【散文詩】鴉の空巣は透明な硝子

鳴けない鴉が猫真似て

今夜の宿を探す頃

子どもらカリカリ軒先に

コロコロお皿に盛り付ける

仔猫の危機を回避する

どちらも身命投げ打って

本能だけとは思われぬ

優しき鳩も

変らぬ過酷さ

薄汚れた濁世に

棲家を探して惑う十字路

踵を上げても届かぬ視界

見られぬ心痛

気づきもされず

すれ違う陽炎が発火