3月26日U24について零す。
五輪代表世代とも呼ばれるU-24男子代表対アルゼンチン戦でした。結果は0-1で敗北。
今回、民放での解説役戸田さんや中村憲剛が大体言いたいことを言ってくれたので、なんとなく来週の再戦を待てばいいかという感じもする。ただ、先日のA代表の記事で言及したこともあるので、メモ書きのつもりで簡単に書き残すこととする。
アルゼンチンの見事な試合運び
特に前半のアルゼンチンチームは最初から最後まで完璧に主導権を握っており、まさしく日本チームを「完封」した。どうやってやったのかというと、「自分達がボールを持っている時は、スペースを有効に使い、個人の技術で時間を作り、常に先手を取る形でチャンスを作る」「敵がボールを持った時には、最短で潰しにかかり、後詰も確実に行い、ボールを奪う」「パスコースや有効なスペースを消し、敵の選択肢を減らし、迷ったところで潰しにかかる」等で、要は先日の日本のA代表が前半で敵を圧倒したことと同じようなことをしていたと思う。
アルゼンチンの選手は、全てのプレーに「自分たちが有利になるような理由」が存在するという感じで、先日の韓国チームでは恐らく相手にならない。先日の日本A代表とやれば面白い試合になるのではと思わされた。
まあ見事である。いくつかチャンスは作れたものの、ほぼ完封されたといって良い。結果は0-1であったが、実際にはもっと多く点が取られている試合である。運が良かった。
なお、失点シーンでキーパーの大迫選手の顔が大きく映されたが、彼に直接の責任は無いとついでに言っておきたい。あの状況でキーパーに頼む、責任を負わせるのは酷である。直接やられているのは板倉選手であり、ヘディングをフリーでさせてしまった他の2名である。キーパーではない。板倉選手はこの部分の他にもアレな場面が少なくなかったが、使い方が悪いと感じた。彼は最後列ではなく、もう一列前で使った方が活きる。板倉選手自体はこのチームの中でも上位レベルの判断力を持っている選手だと思っている。使い方が悪い。
なお、後半のアルゼンチンは明らかに手を抜いていた。その為、「前半は完封」とした。
強いチームだった。再戦で日本はどのように戦うのか、楽しみにしたい。
サッカーの根本は「ゴールまでボールを運ぶこと」
先日のA代表について述べた記事で、「判断力の重要性」をしつこく述べた。この試合ではこれが日本チームに返ってくることとなった。要するに「判断のミスが多い」。
サッカーの根本的な内容と言えば「ゴールまでボールを運ぶ」ということになると思う。足でボールを蹴ること、手でボールを扱わないことなど、サッカーらしい要素は他にもあると思うが、突き詰めて考えればコレになる。これを念頭に置いておきたい。
何が言いたいかというと、「今、どんなプレーを選択するとゴールまでボールを運べるか」を考えたいということである。その為には、ルールで許されている全ての方法を使ってよい。ドリブルをしても良いし、パスをしても良い。最短距離を突っ切ってもいいし、回り道をしてもいい。とにかく、「ボールを敵のゴールに入れればいい」のである。
反対に言えば「今、どんなプレーを選択すると不利になるか」「今、どんなことになるとまずいのか」を理解することが大事だということである。「判断のミス」というのは、その方法選択を失敗しているということになる。最悪の場合、それはチームに不利益を齎す。
「パスを出しました。出した先には敵がいました。だから、ボールを奪われました」ということになれば、「パス出さなきゃよかったね」ということになる。「出した先」に「今」敵がいなかったとしても、「敵がやってきたのでボールを奪われました」となれば、同じことである。つまり、この場合の「有効なパスをする選択」というのは、「敵が来るかもしれない可能性」まで先を読んで「成功するパス」を出すという行動のことである。よく言われる「味方を走らせるパス」とか言うのは、「その方が有効だから」しているパスなのである。無茶ぶりをしているわけでは無い。
勿論、「パスの出し手」だけの問題ではない。パスには「受け手」が必要である。この辺り、本日の解説役はよく言ってくれていた。「足が止まっている」「周りの味方が見ているだけになっている」「パススピードが遅い」これらはすべて、「敵を出し抜く工夫をしなければ、パスを出したところで敵に奪われる」という状況判断(観戦者なので、状況の評価か)である。これらはよく言われがちな台詞であるが、「なら、どうしたらよいのか」を考えたい。
そもそも、自分がボールを保持している時に敵が近くにいないのであれば、自分でボールをもって運べばよい(ドリブル選択)。敵がよってきたら、次の行動選択をすればよいのである。自分で敵を躱すか、味方にパスをしてボールを逃がすか。その状況によって、どちらが有効かは変わってくる。そして、思い出して欲しいのは、これは「10人+1人」対「10人+1人」で戦っているチームスポーツだということである。自分1人ではない。もちろん、自分がボールホルダーでないなら、自分なりに味方を助けなければいけない。
本日の試合、全てのプレーが悪かったとは言わないまでも、判断力に首を傾げるパフォーマンスが多く見られた。「そこでそういうことをして良い結果になると思っているのか?」と思うことが多かった。だから、「サッカーの根本はなんだったか」を書いた。「パスをすることやドリブルをすること=サッカー」ではない。この辺りが日本のサッカー教育みたいなものを懐疑的に見る私の考え方で、学校教育でサッカーを教えるべきでは無いと考える根っこの理由だったりする。今日の解説役も「戦術判断」等と言っていたように思う。サッカーは俯瞰的な状況判断力を求められる難しいスポーツなのである。
余談:各選手について
ちょっと各選手の気になるところを角の無い形で書いていく。一応言っておくと、まるで良くない試合だったので、各選手の長所を活かせなかった感があり、語ることは殆ど無い。以下は文章化できそうな人たち。
三苫、旗手
良さもあったが、「川崎イズム」の悪いところ、というか、弱点が露呈した感じがする。具体的に言うと、「3人目の動きがあって然るべき」という動き方をして失敗した場面が何度かあった。失敗の理由は当然、「3人目がいなかった」である。
勿論、これは「3人目がいた方が絶対に良い」のである。彼らが他人任せで良くないということではない。仮にも日本代表チームなのだから、所謂「3人目の動き」が出来て然るべきである。
だから、苦言ではない。なんというか、「こうすれば突破できるのに」と若干空回りした感じがしたのである。比較すると、先日のA代表は普段別のチームで試合をしているのに、そういった連携、創造的なプレイングが出来ていたので、やはり彼らは凄いという感じである。
久保建英選手
レベルが違う。この選手についていけるのは、A代表の大迫さんクラスであると思う。それくらい、浮いていた。彼自身は素晴らしいパフォーマンスを発揮するのであるが、それをチームで活かせないのがとてももどかしい。