【散文詩】抗えない日常の陥穽

掴む寸前に粉となる夢をみた

千々に統べる暴君の掌で惑う

付託されるイノチの茫茫と

風になびく

心はむせび泣く

別れ道で戯れの指先虚空を這う

好きで充つのは交配

眼差しに混入する蔑みに耐えられますか

どうせならいっそのことって

喧噪の静寂が浸透する午前四時

通り過ぎる風に振り返る人違い

無反応な気持ちに乾いている

喧噪と静寂が分離する午前八時

見ていない視線に焚かれて吊される

被害妄想ではない後ろ指の刺突

転げ落ちた地下鉄の踊り場が

青に充たされ浸血へと

囲まれてきこえる邪魔迷惑

搾られるように流れる体液が皆の足元を汚す