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Azeron Cyborgによるゲームプレイ所感

最終更新日 2023/04/16

Azeron Cyborg

Azeron公式ホームページ

Amazon販売ページ

 この独創的な見た目の左手デバイスは、使用者にいったいどんな感覚をもたらしてくれるのか?購入経緯から使用感までをまとめる。具体的な設定方法については記載していない。「購入したいけど口実が欲しい、誰かに背中を押して欲しい」人向けの記事です。



■購入経緯

▼サマリ

  1. キャラクターをカクカク移動させたくない

  2. コントローラーの方が入力しやすい

  3. 没入感を高めたい

1.キャラクターをカクカク移動させたくない

 CS版のゲームでは、プレイヤーが操作するキャラクターはアナログスティックを通して移動を行う。滑らかでシームレスな移動角度の変化はキャラクターの存在感を助長する。
 一方、PC版のゲームでプレイヤーキャラクターが移動する場合、ほぼ100%の確率でWASDキーを用いており、キャラクターは同時入力を加えた全8方向に角度を”切り替える”。正確な角度の変更は位置を調整することには適しているが、その挙動はおよそ人間的ではない。
 このCS版とPC版の移動角度の差は、マルチプラットフォームに対応しているゲームで特に顕著だ。FF14で街を駆ける冒険者が、最高速度を保ったままアイシールド21もびっくりな角度にベクトルを変えるのを見かけるとPC版だ!!!と意識が画面の向こう側にいる方のデバイスに向きかけてしまう(つい細かいことが気になってしまう、僕の悪い癖)。自分が操作するキャラクターはまるで本当にそこで過ごしているかのような挙動をとって欲しかったのだ。

2.コントローラーの方が入力しやすい

 コントローラーとキーボードを比較したとき、ボタンの数は圧倒的にキーボードの方が多い。キーバインドも細かく設定することができ、個々人に合わせたキー配置ができるにもかかわらずコントローラーの方が操作しやすい。キーバインドとかの設定が面倒ですらある。
 前述の通り、キーボード入力ではキャラクターの移動をWASD4つのキーを左手の人差し指、中指、薬指の3本の指で操作する。考えてみていただきたいのだが、これをコントローラーは1本のスティック、1本の指で操作することができる。しかも、角度も入力強度も自由自在だ!この差に私は耐えられなかった(2D格闘ゲームのヒットボックスのような話もあるが、デバイスによってはスティックとボタンの両方に移動キーを設定できるので考慮する必要はないだそう)。
 和製ゲームはCS版が主戦場であり、ゲーム体験からコントローラーでの操作を前提に作られているため仕方ない部分もあるが、そもそもキーボード側が文字を入力することを前提に作られた形であるため人間工学的にゲームに適していないのだ。私は操作しやすいキーボードではなく、より操作しやすいコントローラーが欲しい。

3.没入感を高めたい

 もちろん『機動戦士ガンダムUC』をご覧頂いたと思うが、エピソード1のスタークジェガンとそのパイロットに心奪われなかった諸兄姉はいないだろう。あのシーンはMSの殺陣だけではなく、オールドタイプのパイロットが練達した技術と装備で強化人間に一歩及ばない様子が描かれていることがミソなわけだが、ともかく大量のスイッチが組み込まれた操縦桿を繊細に操作する映像は1度見てしまえば思い出さない夜はない。入力パターンと最終的に装備をパージしてバーニアを吹かす流れはまるで宙を駆ける一筋の流星だ。
 私はロボットを操作するゲームにあれを求めている。

■商品選択、そして注文

▼サマリ

  1. 商品・注文フォーム選択

  2. 注文時の注意点

1.商品・注文フォーム選択

 Azeron Cyborgを購入する場合、主に2つの注文フォームがある。1つはAmazon、もう1つがAzeronの公式ホームページだ。主な差異は金額、輸送期間、商品カスタマイズ可否の3つで、前者の2つはこの商品が輸入品であることに由来する。
 カスタマイズに関してはAmazon側はほぼ変更できない。公式ホームページでは商品のカラーリング変更だけでなく、18cm以上の大きな手のひら用の部品への差し替え、平面/曲面パーツへの交換などなどかなり細かい調整ができるようだ。偶然Amazonに並んでいる商品が好みのカラーリングだったのでAmazonから注文したが、一度公式ホームページからどのようなバリエーションがあるのか確認するとよいだろう。

2.注文時の注意点

 注文時に限った話ではないが、Azeron Cyborgは輸入品であり日本語のサポートはない。頼れるのは先人のナレッジ記事とご自身の英語力だけだということを留意しておきたい。
 この商品はユーロで売られているため、為替の影響がある。幸い(?)なことに本記事作成時点では円高なので、見かけよりもお手頃な価格で商品を入手できそうだ。
 Amazonに限ったことだが、輸入の都合で表示金額に手数料が必要になる。AmazonとAzeronの金額を比較する際には注意が必要だ。

■到着、設置、デスクにて

▼サマリ

  1. 発送から到着まで

  2. 梱包の話

  3. こいつ動くぞ

1.発送から到着まで

 Amazonで購入したケースを紹介する。海外に在庫が存在する場合、到着予定日はだいたい1週間~2週間と連絡される。私の場合は1週間ちょっとで到着した。これに関しては空路か海路かわからないが、ケースバイケースなのであくまでも参考として欲しい。ちなみにAzeron Cyborgを大手家電量販店の在庫検索にかけてみたがヒットすることはなかった。知名度が上がってきたとはいえ、国内に支店が存在するわけでもない。新品はすべてラトビアから送られてくると覚えておこう。

2.梱包の話

 届いた段ボールを開けるとイカしたパッケージの箱がでてきた。

PULL HERE!

