【散文詩】真紅の向日葵

そのうち真贋は蕩尽に慄いて

口腔に舌の虚数断片だけが闊歩する

斎藤の墓は見失い

弔いは未だ完遂せず

瞬時に気化した絶風に灼かれ

遠慮も至らぬ時の深謀が沙汰止み

意味が

意味が邪魔する

ふたりの

ふたりの噛み合わせ

お互いを奪って魂を嚥下する

ふたり

ふたりは塊

ひとり

ひとりは壊れて二酸化炭素を喰らう

無味無臭の不可視は化学記号

野望は資本を超えた欲張りおんな

傅いて足でも舐める透明なおとこ

結着は遍く沈む大地の裏面に到達した真紅の向日葵