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ギュインギュイン「売れた後に固有名詞使いまくってる人が楽しそうだから、そうなりたい」

ギュインギュイン:写真・早稲田大学お笑い工房LUDO所属。4年生。

北海道からお笑いサークルへ

――自己紹介をお願いします。
ギュインギュイン 早稲田大学お笑い工房LUDO、4年の中本です。
――お笑いを始めたきっかけを教えてください。
ギュインギュイン 高校3年生の時に受験勉強が嫌すぎて、ずっとTwitter(現X)を見てたら、M-1の3回戦の動画があって、それまでずっと野球やってたから(お笑いを)知らなかったんだよね。それ見たら、お笑い面白いじゃんって思って、札幌の映画館でライブやってたから、友達誘った。そこで自分もやってこうって意識が芽生えたな。
――NOROSHIでやったネタ「欽ちゃん」で使った動画はいつのものですか?
ギュインギュイン 欽ちゃんの動画はね、浪人時代かな。素材に保存した時期が2020年って書いてあったから。浪人したけど勉強が身に入んなくて、その時期にネタツイとか見てたら、それが流れてきた。ずっとそれまで使ってなかったのを、NOROSHIで使えたっていう、熱い話(笑)
――学生お笑いはどのようなきっかけで始めましたか?
ギュインギュイン 浪人してる時、19歳でまだ北海道いたんだよね。お笑いやりたかったから入るなら東京の大学だなって。最初、寄席研(早稲田大学寄席演芸研究会)入ってたけど、オールブルーあぶこ(同志社大学喜劇研究会・OB)さんに無理やりLUDO入れられた(笑)
――寄席研に入ったきっかけを教えてください。
ギュインギュイン 最初、お笑いサークルについて結構下調べをしてた。どういうものがあるのか調べてて、LUDOはちょっと明るすぎるかなって…。勝手に、O-keis(慶應義塾大学お笑い道場O-keis)とIOK(一橋大学お笑いサークルIOK)はインカレじゃないと思ってて、入れないと思ってたの。木曜会(明治大学お笑いサークル木曜会Z)はインカレっぽかったから聞いてみたら「今年から(他大の人の入部は)ダメです」みたいな感じ。
それで、入部断られたその日に(寄席研の)「明日新歓ライブやります」ツイートが流れてきた。寄席研は知ってたし、 YouTubeで動画見てたし、シャララとかキックの鬼とか、マタンゴ(いずれも早稲田大学寄席演芸研究会・OB)とか好きだったから行ってみようと思って、観に行って…。そのまま新歓行ったな。寄席研ではね、最初高校の同級生と入って、1年ぐらいやってたけど解散したタイミングで1人入ってきたから、爆速!選挙カーを組んで、その後に都立を組んだ。寄席研は外ライブに出て行くサークルじゃないから、最初の2年半ぐらいは出て行く気なかったな。

【北海道から上京当時、しばらくホテル暮らしをしていた時の苦労を語るギュインギュインさん】

オールブルーあぶこの助言

――オールブルーあぶこさんとの出会いから、サークル外のライブに出るきっかけを教えてください。
ギュインギュイン ハタブ(同志社大学喜劇研究会・OB)さんとファイヤー金メダルJAPANしゅんだい(同志社大学喜劇研究会・OB)さんがめっちゃ面白いって言ってくれた。その2人があぶこさんに動画見せてくれて、っていう感じだったな。喜劇と寄席研が毎年対決ライブ(早同戦)を2回やってて、最初の7月の対決ライブで、都立で出たら良い順位取れた。ドルフィンみさきに勝ったりもしたな。それが最初。1年の時の早同戦でめっちゃスベって、肩身狭い思いしたけど、こういう場でウケるだけでこんなに評価って変わるんだっていう。それがめっちゃ気持ちよくて、外に出ていった方が楽しいのかなっていうのがちょっと芽生えた。
――LUDOに入るきっかけを教えてください。
ギュインギュイン 11月ぐらいにあぶこさんからLINEをもらったのがきっかけ。喜劇研究会と対決ライブをやった時に、今YouTubeにあがってる都立の漫才のネタをやったんだけど、あぶこさんが多分それを見てくれてた。都立で3月くらいまでやってたけど、外のライブで大学お笑いのきらびやかな部分にちょっと触れたから、外でやりたいなって思いが出てきたんだよね。そこで、あぶこさんに相談したら「LUDOは同期とか多いし、そういう場所で頑張ったら人気出やすいと思うよ」みたいなことを言われたから、23期として入った。

