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インスタント麺
本当にあった怖い話です。
お昼ご飯を食べた時間が遅かったためそこそこお腹が満ちた状態で、家に帰宅したとある日のこと。
お腹いっぱいではあるけれども、夕飯を食べないと深夜にお腹空いてしまうのではないかと危惧した私は、ホストマザーにいつも通り夕飯を用意してもらいました。
少し無理をしながらも、ホストマザーが出してくれた夕飯を食べていたところ、追加でなぜか小皿に入ったインスタントヌードルが出てきました。
お腹いっぱいすぎて食べられるはずがない。
一すすり、インスタントヌードルを口にしましたが、お腹と会合を開き、「食べられないという判断」で議決しました。既に出してもらっていた夕飯を食べ終わり、ホストマザーに
「ごめん、インスタントヌードルは食べられないや」
と伝えました。こっちに来て初めて出してもらったものを残す形になってしまい申し訳なく思っていると、
「これ、口つけた?」
と聞かれました。
一瞬にして、ウェルフィンがメルエムと対峙した際と同様の空気が流れました。(始めの一言が勝負だ!生死を分かつ一世一代の一言!間違えたらその瞬間全部終わるかもしれねェ…!)
口つけたけど、つけたと正直に答えたら
ブチギレられてしまうのではないか。
ちょうどこの時はホストマザーのヒステリックぶりに一番悩んでいた時期でしたのでついつい勘繰ってしまいました。そんな私が出した結論は…
「口は…つけてないよ!」
その直後、ホストマザーから衝撃の一言が。
「OK! じゃあ明日のお昼に食べてね🎶」
ウェルフィンとは異なり、私はきっと判断を誤りました。ホストマザーがインスタントヌードルの麺と汁を分ける作業を行なっているのを目の前にして、深くそう思いました。
嫌だ、嫌だ、嫌だ、夜を越したインスタントヌードルなんて。聞いたことねえよ!!!
2日目が美味しくなるのは、煮込み料理だけって決まりなんだよ。私はどうにかして食べない手段を熟考した結果、一番初歩的な手段に行きつきました。
「明日の昼、出かけちゃえばいいんだ。」
次の日の昼は1人でショッピングセンターへ行き、家から脱出することでなんとかそのヌードルを食べることを回避しました。
しかし、一件落着…とは行きません。
その日の夜、冷蔵庫を開けると
インスタントヌードルが汁と麺が分かれた状態で
まだ寂しそうに佇んでいます。
嘘だろ。まだいるのかよ。震えました。
次の日になっても、その次の日になっても
ずっと冷蔵庫で、私の帰りを待っているのです。
そして、ホストマザーから未だに
「今日、インスタントヌードル食べる?」
と聞かれます。そのホストマザーが指す『インスタントヌードル』は、果たしてこいつのことなのか、それとも新入りを用意してくれるのか、食べることになるまでそれは分かりません。