白日夢の中、歩く 〜セゴビア旅行記〜
翌18日、次の目的地セゴビアに向かう為に、早めに出発する事となりました。
セゴビアへは高速鉄道RENFEの急行でバルセロナから1時間くらい、普通だともうちょっとかかるようです。
車窓からの風景を見たかったのですが、急行で行くと早いだけあってほぼトンネル内を走っているので、あまり見ることができなかったのが残念。
最初の方だけ見れた車窓からの風景
ドイツとはやはり趣が違います
まぁ帰りに見るか〜と気を取り直し、乗ったと思ったらあっと言う間にセゴビア到着。
セゴビア駅の周りは何もない荒野が広がっていて、以前映画とかで見たイメージの通りで、おぉ〜何かスペインぽいっと、感動。だからスペインだってば。
駅ど真ん前の風景です、これが・・・
しかし駅の周り、本当に何もなく、セゴビア市内までの交通もバスかタクシーのみなのですが、この日は日曜のためタクシーは殆んど停まっておらず、しかもバスもたった今行ったばかりで、次が来るのが小一時間あと・・・。
同じ列車で来て、結構な数の乗客が降りたのですがみんな落胆。
確かに、日帰り観光で来てて、こんな所で一時間も足止め食らったらイラつくわな〜。
タクシーの列に長蛇の列を作ったり、観光案内所にみんな押しかけたりとそれなりの時間短縮、潰しと試みてましたが、バスが予定より早く到着してわらわらと皆で乗り込みました。
みんな術がなくてウロウロ
30分程乗車して、昼過ぎついにセゴビア到着。
そして目にしたものは・・・・・
水道橋!すげ〜〜〜〜っ!!!
どど〜んっ!て感じに現れた
写真で見るよりも凄い迫力、物凄いパノラマ、そして街並みも美しい・・・・・。
もうこの瞬間に、ああ、来てよかった本当に足を延ばした甲斐があった、と既にセゴビアに心を奪われてしまいました。
しかし翌日の飛行機のフライトが最初は夜だったのに、夕方に変更されてしまったため、明日の昼前にはここを去らねばなりません。
いそいで宿泊先にチェックインして、すぐさま街探訪に出かけました。
昨日からのクソ暑、いや地獄暑が続いてる上に、セゴビアは荒野の中にある街、そして旧市街は城下町なので日を避ける所も殆んどなく本当に暑い。
しかしそれでも黙々と旧市街を歩き、色々と探索するのだけど、暑くても本当に城下町は美しい。
激暑の日曜日という事で人が少なく、またそれにちょうど相まって、街を歩いてると白日夢のような雰囲気を醸し出すのです。
多分それは、中世の雰囲気をそのまま残す城下町によるマジックなのでしょう。
白日夢って言うより、熱射病とか日射病とかのが近いのかも・・・
迷路のような街中をウロウロさまよい歩き、次の目的地に到着しました。
アルカサル
写真はコンパクトにまとまってしまってますが
実物は本当にそびえ立っておられます。
ふわ〜〜ぁ〜・・・・っと、その威厳ぶりに感嘆。
ヨーロッパのお城を見たのは初めてなので、はぁぁ〜〜・・本当にお城だわ、と感動とも驚きともつかない気持ちでしばし固まってしまう。
さてこのアルカサル、ディズニー映画の白雪姫のお城のモデルになったそうで、田舎にあるんだけど、選ばれるのが納得の荘厳な佇まい。
中の感じはきらびやかと言うよりは、荒野にそびえ立つお城、というままの感じでどっしり構えたようなイメージで、何者にも屈しないような剛健な感じでした。
今でこそこんな風に観光地になって、訪れる人も多くて便利になっているけど、その当時にこんな荒野の中では、色々と領主も大変だったろうな、と想像を巡らすに難くありません。
城内から見た風景。
今は夏だから緑も豊かですが、冬だと風が吹きさらしで
どうしようもなく寒いだろうなぁ・・・と考えると足元からしびれそう
お城なので流石にある程度は豪華ですが、ベルサイユとかに比べると、
豪華絢爛ではなく、重厚な感じがするのではないかと思われます
城内を隈なく歩き、城下町も見倒したので、今度は宿泊先のオーナーが教えてくれた、お城裏手にある遊歩道を歩いてみることにしました。
清涼・・・・・・の一言に尽きる
城下町は観光客も多く、人少なめとは言えそれなりの喧騒でしたが、遊歩道はほぼ地元の人しか通らず、また川に沿って作られた道なので、木立も多く川のせせらぎが絶えず聞こえて来て、激暑さも少し和らいでくるかのよう。
オーナーさんはオススメだよ!と言っておりましたが、本当にオススメされるだけあって穴場中の穴場。
お城の下にある、木立の中の遊歩道なんて・・・中学生時代に夢見る乙女だった私が知れば、号泣していたかもしれません、気持ち悪いワタシ。
しかし涼しめと言っても暑いもんは暑い、決してその極暑さかげんを忘れることはなくフラフラさまよっていると・・・小さなカフェテリアを発見!!
森(もしくは林)の中のカフェなんて、中学生の私、また号泣。現在の私は砂漠の中でオアシスを見つけたような気持ちで号泣、だってホントに暑かったんだもん!!