賞レースでの学び

――LUDO入会後の大学芸会について教えてください。
ギュインギュイン 都立っていう、皆が知ってるコンビを解散して急にピンやりだして、よく分かんない状態だったから、当然芸会までライブに呼ばれなかった。呼んでくれたライブも(都立を)解散してていくつか断ってたから、ちょっともったいないような気はしたけど…。でも、今のスタイルの元祖的な状態(ができた)というか、芸会までにネタのスタイルを深められたのは、でかかったかな。あぶこさんきっかけというか…。最初にLUDOとしてライブ前に行き詰まってた時があって、あぶこさんに「戻って都立やった方がいいんですかね」みたいな相談したら「そんな情けないこと言ってないで、もっと堂々としなさい。ピンになったんだから、自分に残されてる退路みたいなのを全部絶って、舞台の上で堂々と、それやっていきなさい」って言われて…。最初はフリップに文字を起こしてたんだけど、拡大解釈してフリップは全部置いていった。フリップはどうせ退路だから、家に置いて会場に向かって、「さあどうしよう」って思ってたな。メモをそのまま読むっていうのを思いついてやったらライブでウケたから、とりあえずやってみようという気になった。でも、喋ってるだけの漫談は、汲み取ってくれる人だったら面白いって言ってくれるけど、インパクトがないから、芸会ではあんまりふるわずで…。同じくらいのネタが2個あって、当日まで決まらなかった。堀越(LUDO)が面白いって言ってるのと、川端(LUDO)が面白いって言うので迷ってて、確実にウケるなと思ったから最終的に漫談「タオル」をやった。YouTubeにあがってる「相撲」は自分の中では仕上がってないなと思って。漫談の方は仕上がった感じがしたから、結果あれで良かったと思う。芸会はもう初日で負けたから暇すぎたけど、このままだったらダメだと思ったから、親にお願いしてパソコンを買ってもらった。何するとか全然決めてなかったけど「なんか作らなきゃなぁ」で、最初に作ったスライドが、相関図のネタ。
――そこからパワーポイントでネタを作り始めたんですか?
ギュインギュイン ちょうどその時ナルちゃん(LUDO)とコンビ組んだりもして、ピンは10月で辞めようと思ってたんだけど、惹女香花(LUDO・OB)さんが『no寄席』呼んでくれたから、ピンも頑張らなきゃなと思った。出る予定なかったけど、早稲祭のネタ見せに出て、当日までフリップをやろうとしてたんだけど、時間ないから全部スライドショーで見せたんだよね。そこで、フリップの内容を全部スライドに置き換えてやったらウケがよかったから「これなんだな」って掴んだ感じがある。早稲祭、結局一般のお客さんの前では全然ウケなかったけど、手応えはあった。
――『NOROSHI2024』について教えてください。
ギュインギュイン もう誰からも誘われないと思ってた(笑)けど川端が誘ってくれたから、ありがたかったな。組んだ時には「石ちゃん(ネタ)」も「欽ちゃん」もできてなかったのに…。期間中はもう本当にしんどくて、ちっちゃい風邪を2~3個ひいた。決勝も声が本当に死にそうな状態の中なんとかやったな。

