「楽しい」と「嬉しい」の違いを考える
「楽しい」と「嬉しい」。普段何気なく使っているこの2つの言葉の違いを、はっきりと言葉で説明できる人は意外と少ない。辞書的な意味はもちろんあるが、実際にはあまり意識して使い分けている人は多くない。それでも、多くの人は自分なりに「楽しい」と「嬉しい」を自然に使い分けているはずだ。
「楽しい」と「嬉しい」の感情の違い
たとえば、「楽しいことをしたい」とか「楽しい人生を送りたい」とはよく言うが、「嬉しいことをしたい」や「嬉しい人生を送りたい」とはあまり言わない。このことからも、「楽しい」と「嬉しい」は少し違う感情だということがわかる。
簡単にまとめると、「楽しい」は自分の中から自然に湧いてくる感情で、自発的な高揚感がある。一方、「嬉しい」は周りの出来事や他人からの影響で生まれる感情だ。つまり、自分の内側から感じるのが「楽しい」、外部からの刺激で感じるのが「嬉しい」というわけだ。
「嬉しい」は事実に基づく感情
「嬉しい」は、何か具体的な出来事や事実があって、それに基づいて感じる感情だ。たとえば、誕生日を祝ってもらったり、プレゼントをもらったりするのが「嬉しい」という感情だ。あるいは、仕事をして報酬をもらうことが「嬉しい」の一例だ。このように、明確な出来事があって、それに応じて気分が上がるのが「嬉しい」という感情の特徴だ。
「楽しい」は理由がなくても感じられる
一方で、「楽しい」は、必ずしも具体的な理由や出来事がなくても感じることができる。たとえば、単純な作業を続けているうちに、時間があっという間に過ぎて「なんとなく楽しかった」と感じることがある。何が楽しかったのかを説明できなくても、それでも「楽しい」と感じることはよくある。
また、何気なく散歩をして迷子になりながら時間をつぶし、結局「まあ楽しかったな」と思うこともある。「楽しい」という感情は、必ずしも明確な理由や出来事に縛られない感情だ。
子供の「楽しい」感覚
子供の場合、友達と夢中で遊んでいて、気がつけば夕方のチャイムが鳴っている、なんてことはよくあるだろう。親に「何して遊んでたの?」と聞かれても、具体的に覚えていないことが多い。しかし、時間があっという間に過ぎて、「楽しかった」という感覚だけが残る。
「楽しい」は時間を忘れる体験
「楽しい」と感じるとき、人は夢中になって時間を忘れることが多い。心理学的には「ゾーンに入る」と言われたり、ランニング中に体験する「ランナーズハイ」なんかもその一例だ。長時間苦しい運動をしても、気がつけば時間が過ぎていて、終わった後に「楽しかった」と感じることがある。
「楽しい」と「嬉しい」の違いを知ることで、日々の感情をより深く理解することができる。どちらも大切な感情なので、うまく使い分けて、毎日をより豊かに過ごしてみてはどうだろうか。