、あるじゃないですかそういうの。でも大学入るときにダダこだまはお笑いじゃなくてラッパーになろうとしてて。
ダダ これは本当にそうなんです。
山田 Macbookで音作るとかやってて。
ダダ いや、本当に渋谷のそこらへんにクラブみたいなのがあって。
渡邉 高校生でクラブ行ってたの？
ダダ いや、クラブと言っても"よくない"意味のクラブではなくて、ちゃんとバーとhiphop色がある方の…
山田 いや"よくない"わけじゃないから。狂った感じのクラブが悪い訳ではないから。
ダダ いや良くないんですよ。俺が一番良くないと思ってるのは、結局最終的にエッチがしたいだけなんですよ。エッチをクラブで覆ってるっていう…ここが、ダサい。
山田 そういう意味でダサいと？
ダダ それなら風俗とかに行けばいいのにって。
渡邉 エッチの土台に音楽が使われてるのが許せない？
ダダ 許せない！
山田 ダダこだまはラッパーを目指してたから（自分たちとは）別だなと思ってたら、大学一年の12月の暮に3人でたまたま飲むことがあって、そしたらこいつ（ダダこだま）が「お笑いしてーよ！」って。
ダダ （ラッパーになるのが）無理だと思ったんですよね。
渡邉 ラッパーはそもそもどこまで挑戦したの？
ダダ ラッパーは…そもそも…怖い。
渡邉 え？スタートラインの時点で？（笑）
ダダ 人が怖くて、そもそも敷居が高いんですよ、最初は「こんなんで怖がっちゃだめだ」と思ってたんですけど、入れ墨の人とかいるし、大麻の話とかしてるし。
山田 やっぱりクラブ悪いじゃねえかよ。
ダダ 大麻を音楽で覆ってる（笑）。お笑いはそもそも好きだったんですよ。元々ラッパーやろうってなったときも、お笑いと音楽の二択だったんです。で、すぐ（ラッパーは）無理だ！ってなってお笑いに来たっていう。
山田 それで（お笑いに）入れてくれって言われて、じゃあお笑いサークルがあるだろうから探して、連絡して、1月ぐらいにナイフとフォークにDMしたら…断られて（笑）。
渡邉 えー！？
山田 「活動見学させてください」って言ったら「今活動してないので、見学させるわけにはいきません」って言われて（笑）。Twitter見てたら3月ぐらいに僕らの3個上の先輩が卒業ライブするって言ってて、「活動してる！！」と思ってまたDMし直したら「分かりました。入っていいですよ」って、2年に上がる直前にナイフとフォーク所属になって、会った事もない先輩の卒業ライブに出ました。
渡邉 いきなり卒ライに出たんだ（笑）。
山田 全然組数がいなかったので（笑）。最初は本当に3人でアイデア持ち寄って、3人で作ってくっていう。『取り調べ』のネタでした。
渡邉 手応え的にはどうだった？
山田 どれくらいがウケてて滑ってるのか分かんないじゃないですか。先輩達には「凄いな〜初めてで」って言われて、そのネタでそのままガクコメ出たら5位でした。
渡邉 ネタ見せとかなかったの？
原薗 ネタ見せは…カラオケで練習を一回…。
山田 卒ライの三日前ぐらいにあって。
ダダ 先輩と初めて会ったのがカラオケです。
山田 3人くらい先輩がいて、「やってみ？」「いいじゃん」って、ここがどうとか言われる訳じゃなくて。
ダダ 「これをあと三年間続けるんだ」って思ったよね（笑）。
原薗 でも先輩は優しかったです、凄く。
ネタ見せで無双する中野117
渡邉 ナイフとフォークって色々知られてないところあるよね。
山田 2個上が一組もいなくて、一個上が片親ズっていうコンビがいるんですけど。第一回の同期ライブって大体どのサークルも呼ばれるじゃないですか、ナイフとフォークだけ枠無くて…。
渡邉 ナイフとフォーク自体はあんまり活動ないの？
原薗 当時は無かったですね〜。
山田 ダダこだまが今会長なんですけど、大2の秋に会長になってからは一応毎週集まってネタ見せしたり、遊んだり。
渡邉 ナイフとフォークって何人くらいいるの？
ダダ 1年生がいっぱい入ってきて。組数で言ったら1年生と2,3,4年生が1:1ぐらいで。
山田 みんなやる気あるしね。
ダダ だから毎週、ネタ見せって言っても…ナイフとフォークは…なんて言うんすかね？ネタ見せは「笑うだけの時間」なんすよ。
原薗 本当に「ネタ見せ」なんです。
（一同笑い）
渡邉 コメントとかないの？（笑）
ダダ 一応やるんすけど、「よかったね〜（笑）」みたいな。これをこっからどうこうしようっていう会議では全くないです。
山田 それこそHIKIGANEのネタ見せ凄かったよね。
ダダ そうそう！
山田 怖かったよね。
ダダ こんなに人のネタって悪く言っていいんだ（笑）。
山田 ネタ見せの講評も殺伐としてるじゃないですか。2個上の【某学生芸人OB】も怒られてるし…。こんな感じなんだネタ見せって。俺ら「面白いね」しか言われたことなかったので。
渡邉 その空気は変えようとはしてるの？（笑）
山田 「変えよう」とはしてるんですけど、いざ後輩のネタを見ても、「変えるところが一個も無い！」。結果今年もね、ナイフとフォークは（芸会得票率）0%が7組くらい。
渡邉 ダダこだま会長としてはどうなの？
ダダ これは誠に遺憾なことです。
（一同笑い）