 開くとCyborgの固定用に折り畳まれた段ボール。各所に英語で指示が書いており、どうすればよいのかは一目瞭然である。

MADE FOR YOU!

 固定用段ボールを引き出すと現れる"MADE FOR YOU"の文字。Cyborgはパーツは3Dプリンタから出力され、組み立ては手作業で行われているらしい。まさに「お前のために作ったぜ」である。

CYBORGの字体が80~90年代のネオンっぽい

 そうしてお目見えするのがCyborg本体である。詳細資料の他にクイックスタート用のペラ紙も同梱されていたが、これがなんとフルカラーの両面印刷で面食らった。
 梱包についてはきっちりかっちりというわけではなく、遊びというよりはちょっと緩いかな?くらいのパッケージ、しっかり固定しつつも解体しやすい段ボールと、特に不満はない。

3.こいつ動くぞ

 肝心の本体についてだが、各タワーの基本的な動作はYoutube公式チャンネルの製品紹介動画を見てもらった方が早いだろう。各可動ポイントは必ずボルトを締めることで固定することができ、緩いことをケアしながら使うという部分は存在しなかった。
 Cyborgのボタンはほとんどがトリガー式(コントローラーでいうところのLRボタン)だ。動画中、特に説明が無いのだがトリガーの堅さもタワーほどではないが調整することができる。タワーを調整しても当たってしまいやすい位置にあるボタンは、キーを割り振らないという古典的な対策ではなくボタン入力感度を堅くするという方法で回避できるかもしれない。

もうMSの操縦桿じゃん
バンシィのアームドアーマーじゃん

■ソフトウェア

▼サマリ

  1. シンプルなUI

  2. ソフトウェアの注意点

1.シンプルなUI

 ソフトの画面はいたってシンプル。余計な背景やアニメーションは一切なく、ただキーの配列が表示される。

 入力したボタンはハイライトで表示され、登録したキー情報の他にボタンに命名することができ、何を意図したキー登録なのかを忘れずに済む。命名した名前はキー情報とは別の色で表示され、見分けやすい。
 ドラッグ&ドロップで登録情報を別のボタンに移動することができるのも大変ありがたい。このおかげで一旦すべてをキー登録した後、操作しやすい配置に移動することでキー情報入力の手間を省くことができるのだ。

2.ソフトウェアの注意点

 Cyborgは2022年後半に半導体不足の影響でボードの部品が製造できなくなっていた。そこで基盤を交換することになったのだが、ソフトウェアの開発が間に合わないため一時的に別のソフトに機能設定を代替させていた。この対応は2022年末まで続いた。
 現在は純正ソフトウェアの開発が完了しややこしいことはしなくても本体と公式HPからのダウンロードだけで完結するのだが、①旧ソフトウェア→②別ソフトウェア→③新ソフトウェアと2段階の移行を行っているので、ググったときにヒットする日本語のナレッジ記事の情報の多くが古いものになっている。まだソフトウェアが最新化されて半年も経っていないので、やや面倒だが同梱されている説明書や公式HP、公式Youtubeチャンネルで公開されている新しめの動画の英語を翻訳して確認した方がよいだろう。

■使用感

▼サマリ

  1. 物理的な使用感

  2. ソフトウェアの使用感

  3. 注視していくこと

1.物理的な使用感

 人差し指から小指までの四指に対応したキーは4×5+2の22個存在し、キーボードと同様に押し込むタイプは4つ、その他はすべてON/OFFのトリガータイプである。最も押しやすいボタンはキーボードに近い部分かと思いきや、トリガータイプのキーの方が押しやすく感じた。
 考えてみれば、キーボードでのボタン入力は指を任意のキーの位置まで移動し、真っ直ぐ押し込む。指は伸ばす動きをするが、どのキーを入力する場合でも第一~三関節まですべてを動かしている。
 一方、Cyborgのトリガータイプのキーは第二関節から先を動かすだけで少なくとも8つの入力を行うことができる。当然慣れは必要だが、熟練した場合はキーボード入力よりも指にかかる労力は減ることになるだろう。その兆しは感じている。
 そして最も恩恵があると感じているのは手のひらはほぼ固定であることだ。腕への負担も軽減されるし、誤操作の頻度も減っていくことだろう。
 総じて、習熟したCyborgによる入力はキーボードによる入力よりも速度・精度共に上回るだろうと予想している。

2.ソフトウェアの使用感

 比較対象がちょっとだけ触れたG13と、2週間くらい試行錯誤したRazar Tartarus Proしかないが、この2機種と比べると最も設定は容易だと感じている。日本語サポート、発光設定、プロファイル切替など劣っていると感じる部分もあるが、キーの設定、解除が最もやりやすく、シンプルなUIは設定内容が一目瞭然で判読しやすい。
 ドラッグ&ドロップで設定内容を別のキーに移動できることは特に評価できる。一旦使用するキーをすべて設定した上で操作しやすい位置のスイッチに再配置できるのは、左手デバイスの課題である初期設定の煩雑で面倒な部分を多少緩和しているように思う。

3.注視していくこと

 入力が反応しないなどの初期不良がないことは確認しているが、耐久性に関してはこれから使っていく中で確かめていくことになる。耐久性についてのみ課題があるという旨の記事をよく見かけるため、特にアクションゲームでの使用を想定している私としてはしっかりと経過を観察する必要があるだろう。



 私の場合はビジュアルの時点で勝利確定のアイテムではあったが、品質や実用性に関しても問題ない、それどころかゲームに関してはキーボードよりも優れているのではないか?と期待させてくれる製品だった。私と同じような要望を持っている方や、目新しいデバイスはとにかく試してみたい方は買って後悔することはないだろう。

付属していた精密ドライバー。イカしてるぜ!

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