DAYS : OUWNレポ・後編
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こんにちは。OUWNで研修をさせていただいています。中田です。
研修レポ、前編にひきつづき、OUWNで一ヶ月研修して感じた違いや、発見を前編よりちょっと真面目に書いていきます!
今の会社とは違うところだらけで、こんなに違うんだ!という発見ばかりでした。
001: デザイナーの仕事
OUWNでのデザイナーという立場ではクライアントさんからの依頼があって、石黒さんにこういうものを作ってほしい、と指示をもらって作業するので、どんなデザインを作れば良いのか方向性をしっかり把握して、作業をする。という形になり、デザイナーってこういう形で仕事するんだ! 広告代理店や商業施設・ファッション系からの依頼はこういう感じなんだ! という驚きがありました。
いつもと違う環境なので少し戸惑ったのですが、
「いつもと同じようにクライアントに提案や相談するものだと思ってみよう」と思って、1案だけだと比較しづらいかもしれないなど、ちょっとコツがつかめてきたり、もうちょっと頻度高めに確認作業をしても良かったかな…と反省ポイントもありつつ、一ヶ月で進め方を掴めてきたところで大阪に帰らなきゃいけなくなり、少し惜しい気持ちです。
また、石黒さんにデザインを見てもらうとき、キーボードをパソコンと平行になるように直していたり、パソコンを触る周辺を常に綺麗に保つようにされてたりして、それ1つでMACと向き合う時の自分の中に緊張感が持てるのがデザインに影響するのを感じました。石黒さんと櫻井焙煎研究所に行ったとき「緊張感すごい感じる空間ですね!」と伝えると、そう感じれるのはいいことで、デザインする環境にも共通することだと教えてもらい、片付けることで頭が整理されるだけじゃなく、精神的な部分を通じてデザインへの影響もあるんだなと感じました。
002: 作業スピード
普段は一人で作業することも多く、時間配分が自分だけのペースになり、どうしてもゆっくりになってしまうことが多いのですが、OUWNの場合1つの案件に対してチームでデザインをするので、一人もたもたしていると全体が進まない!ということになるので、早く提案できる方法はないか?を常に意識して作業する必要がありました。
少し前までは「時間をかければいいものができる」という意識があって、少し手をつけてから寝かせたりとゆったりめに多かったのですが、「早く進めた分、たくさん検証できる」という石黒さんの言葉を聞いて、確かに!と思いました。1日の時間は限られているので、できるだけ単純な作業はショートカットで時間をかけずに良質なアウトプットをして進めるのがベスト、というのを感じました。
もちろん「時間をかければいいものができる」というのは間違いではないのですが、1つアウトプットをするのに全案件均等に時間をかけすぎていた、、という印象。また、どれくらいのスピード感で進めたら良いかが一人で作業しているとなかなか掴めなかったので、あ、私の作業遅いな…!という気づきにもなりました。
また1週間に1回ほど、OUWNでは個人それぞれが担当している案件を共有するミーティングがあって、担当している作業量の確認ができたり、「あれどうなってる?」とお互いの確認ができて、ついつい先延ばしにしてしまう作業を無くせたり、個人で抱えず、チームで共有することである程度のスピードを保てたり、良いアイデアが生まれたり、これはこうしたらいいんじゃない?とアドバイスがもらえたり、リモートのottoでも週に1回会うタイミングなどでしっかり共有していこう!と思いました。
003: 作業の効率化
OUWNでイラレを使う時にこのアートボードを使ってね、ともらったデータ、最初はなにこれ?!と少しびっくりしました。これ実は白いところは1つの大きなアートボードで、レイヤーにはA3の枠、提案用のフォーマットが入っています。
OUWN基本のアートボード。このformatを案件に応じて調整しながら、さまざまな提案資料を作成していきます。
作業をするときはA3のレイヤーは非表示にして、印刷するときは表示してA3アートボードを作成する・・(少し説明しづらい部分ですが・・)という感じの使い方をしたのですが、「提案用フ1ォーマットを探して新規作成」「印刷用に新規作成をして配置して印刷」のような作業が一切必要なくなります。短縮できる時間としては30秒ほどかもしれませんが、これから何度もするような作業をこれだけ短縮できること、めちゃくちゃ忙しいときは30秒でも惜しいのでottoもこの方法真似しちゃおう!と思いました。