【この喫茶店の名物であるカレーを食べるギュインギュインさん】

インターネットのつながりが主催ライブへ

――主催ライブ『ギュインギュイン寄席』『潮目』開催の経緯を教えてください。
ギュインギュイン きっかけは絶対、森左近(無所属)。3年ぐらいからHs(O-keis)と仲良くなって、去年の10月頃からネタツイとかを見始めるようになった。めちゃくちゃ面白かったから、人望刃(O-keis)とかはるばく(東京大学落語研究会)のいいね欄を見るようになったな。それで、ネットへの関心が高まった時期にHsから、「森左近が学生R-1に出るよ」って言われて、絶対見に行きたいなと思った。予選3日目だったんだけど、本当に自分が期待するものが見れたっていう感じがして結構くらったというか。人それぞれ、学生お笑いでくらったネタみたいなのあると思うんだけど今のところ、これ(森左近のネタ)が学生お笑いで1番くらったネタだと思う。それで、本人にDMとかスペースで話しかけたりした。森左近、勝てば良かったんだけど、次点とかで負けちゃったから、ちょっと自分の中でもやり切れないところがあって、東京のライブにもっと出てほしいなって思ってた。あと、セントラルゲート(北海道大学落語研究会)とか、すごい速さっていう結構前から知ってたネタツイの人。出会いとしては、大学お笑いの人をいっぱいフォローしていいねしてくるネタツイの謎の高校生がいて、調べたら自分と同じ高校だってことが分かったから「同じ高校だよ」ってDM送ったんだよね。そっから仲良くなってすぐにセントラルゲートが札幌にいるって教えてもらったから、去年の年末にセントラルゲートとちょっと会った。ネタは見たことなかったんだけど、ちょっと会って話した段階で、もう普通の人と思考回路が全然違う、って。ずっとボケてるというか、常にボケるのが普通の状態、みたいな人。どっからその言葉取り出してきたんだ、みたいな。ネットの人って感じよりは、自分のルールで話してる人みたいな感じだったから、ネタも見てみたいなと。アルレク(アルティメットレクリエーションフェスティバル)とかNOROSHIも、本当はエントリーしてたんだけど両方失敗してたから、ライブに呼びたいなっていう感じ。そういうのが重なって、セントラルゲートと森左近を呼ぶライブをやりたいと思ってたんだけど、俺がまだNOROSHIで勝ってなかったから、さすがに自分がやるのはなぁと思ってたところに、LINEでHsが「ライブやんないんですか?」「この人とこの人とこの人を呼びたいんじゃないんですか?」って。「それをやりたいんだよ」って言ったら「じゃあもう会場とっちゃいましょう」って(笑)2月のこの時期空いてますよってTwitterで言われて、数時間ぐらいで全部決まったんだけど、最初は本当に不安だった…。でも意外と皆が関心もってくれてて、ライブもだいぶ盛り上がったし、森左近が平場めっちゃ強いっていう良い意味での誤算もあった。回しもできるし、円滑に進めるための軽いボケもできたりするから、ネットの人にしては珍しく対人関係がしっかりできてたな。セントラルゲートもしっかりできるから、本当にありがたかった。これだけ平場盛り上がるんだったら、もっと人数絞って、森左近とセトゲと何組かでライブできるんじゃないかなってところで『潮目』をやった。『潮目』で見えた課題みたいなのもあって、客層が大喜利の人に固まったというか…。本当は学生お笑いの人にも、もっと観に来てほしかったんだけど、新歓の時期と重なっちゃった。だから、いつも呼んでる森左近、セトゲ、東トレセン(北海道大学落語研究会)あたりが、芸会とかでしっかりウケて、勢いにのれたら嬉しいなと思う。

【野球に打ち込んでいたいう意外な過去を持つギュインギュインさん】

好きな学生芸人

――好きな学生芸人はいますか?
ギュインギュイン 森左近。さっき話した通り、セントラルゲートは自分の中のルールがあって、先天的な凄いものがある。森左近は小さい頃からずっとお笑い見てるし、一般のお笑いとインターネットのおもしろを両方知ってる上で分析して研究してる人だから、ネタに対して本当にいろんな切り出し方ができる。そういう点で、年下だけどめちゃくちゃ尊敬してる。東トレセンは…凄いから、まぁ。俺はコンビでネタすることを1回諦めた人間だから憧れるスタイルの漫才というか、漫才であそこまで変なこと出来てるのが凄い羨ましい。ネタツイ、大喜利共にセトゲよりは無名だけど、ここからどんどん有名になっていくと思う。「カイタク」っていうチャンネルに上がっている2人の大喜利だったり、ギュインギュイン主催ライブを観にくれば一目で凄さが伝わってくるはず。あと、セトゲと東トレセンでやってる悪い鳥もワクワクさせる集団コントで、今後が楽しみ。あと、さた(東洋大学落語研究会)はめっちゃ凄いと思う。ネタというよりかは、一緒にいる時に「こいつ世界一面白い人間なんじゃないか」って瞬間があるから、本当に一緒にいて楽しい。だから好きかな。Hsは、ネタはちゃんと正統派だけど、大喜利とかネット寄りの脳みそを両方持ってる。あんまり知られてない一面だけど、そういうのが見え始めたら…一人一人への思い入れが強い(笑)羅列するとしたら、風呂釜くん(立正大学お笑い研究会マスカット)、町田(中央大学お笑いサークルCOP)…『ギュインギュイン寄席』のメンバー紹介見てもらったほうが早い(笑)
――主催ライブの出演者以外で、好きな学生芸人はいますか?
ギュインギュイン ぐら三之助(東洋大学落語研究会)とか、LUDOの同期では特にNOROSHIのチーム組んだメンバー(ストロングブルジュニア、練炭貴族)かな。正統派で好きな人は、マボロシ(専修大学落語研究会お笑い企画STRIP GUN CLUB)、ノコノコみさき(日本大学経商法落語研究会)、アカデミー賞(東京大学お笑いサークル笑論法)とか。ノコノコみさきは正統派の漫才で、めっちゃ面白い。漫才やってる人はやっぱり凄いと思う。

