令和ロマンとお笑いスター候補の出世の軌跡
2024年、ダウンタウン松本人志の活動休止で始まったお笑い界は令和ロマンのM-1グランプリ2連覇で終わった。
驚異のスピードで出世街道を進む令和ロマンだが、
ダウンタウンを筆頭にかつてスピード出世をした
当時の吉本所属のコンビと比べるとどうなのか、
また、令和ロマンが天下を取るためには何が必要
なのかを、過去のスターの軌跡をもとに考察する。
まず、吉本において、「20代で在京キー局の
ゴールデンで冠番組を持った」コンビである、
ダウンタウン、ナインティナイン、ロンドンブーツ1号2号の10年目までと比較をしてみる。
ダウンタウン
4年目
・ABC漫才・落語新人コンクール
(漫才の部・最優秀新人賞)
7年目
・ダウンタウンのガキの使いやあらへんで
(キー局冠番組)
8年目
・ダウンタウンの素(関西冠番組)
9年目
・ダウンタウンのごっつええ感じ
(キー局冠番組・ゴールデン)
10年目
・摩訶不思議 ダウンタウンの…!?(関西冠番組)
ダウンタウンは、なんといってもゴールデンで冠のコント番組を持ったのが大きい。
現在では、ゴールデンではないガキ使が代表番組となっているが、当時はゴールデンのスターだった。
ナインティナイン
2年目
・ABCお笑い新人グランプリ
(最優秀新人賞)
3年目
・上方お笑い大賞(銀賞)
4年目
・ぐるぐるナインティナイン
(キー局冠番組)
5年目
・ASAYAN(キー局ゴールデンMC)
・チャンネル99(キー局冠番組)
6年目
・めちゃ²イケてるッ!
(キー局ゴールデンメインキャスト)
7年目
・ぐるぐるナインティナイン(ゴールデン進出)
・ナイナイナ(キー局冠番組)
ナインティナインのすごさは、東京進出の早さと、
東京進出からブレイクまでの早さである。
ナインティナインの代表番組はあくまでも冠番組
ではないめちゃイケだが、ぐるナイのゴールデン
進出もあってスターとしての地位を確立した。
ロンドンブーツ1号2号
3年目
・あなあきロンドンブーツ(キー局冠番組)
4年目
・ぷらちなロンドンブーツ(キー局冠番組)
・ロンブー荘青春季(キー局冠番組)
5年目
・暴ロンブー(関西冠番組)
・スキヤキ!!ロンドンブーツ大作戦(キー局冠番組)
・ロンブー龍(キー局冠番組)
6年目
・ロンドンハーツ
(キー局冠番組・ゴールデン)
ロンドンブーツ1号2号は、20代で冠番組を7つ経験した異次元のテレビスターである。また、吉本に
おいてゴールデンの冠番組を代表番組とした唯一の
コンビであるといっても過言ではない。
(ダウンタウンはゴールデンではないガキ使、
ナイナイは冠番組ではないめちゃイケが代表番組)
この3組の特徴から、
・ゴールデンか冠番組で代表となる番組を
若くして持つこと
・大阪の芸人なら早い段階で東京進出し、東京で
すぐに冠番組を持つこと
がスターへの近道である。
次に、この3組以降で吉本でブレイクが早かったが、上記3組の実績には届かなかったキングコング、
オリエンタルラジオ、霜降り明星の10年を比較してみる。
キングコング
NSC在学中
・NHK上方漫才コンテスト(最優秀賞)
2年目
・ABCお笑い新人グランプリ(最優秀新人賞)
・上方お笑い大賞(最優秀新人賞)
・M-1グランプリ(決勝進出)
6年目
・はねるのトびら
(ゴールデン進出・キー局メインキャスト)
7年目
・キンコンヒルズ(キー局冠番組)
8年目
・大キングコング 情熱!しゃべり隊(関西冠番組)
・M-1グランプリ(決勝3位)
9年目
・M-1グランプリ(決勝進出)
キングコングは、ネタでもバラエティでも天下を
取りかけたが、あと一歩届かなかった印象が強い。
関西の賞レースで圧倒的な実績を残していたが、