ダダ 本当にうちのネタ見せで毎回イチウケを取るのは中野117なんですけど、今年中野117が0%を取ってしまって。
山田 1年生とかびっくりしてるだろうね。
渡邉 カリスマなんだ（笑）。
山田 中野117が「敗復行きたい」って言い出して。
ダダ 「ブロックもいいぞ！」って（笑）。
山田 だから「井の中の蛙集団」なんです（笑）。
渡邉 今後こういうサークルにしようとかあるの？
ダダ やる気はあるんです。ネタ見せもネタを見せようというやる気はあるんです。
山田 ダダこだまが主導でやってて、「ここはこうだよ」って言ってあげたらいいのに何も言わないからみんな自信持ってライブ出て落ち込んで帰って来ます。
渡邉 誰かネタ見せをピリつかせる人はいないの？
山田 みんな分かってはいるんすよ。ネタ見せの空気が良くないって（笑）。けどウケ過ぎてて（笑）。ただ中野117は僕らまで笑っちゃうので（笑）。
ダダ 『爆発骨折』っていうネタがありまして。
山田 あと処女作で『モーニングルーティーン』っていうネタがあるんですけど、それがネタ見せで爆ウケなんですよ。
破天荒がくと
渡邉 本格的に活動始めたのは2年から？
山田 大学2年で活動始めたんですけど、芸会エントリーミスっちゃって。
渡邉 初めて結果残したなと感じたのは？
山田 多分ガクコメで3回ぐらい連続で1位になれて、同期ライブに呼ばれて同期ライブでも1位になれて、その流れでじゃないですけどガチプロ準優勝したって感じですかね。
渡邉 その時はどういう感じでネタ作ってたの？
山田 3人で持ち寄ってアイデア練ってって感じですかね。
渡邉 他のコンビの分析とかした？
原薗 いや〜あんまり？
山田 近い芸風の人達がいないってのもあるんですけどね。
渡邉 本当に自分達が面白いと思うことをやってたって感じなのね。
山田 そうですね。
渡邉 それで言うと3人のお笑いのルーツは何なの？
原薗 僕は無いです。
ダダ お前が誰に憧れてるとかないの？
原薗 憧れは…とんねるず。お笑いってより、バラエティで好き勝手やってる人達がかっこいいなと思って、「それになるにはお笑い芸人だ」って。ネタとかじゃないですね〜。
山田 僕は、マジで、小学校の頃から見てる『LIFE !』っていうコント番組がずーーっと好きで。
ダダ 僕も本当にコントが好きで。ジャルジャルとか、真逆ですけど、かもめんたるとか。その2強ですね。
渡邉 がくともお笑い始めたらネタとか見るようになった？
原薗 も、もちろん（笑）。実は学生芸人のライブとか出て袖で一番見てるのは僕です。
渡邉 勉強してるんだ。
原薗 いや…僕は楽屋とかで知らない人と喋るのは…あんまりで…。
山田 いやいや、勉強のためでしょ？（笑）
渡邉 3人で一番喋るのは？
ダダ ダントツで山田ですね。
山田 僕がそういう性格なのもあるんですけど。始めた当初、金髪坊主（原薗）とマンバン（ダダこだま）と僕で。今もあるんですけど「怖い」って思われることがあるんですよ、伝書鳩が。「イケイケ集団に見える」って言われることがあって。こいつ（原薗）は基本無言だし、ダダこだまは口数少なくて見た目怖い。最初は意識して僕が喋んないと「伝書鳩尖ってる」って思われるので。今は同期とも仲良くなってみんな話してるんですけどね。
渡邉 二人は尖ってることないんでしょ？
ダダ 僕はもう話しかけて頂ければ…。
山田 でもダダこだまは話しかけられやすい。
ダダ そうですね、僕が圧倒的に同期から話しかけられるようになったのは学生R-1で0%取ってから（笑）。「コイツは舐めてもいいやつなんだ」って。
渡邉 がくとは今他の同期と喋れてるの？
原薗 僕は人見知りとかじゃないんですよ。
山田 お笑いの知識がなさすぎて、他の同期と喋ってる時に知らない若手芸人の名前とかが出てついていけなくなるのが怖いから。
原薗 それもそうなんですけど。僕ってただふざけてるだけで何も考えてないんで。（学生芸人は）すっごい考えてる人達って思ってるんで、適当に喋って「あ、こいつ浅いやつだ」って思われるぐらいなら、黙って尖ってるやつと思われる方がいい。
ダダ ダセェ（笑）。
山田 （原薗は）本当に浅いやつでもあるんですけど、普段からとんねるずに憧れてて普段から破天荒なことするやつで。
渡邉 破天荒なん？（笑）
山田 友達と話してる時も体張ったボケとかしたり普段からちょけるやつではあるんですけど、「浅いやつって思われたくない」って言ってたじゃないですか。やっぱり嫌われたくないのか全然喋んないんです（笑）。
原薗 今頑張ってるところではあります。
山田 破天荒だから（笑）。
渡邉 どんな破天荒？
山田 友達を笑わせるためだったら手段を選ばれないというか。分かりやすいところで言ったら川に飛び込んだり。
原薗 だっていきなり川飛び込んだら面白いじゃないですか。
山田 川があれば平場強いかも（笑）。
（一同笑い）
渡邉 なんで川飛び込んじゃうん？
原薗 もう川が見えたらいつ飛び込もうか考えちゃいます。
ダダ エンターテイナーだな。
渡邉 いいように言うな（笑）。
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