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アバラシア雲海開拓状況報告

 帝国の侵攻、霊災などにより他民族、多文化の流入が問題となっているエオルゼア都市軍事同盟。コミュニティを破壊された人の世の混乱は収まるところを知らないが、一方で自然界では当たり前のように淘汰が行われていた。
 社の方針により園芸師ギルドを修め各地の植生を調査している。本書ではアバラシア雲海での畑作の勃興について記す。


1.アバラシア雲海への進駐

原因は竜詩戦争

 イシュガルドは1000年前からドラゴン族と戦争状態にあり、ドラゴン族には飛行能力を有する種もいることから制空権の確保は皇都防衛の要点であった。そこで皇都の後方、アバラシア雲海に点在する浮島に進駐し空の防御を固めようとしたことがアバラシア地方へ進出した経緯である。が、実態としてはアバラシア方面は皇都を挟んでドラゴン族の拠点と反対方向にあり、もっぱら左遷先として扱われている。

乏しい補給、下がる士気

 雲海に住む蛮族とのいざこざはあれ、ドラゴン族との戦闘が起きることが無いアバラシア地方に満足な補給を送る余裕はなく、食糧の現地調達は派遣されている者たちの最大の課題であった。浮島は立地(高度)の都合上、皇都に負けず劣らずの寒冷地で、動植物は限られている。そもそも水が不足しており、水属性のクリスタルから流れ出る水分がこの地の環境を支えている。騎士たちは巡回がてら水と食料を補給するという、原始的な生活を余儀なくされている。

極限環境での自給自足

 浮島に畑を耕して自給自足するという案は以前から実践されていた。しかし、寒冷地というだけでなく高地であることがイシュガルドが持つ種の繁殖を妨げていた。所有する種を育てることが難しいと判断した現地の園芸師は、イシュガルド以外の地方、国家にある高地で栽培可能な植物を用いて土地を耕し自給自足を実現させる方針を打ち立てた。

アバラシア雲海のキャンプ・クラウドトップで畑仕事をしている園芸師

2.自然淘汰

山脈のタマネギ

 イシュガルドが所有する種は雲海の高所に適していなかった。そこで、環境に適応可能かつ食べることができる他の地方から取り寄せた種の生産を図る。まず人は食べないが、グリダニアの園芸師ギルドから提供されたチョコボのエサであるギサールの野菜は芽吹いた。続いてアバラシア山脈に自生するサイクロプスオニオンは栽培に成功した。やはり高所に耐性のある植物が雲海には適しているようである。

土壌改善豆

 特定の品目を連続で植えると土地の栄養が偏ってしまう。通常は二毛作や休耕して土地を肥やすが、現状は種の品目が少ない。そこで、畑に都合のいい豆類であるシュラウドベッチと、高地に耐性のあるエメラルドビーンを交雑し、高地で栽培可能なシュラウドベッチを用いることになった。この際、協力を仰いだ本草学の権威であるマルティノー氏は今後もアバラシア雲海の植生問題に大きく貢献した人物である。

2種類のギサール

 雲海での畑は順調だが、1つの疑問が浮かんできた。イシュガルドという国はチョコボ育成の大御所であり、当然チョコボの主食であるギサールの野菜はクルザス地方にも生えている。しかし、なぜかアバラシア雲海に芽吹いたのはイシュガルドのギサールではなく、グリダニアから提供されたギサールの野菜だった。これには理由がある。
 元々エオルゼア地方にあったギサールとは別に、外来種のギサールが存在する。こちらの種は約100年ほど前にエオルゼア地方に持ち込まれ、よりエオルゼアの土地に適していたことから、ほとんどのギサールが外来種に取って代わられていたのだ。当然イシュガルドが所有するギサールも段々と外来種に代わっており、原種は非常に希少となっている。
 実はグリダニアから提供されたギサールは、元々クルザス地方に自生していたギサール(カベイジの野菜)を品種改良したものであり、外来種にはない高所への適正があったのだ。グリダニアの園芸師ギルドはクルザスのギサールが持つ高所への適正に気付き、種を保存していた。今回提供されたのはグリダニアが独自に保存していた、元々クルザスに生えていたギサールだったのだ。千年戦争に明け暮れた結果、イシュガルドは種を失っていたようやく気付いたのだった。

カボチャに見える謎の品種

3.種に国境なし

 今回の一件を受けて、グリダニアの園芸師ギルドは保有している種をイシュガルドへ提供した。その中には高所に適したものもあれば、元々クルザス地方に自生していた植物もあるだろう。これらは他国の人物が盗んだものでは決してない。人や鳥、植物自身が長い年月をかけて拡散していった結果なのだ。
 アバラシア雲海は水が乏しく環境は厳しい。現状は痩せた土地と言わざるを得ないが、人の想いと植物の強さがこの地を拓き、いずれは環境に適応する優れた種が田畑を埋めるだろう。高所への適正を持つ品種の開発に適している、とも考えられるこの土地は、農業の最前線といえるだろう。引き続き、アバラシア雲海の植生および一次産業は注視・協力していく。

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