ホントにオアシスを見つけたような気持ちでしたわ。
この飲み物も美味しさと乾きのあまり、もう一杯頼みそうになった。
そこでスペインの夏の飲み物だという“ティント・デ・ベラノ”という飲み物を注文。
ジュースの中に少し赤ワインが入っていて、さっぱりしてるんだけどアルコールも含んでいて、喉越しがいいので暑い時に飲むと一気に飲んでしまいたくなる感じ。
早朝に起きてからさまよい歩き続け、すっかり疲れていた私はアルコールのせいで軽く眠気を感じ、寝てはないんだけど旅行中のメモを取りながら、何か自分がどこにいるかわからない感覚に襲われました。正に白日夢。
しばらくここで休んだあとまた再び歩き出したのですが、横を流れる川のせせらぎがあまりにも涼しそうだったのと、暑さで頭がヤられてしまったのでしょう、突然思いつきで靴を脱いで川の中をジャブジャブ歩いてみました。こんなんしたの何年ぶりだろうか・・・。
入った川はあまりにも清流で、自分の足もくっきり見えるほど澄んでいます。
川底は石まみれなので、天然の足つぼでヨロヨロしながら歩いて、足も気持ちも心なしかスッキリして川を出てまた歩き出しました。
普段は絶対にこんな事しないんだけど、
丁度親子が水浴びしてて、やってみたくなった。
30歳ぐらい気持ちが若返りました。
さて遊歩道も終わり。
そろそろ夕方に差し掛かってきましたが、宿泊先に戻るにはまだ早い。
じゃあ今度は新市街の、市民が住んでいる方を目指してみましょう、と思い立ち、水道橋を挟んで反対側のエリアに行ってみることにしました。
時刻はだいたい午後4時頃、スペインはシェスタ(昼寝)の習慣があるので、街中を歩いていてもひっそりしております。
小さな街だけど、人が殆んど通らない中一人で黙々と歩いていると、世の中に自分だけしかいないような、孤独な様な不安なような、でも世界を自分だけが独り占めしてるような。
そんな不思議な思いを感じながら、ひたすらに午後のセゴビアを歩いてみました。
ブラジル以来(半年くらいか?)、久し振りに出会ったガラナ様。
散策中に入った商店でたまたま売ってた。
殆んど閉まってる中珍しい、と思ったらパラグアイ系の店でした。納得。
しかしこの日は本当に水分をよく買った。
ジュース、水を含めて合計8回・・・こんな事は過去に一度もない。
どんどん新市街に近づくに連れて賑やかさを増し、人通りも増えてきました。
時刻はもうすっかり夕方に近くなり、昼寝も終わり暑さの緩んだ街中で涼もうとしてる人達が家から出てきて、さっきとは打って変わった賑やかな街に変貌しています。
ここは人少なめですが、新市街全体はワイワイした感じで、
夏の夕方って感じが何ともノスタルジィ〜・・・でした。
こんな風景、どこかで見たことあるなぁ・・・・。
子供の時代の夏の夕方、暮れかかって涼しくなりかけた中を、友達と暗くなるまで目一杯遊んだ光景を何となく思い出しました。
新市街散策を終え、宿泊先に向かう途中の帰り道から見た風景は夕暮れになずんでいて、セゴビア旅行が終わってしまうのと、今日の一日が終わってしまうのに重なって、何とも言えず切ないような気持ちになりました。
またいつかこの光景が見れたないいな、と思いながら、夕暮れの中ようやく帰路に着いたのでした。
セゴビアの一日の終わり、私の旅行の終わりでもある。
セゴビアが大好きになった私は、その後も旧市街夜散策やら朝の遊歩道散歩も決行しましたが、この辺は繰り返しになるので割愛。
翌日の昼前のバスでセゴビアを離れマドリッドに向かい、その後大慌てでお土産など買い、今回のスペイン旅行を無事終えたのでした。
夜に散策した旧市街。
人少なくて結構怖かったんだけど、大丈夫な所はさすがヨーロッパ。
朝のアルカサル、朝ぼらけの中の姿もまた美しい。
本当に来て良かったな〜、としみじみ思った翌早朝。
朝のセゴビア、旧市街。これからご出勤の人々。
マドリッドはともかく、セゴビアは思いつきで行くことを決めたので、もしかしたらなんかあるのかも〜と軽く期待していたのですが、まぁ特に何があったわけでもなく。
でも今回のセゴビア探訪は、思いの外心に残る、美しい場所の記憶となりました。
興味のある人は是非行かれてみてください、私にとっては何から何までオススメです。
<オマケ>
今回の豚食。子豚の丸焼きはこの地方の名物という事で食べてみた。
一匹の丸焼きは一人だし絶対に無理だと思い、
若干安めの所を探したら、程よい感じの場所発見。
しかしこんなちょっとの量でも、最後は胸焼けがして完食は無理でした。
単にトシのせいなのか?
マドリッドの空港にて、この日最初で最後の食事。
朝から何にも食べてなかったので、勢い余って空港でガッついた。
ハムは手で食べワインはラッパ飲み・・・
よっぽど飢えてんだなと思われた事でしょう。
まぁ当分豚食えないし、許して頂きたい。