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『BRUTUS』編集長の【斟酌】ツイートの経緯と問題点
Twitter上で問題点をよく理解していない方が多いと感じたので、あらすじと問題点を纏めました。
簡単なあらすじ
①雑誌『BRUTUS』にてアイドルマスターシリーズの特集号が発売決定。注目を集める。
②『BRUTUS』を発刊している株式会社マガジンハウスは、表紙・誌面のSNSアップに対し、HP上に厳格なルールを記載。
法的問題への発展可能性も記載しており、極めて明確な内容。
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③『BRUTUS』発売後、ルールに違反する(表紙をアップする)Twitterアカウントに対し、ルールの徹底を促す自警団が発生。アイマスキャストで、ツイートを削除する例も。
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④『BRUTUS』編集長の西田善太氏が、ツイートで下記の様にコメント。
ルールとは正反対の解釈が、突然、責任ある立場の方から示され、Twitterで話題に。
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⑤翌日、突如として株式会社マガジンハウスのFAQ該当箇所が変更。「表紙」文言が無くなる。
本件の問題点
①編集長のツイートが、ルールを骨抜きにする内容だったこと。
このツイートが正式に撤回されない限り、HP上の文言は一切関係ありません。
「表紙はお墨付きをもらった!」とかそういう問題ではないです。
デジタル大辞林によると
【斟酌】とは、
①相手の事情や心情をくみとること。また、くみとって手加減すること。「採点に斟酌を加える」「若年であることを斟酌して責任は問わない」
②あれこれ照らし合わせて取捨すること。「市場の状況を斟酌して生産高を決める」
③言動を控えめにすること。遠慮すること。「斟酌のない批評」
【行間を読む】とは、
"文章には直接表現されていない筆者の真意をくみとる。"
とあります。
つまり、編集長の発言は"ルールに書いてある通りにせずに、各々出版社の気持ちで考えろや"ということでした。
しかも今回は、ルールが曖昧だったところを【斟酌】するのではありません。
ルールで明確に禁止し、法的責任の追求まで記載していたにも関わらず、正反対のスタンスを読み取れ、というものでした。
これを【行間を読む】【斟酌】すると表現するのであれば、同社のルールはあってないようなものです。
現在、誌面の掲載は禁止となっていますが、"誌面の一部をアップしたほうが出版社の売上に繋がるのではないか"、と【斟酌】すれば、誌面の掲載もOKなはずです。
【斟酌】【行間を読む】とは、曖昧な点(文章に直接記載されていない点)について相手の立場で推し量ることであり、明確に禁止していることをOKにするのは、【斟酌】ではありません。
ルールの骨抜きです。
【斟酌】【行間を読む】のは出版社ではなく読者ですから、読者の判断で何をやっても良いということです。
②ルールがいつのまにか変わっていること
ルールが何のアナウンスもなく変わっていることも問題です。
今回のルールは、民事・刑事上の法的責任追求にも発展する、と記載している極めて重いものでした。
これが何のアナウンスもなく変わってしまうのであれば、気づいた時には読者の行為が法的責任を追求されることになってしまいます。
即ち、もしかしたら次の瞬間には『表紙』の文言が復活し、アップロードした人が訴訟されるかもしれない、という話です。
ルール・規約というのは広く周知することが重要で、何のアナウンスもなく変更してよいものではありません。
法的問題へ発展するようなものほど、ルール変更前に周知期間を準備するなどしなければなりません。
③責任の所在が読者側に押し付けられていること
今回自警団などが発生し、予想以上に表紙がSNSに流れなかったのは、マガジンハウス社や編集長の意向に沿わなかったということで間違いないでしょう。
編集長のツイートは、(読者に対して)行間を読め、というものであり、読者が行間を読めないから、会社もルールを変更した、という流れでした。
これって、読者が行間を読まなければならなかった=読者側に問題があったんですか?
出版社側が、【意向と真逆のことをHP上に記載していたこと】が問題=出版社側の問題ではないですか?
あたかも読者側の理解が乏しく、問題があったような理論展開はおかしい。
正直ものが馬鹿を見るような構図は、読者をバカにしています。
繰り返しになりますが、玉虫色のルールではなく、「明確に記載されているルール」でした。
どうするのが正解なのか
①編集長がTwitterなどで安易に発言せず、『BRUTUS』アカウントから正式にルール変更の通知をする。
(もうとれない選択肢、本来の選択肢)
②『BRUTUS』から正式に編集長のツイートを撤回する旨を発表し、ルール変更の通知をする。
終わりに
本件は、『単にアイマス特集号の表紙をあげてよいか否か』ではなく、著作権や肖像権に関する同社のルールを蔑ろにする悪い対応だと思います。
また、それなりに責任ある立場の方がコメントしたことで、読者が他の出版社のルールにも【斟酌】することも十分に考えられ、雑誌とSNSに関するルールが骨抜きにされた印象です。
歴史ある出版社として、場当たり的ではなく真摯な対応が必要なのではないでしょうか。