【主催ライブの際に、自ら書いた出演者紹介のnoteをぜひ読んでほしいとのこと】

今後の展望

――『大学芸会2024』について教えてください。(大学芸会2024開催前)
ギュインギュイン 芸会、特に何とも思ってないんだよな。負けたら嫌だけど、NOROSHIの時ほど「風穴開けるぞ」とは思ってないっていうのはあって、やる気はあるんだけど考えなきゃいけないのはもっと後のことかなって気がしてるな。
――プロになってからの展望を教えてください。
ギュインギュイン 今やってるネタが、肖像権とかを侵害してるネタだから、当然賞レースでできるはずもないし、プロになるとしたら固有名詞を使わないネタをやんなきゃいけないんだけど…。最近、O-keisの学祭とか芸会の2コンビ目に誘われることがあって、そういう時どうするか考えたときに、固有名詞じゃない、一般にいる変な奴が変なものを自分の中で勝手にミーム化して、それを説明して見せるっていうのが、今のスタイルを保ちつつプロでやる方法なのかなって思ってる。最近、自分のスタイルじゃない1人コントとかやってみて、全然合わないなって思ったから、たぶん羅列みたいな喋り方のスタイルが1番合ってるんだろうし、それを続けるためにはむしろコンビを組んだ方がいいんじゃないかって思う。今は組むつもりないけど、石ちゃんみたいな人と組んでね(笑)その人を永遠にイジり続けるほうが、ネタは作りやすいし、やっていけるんだろうなって気がしてる。売れるまでは固有名詞とか使っちゃいけないだろうけど、売れた後っていくらでもそういうことやっていいから、ハリウッドザコシショウさん、野生爆弾のくっきーさん、永野さんみたいな、売れた後に固有名詞使いまくってる人が楽しそうだから、芸人になるとしたら、そうなりたいっていう気持ちが強い。
――今後開催予定のライブについて教えてください。
ギュインギュイン まだ決めてないんですけど、8月の半ばか9月の頭ぐらい(取材当時)にやる。これ、結構良いグラデーションになってるっていうのが自分の中であって、最初『ギュインギュイン寄席』っていう自分の名前を銘打ったライブで、あんまり(外ライブに)出てなかった森左近、セトゲを呼んでやってた。『黒煙』もあった中で、ちょっと皆が関心もってくれてる状態で『潮目』をやって、その次をやるとしたら、セントラルゲートとか自分が同列の状態で、4〜5人ぐらいで一緒にライブをつくろうって感じにしたいなと思った。9月の頭のライブは、誰がとかではなく、その4~5人が企画するライブみたいな感じで、東京で各々呼びたい人を呼ぶ。集客は今のところ度外視で、とにかくそれをやるってことが大事。でも来てほしい(笑)そのライブをご褒美としたときに、まずは芸会頑張らなきゃいけないなっていう。宿題みたいな感じだな。

【珈琲西部前にて撮影。素敵なインタビューをありがとうございました!】

告知

ギュインギュイン・セントラルゲート・東トレセン・悪い鳥共同主催『ロボット天国』
日時 8月19日(月)
      18:45開場 19:00開演
会場 中野Vスタジオ
料金 500円+カンパ制
https://tiget.net/events/336170

ギュインギュイン寄席 演者紹介①〜④


【取材】
慶應義塾大学お笑い道場O-keis17期、早稲田大学お笑い工房LUDO 23期 4年生 フナツ
クラシキのインタビューぶりにインタビュー行きました!

【撮影・筆者】
帝京大学お笑いサークル ア☆テンション22期
2年生 はる
ギュインギュインさんの学生お笑いへの深い愛を感じるインタビューでした!

最後の最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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