全国区のM-1で勝てず、はねトびでゴールデンの
メインキャストにはなったがゴールデンまたは
長い期間続く、「キングコングといえば」といった
冠番組を持てなかったのが痛い。
オリエンタルラジオ
2年目
・オビラジR(キー局冠番組)
4年目
・全国一斉!日本人テスト(キー局ゴールデンMC)
オリエンタルラジオは、デビューからすぐに冠番組やゴールデンMCを持ったが、その半分以上が
1年以内に終わっている。オリエンタルラジオも
キングコング同様、「このコンビといえば」という
冠番組を持つことができず、賞レースの経験が
ないということも痛い。
霜降り明星(2013年を1年目とする)
5年目
・ABCお笑いグランプリ(優勝)
6年目
・ytv漫才新人賞(優勝)
・M-1グランプリ(優勝)
7年目
・霜降りバラエティ(キー局冠番組)
9年目
・新しいカギ(キー局ゴールデンメインキャスト)
霜降り明星には、同じように関西の賞レースで
活躍し、ゴールデンのコント番組でメインキャスト
になったキングコングとは違い、M-1グランプリで
最年少優勝という実績を残しているのは大きい。
その一方で、「共同の冠番組」が多く、当時の
キングコング同様、そのコンビを代表する冠番組の
存在が求められる。それこそアメトーークみたいな番組を。
この3組の特徴をまとめると、
コンビを代表する単独の冠番組はもちろんとして、
賞レースでの圧倒的速さでの優勝が求められる。
霜降り明星も、今後天下を狙う場合今年中に
新しいカギに並ぶ霜降り明星を代表する冠番組の
存在が絶対条件である。これがゴールデンならより
大きいが。
最後に、令和ロマンのこれまでの実績をもとに、
令和ロマンの天下取りに向けて必要なものが何かを考察する。
令和ロマン
3年目
・NHK新人お笑い大賞(優勝)
6年目
・M-1グランプリ(優勝)
7年目
・ABCお笑いグランプリ(優勝)
・M-1グランプリ(優勝・2連覇)
M-1グランプリ最速優勝と2連覇、さらに2つの
賞レースでも優勝と、賞レースの実績は文句なしである。また、もとから東京吉本所属ということも
あり、東京進出は条件ではない。
10年目まで残り3年の令和ロマンに現在求められる
ものは、「令和ロマンのレギュラーの冠番組」
である。これは、時間帯を問わない。
令和ロマンの冠番組が深夜で跳ねれば、
ゴールデンやプライムタイムへの進出も狙え、
代表番組となり天下に繋がる。
ほかには、コント番組も求められる。
ダウンタウンやナインティナインはもちろん、
漫才師のイメージが強いキングコングや
霜降り明星、賞レースのイメージがない
オリエンタルラジオもコント番組をやってここまで
きた。新しいカギと双璧に立つ、令和ロマンが
メインキャストのコント番組ができれば、さらに
圧倒的なスターへの道が開ける。
コントと言えば、令和ロマンが今年のキングオブ
コントで優勝し、2冠を達成すればコントのイメージ
もつくので、より天下に近づく。
筆者は東京吉本のダブルファイナリストではないが、令和ロマンにはキングオブコントも出て
ほしい。
ナイナイ、ロンブーが座ったスターの席に、
キンコンとオリラジは手が届かなかったが、
霜降りと令和ロマンがその席を超え、天下を取れば
お笑い界の未来は明るい。
そのために、霜降り明星は、「コンビを代表する
ゴールデンの冠番組」、令和ロマンは、「キー局の冠番組、コント」という武器を手にすることが
必要だ。
余談だが、キングコングとオリエンタルラジオは
西野と中田という「西のツッコミと東のボケ」が
笑いから違う道に路線変更したが、霜降り明星と
令和ロマンの「西のツッコミと東のボケ」である
粗品とくるまはどこまで笑いで突き進めるか、
注目だ。