肝心要を必ず忌避する烏合の衆の仲間に入りたい
知能指数の高い人の愚行を何度も経験した。
河童は人間をそう評している。
平均値で河童の知能は人間に劣っている。異なる種を同じ尺度で計っても意味はなさそうだが、少数派の河童は取り入る方途を選んだのだ。
河童の特徴として「能天気」な性向がある。危険と判断した物事から遠ざかることにかけては臆病と言ってよいほどだが回避する方法を身に付けるとそれ以外のことには無邪気すぎるほど楽しむことができる。
河童同士であっても他者からどう思われるかに関心を払わない。
独立独歩の自律志向ではなく単に能天気なのだ。
人間には不可能な人生の謳歌ぶりで、反転した感情が河童いじめにも表れている。
一緒に楽しむのではなく人は妨害をする。
河童も敢えて仲間になるように誘うことはない。
仲間より自分が楽しむことを優先する。
そんな河童だが身を守る術は個別の技能の他に河童全体を守護することに抜かりはない。
互助の精神は人を凌ぐ。
人は河童から学ぶべきものが多々ある。
しかし、人間として河童から学ぶことを忌避する。妙なところにプライドを発揮するのだ。
人間の愚かさのひとつだがやはり河童より人間に肩入れしてしまうのは仕方がないだろう。