砕けた硝子を踏みしめて

爆音に驚く君は少し震えていた。
  
憧れの人をバックステージに訪ねると汗とスプレー缶とやばい芳香が充満している。

躊躇う君に笑顔で差し出す憧れの人の手と
握り返す君の手が始まりの予感を確信に変える。

ふたつの魂がひとつになった秋。
「もう大丈夫」
「こっちもね」
破顔一笑。
世界は熱量を放出して転がり廻る。

裸足の足はズタズタに裂かれて血と破片が混交し未聞のbluesを絞り出すように痛みを生みだす。

絶望の慟哭は何度も乗り越えた。

掴みかけた夢
錯乱した栄光の舞台

選択肢は無い。
到達点は出会う前から知っていた。
脳髄を貫く串刺しの激痛を。

血で着色した人生を共に末期の路地裏まで
叩き割った心を見つめ合って疾駆するから。

まだまだ続く世界を取り戻すために。