特に、プレゼン前では1秒が勝敗を分けるということも感じ、この数秒の短縮をさまざまなところでやっていくことが重要だなと思いました。
また、みなさんショートカットキーを使いこなしていて、使いこなすとこんなサクサク作業できるようになるのかとびっくり。私も覚えなきゃなと思いつつ、全然使いこなせていなかったことを反省して、少しずつ真似して覚えることに。
個人的にすごく気に入ったショートカットキー ①command + shift + 4:スクショ範囲表示
②control を押しながらスクショ範囲指定・クリップボードに保存
③command + V:スクショの貼り付け
効率の良い方法は、作業をしていく中でスタッフで共有してどんどん更新していくこともあるそう。私ももっとスピードを上げる工夫をしなければ・・!と思いました。
また、出井さんに教えてもらったんですが、出井さんはWEBとその他のグラフィックでイラストレーターのアプリを使い分けていて、MACのデスクトップにはイラストレーターが2つデスクトップにあり、1つをWEB用、もう1つを普段のグラフィックデザイン用に使っていました。
小さな工夫ではありますが、WEB作業をするときに環境設定(px とpt の変更など)を毎回設定の変更をしなくてよく、なんか数値がおかしい!環境設定変えなきゃ・・ということもなくストレスなく作業ができるので、仕事の半分がWEBデザインの私にとってかなり嬉しい工夫でした…!
004: 仕事内容
OUWNでは基本代理店を通したもので渋谷スクランブルスクエアなどの商業施設、店頭POP、サイネージ・施設の外観に関わるものなど、デザインを見るときの距離感が普段意識しないものや、季節のイベントなどの案件も多いという印象でした。
OUWNの仕事についてのnote記事です
大きめの仕事をしていると小さなパッケージの仕事もこなせるよ、という石黒さんの言葉が印象に残っていて、大きめな依頼が来たとき、やり切れるか心配になってしまうのですが、萎縮してしまわず、できる仕事の範囲が増えるチャンスだ!と思って前向きに取り組みたいと思いました。
005: デザインの印象について
OUWNは広告系が多いというのも関係してか、カラフルで力強くて印象に残りやすいデザインが多く、いつもの自分の調子で作業を進めていると「あ、違うな」と思う瞬間が何度もあって、求められているのと違うテイストのデザインへの思考の切替えが必要でした。デザイナーはディレクターの意見を踏まえながらデザインを深く追求する必要が出てきます。最初は戸惑いつつ、いつもしないテイストや自由さもあって、こういうのも面白い!できないこともないかも!と思って進めると面白く作業ができました。
就職先はデザインのテイストが自分に合っているかやどんな仕事をしているかを見て「ここで働きたい!」と決めると思うのですが、テイストや仕事の幅を最初のころは的を絞らなくても、いろいろなタイプのデザインや仕事に触れるのは自分に何が合っているか再確認する上でいいことなのかも、とOUWNの仕事に触れてみて感じました。
006: デザインの文脈
研修中、OUWNにある本ついて石黒さんが教えてくれた内容が面白かったので2つの本についても簡単に紹介したいと思います。
JUERGEN TELLER JACOBS 1998-2009
ルイ・ヴィトンのデザイナーを勤めるマーク・ジェイコブスの自身のブランド『マーク・ジェイコブス』。そのレディーズ及びメンズのコレクションからアクセサリー、パフュームにいたる広告写真を10年以上続けていたヨーガン・テラーのキャンペーンフォト作品集。個性的な文化人をモデルに起用することでブランドの知性と独立性を際立たせてきたキャンペーン写真の集大成。
多数のファッション雑誌で活躍中のドイツ出身の写真家Juergen Tellerのこの写真集はなんと全て広告のために撮られたものだそう。写真集全体がシアンっぽい色味で、その本をきっかけに日本の広告写真もシアンっぽいものが増えたり、今まで日本のファッション写真が綺麗な白ホリやロケが多かったところを、この本もきっかけとなり、コンクリートの床でラフに撮ったものも良いイメージになったり・・その話を聞いてヨーロッパの方から流行やイメージがやってくる日本はやっぱり島国なんだな・・と日本の立ち位置を再認識したり、今まで見てきたファッション写真の見え方が深くなったり、物事の見え方が少し変わりました。
