聞こえない血潮

破れたスーツの内ポッケトに血溜まりが
絵筆を浸して一気にカンバスに描き尽くす

たなびく鯉のぼりを視界に転写する
晴と雨の臨界は勝ち負けのように明白で白々しい虚言癖の悪夢に真実を隠蔽する光線が焼き尽くす

だから君の笑顔の理由がぼくではなくても陰惨な妄想を実行に移す
限度を知らぬ所有欲を美しい造花で飾りたてる

いつでもどこでも関係性の結節点に成れない逆立ちした弁証法の昇り龍
滑らかな下腹部に線を引いてみたくなる