COMME des GARCONS: Six
コム デ ギャルソンが1988年から1991年にかけて1~8号までを発行した雑誌。アートやファッション、写真、デザイン、文学など幅広いテーマで構成、各号に刺激的なヴィジュアル/テキストが収録されています。
当時一般販売は一切されず、一部の顧客にのみ配布されたそう。フリーペーパーとしてもあったとか。売り物じゃないのにかなりのサイズ、かつ印刷が綺麗でほんとに無償で配布されたものなの?と思ってしまうほどしっかりできています。服は全く写っていないページがあったり(この時代ではかなり珍しいそう)ブランドを今までになかった手法で表現していてかなりインパクトのある内容でした。
映画に詳しい友達に映画の制作の背景や、監督についてなど詳しく聞いた時に映画の面白みが増すことがよくあるのですが、それと似ているような気がして、アートやデザインについて深掘りができたり、その人がどんなことを考えてその作品について作ったかを知っていると、より楽しんで作品を見ることができて、よりその時間が豊かになったり、自分で何か作る時もただかっこいいものを作るだけじゃなく、「実はこれはね・・」みたいな話ができるものになるよう意識できるんじゃないかなと思います。
OUWNの本棚には他にも写真集やデザインに関連する書籍がたくさんあって、デザイン事務所の本棚ってめちゃくちゃ色々あって面白い・・!丸ごと欲しいくらいでした!大阪に帰ったら本をたくさん買っちゃいそうです。
これからのこと
どういう環境で過ごすかや、どんな人と関わるかで経験できることや知識が変わってくるということを1ヶ月の研修をして、一番実感しました。ottoでの立場は実際にクライアントと打ち合わせやデザインの提案ができたり、ブランドが育っていく過程を見れたり、1から10までデザインができたり・・経験として幅広く積むことができる環境です。
OUWNの場合だと長く経験を積んだデザイナーがどうやって文字間を調整しているかを間近で見ることができたり、デザインの情報をお互いに交換できたり、毎回違った規模・違う性質の仕事ができたり、チームで作り上げていく感じが楽しかったり、スピード、本場、1から10を知りその先に立ち向かうようなイメージでした・・一人でデザインしていると「このやり方あってるのかな?」とモヤモヤを抱えたまま進めるので、間近で見ることができる環境はすごく羨ましかったです。
どういう環境にいるのが、今の自分や将来の自分にとってベストになんだろうと考えて、どちらの立場の経験も若いうちに積んでいきたい!というのが正直なところでした。
また、今までずっと関西で暮らしてきて初めて東京で一ヶ月過ごしたことで、関西と関東の空気感の違いをかなり感じました。展示会の多さや利便性、新しいものが日本のどこよりもまず先にどんどん入ってきて、入れ替わっていく・・若い頃は上京して、いろんなものを吸収する場所としてすごくよいのかもしれません。
高校生の頃からデザイナーになりたいなという目標があって、ここまできて、じゃあ次のステップは?というのを考えた時に、まだまだぼやっとしていて、デザインにも色々な道があったり、デザイナー以外の道もあったり、次のゴールを自分の中で定めないといけないタイミングなのかなとも。それが明確になることで、ottoでの仕事の進め方の意識が変わったりするんじゃないかなと思います。
1ヶ月いたことでかなり違いも感じたのですが、1年、2年といるとまたそれで見えてくるものもあるんだろうな・・と短い期間だったので少し惜しい気持ちです。
ただ、1ヶ月間でも実際にその場所で過ごしたり、自分の目で見て観察して考えることでしか得られないものがあるというのを強く実感しました。
4月は比較的落ち着いている時期だったこともあって、OUWNのみなさんとお話しする時間もたくさん作ってもらい、バタバタしている時だったら得られないようなことまでを知れたり、充実した一ヶ月でした。
石黒さん、出井さん、藤田さん、fumiちゃん、(鉄子さんや原田さんなどお会いできた方も皆さん)あらためて1ヶ月お世話になりありがとうございました。1年後、fumiちゃんに負けないように成長できるよう頑張ります!
石黒さんに東京を1日アテンドしてもらった時の1コマ。
変なポーズをしようとするfumiちゃん!