#7 フィリピンで感じた信仰と生活の距離感
フィリピンに滞在してまず感じたのは、ゆったりとした空気感。フィリピンのどこへ行っても明るくて大らかな雰囲気だった。
ショッピングモールのフードコートで私は遅めのランチを食べてぼーっとしていた。ランチの時間はとっくに過ぎていたので、埋まっている席はまばらだった。数人でお喋りをしている人たちもいれば、一人でいる人たちもいた。言葉で的確に表現するのが非常に難しいのだが、そこにいる人たちは特に何もしていないように見えた。今日は次にこういう予定があるとか、仕事しなきゃとか、そんなこと微塵も無いという感じ。ただただそこにいる感じ。
東京でカフェなどに入ると仕事や勉強をしている人が結構いてみんな忙しそうにしている。その雰囲気とのギャップがすごくて面白かった。
フィリピンにいると私も永遠にぼーっとしていられる気がする。心地よい。
もう一つ感じたのが、信仰と生活の距離の近さ。
フィリピンは大部分の人がキリスト教を信仰していると聞いていたが、その通りのようで、どこへ行っても教会があった。
驚いたのは、首都マニラの中心街にある巨大なショッピングモールの中にも教会があったこと。
私はキリスト教徒ではないのだが、少しの間だけ教会の中に入らせてもらった。
教会の中には沢山の人がいた。膝を折って熱心に祈っている人もいた。懺悔をするために順番待ちをしている人の列ができていた。
フィリピンの街を歩いていて、フィリピンの人たちはみんな穏やかで陽気で楽しい人たちに見えていた。でも実際は人間なのだから生きていると当たり前に悩みや不安もあるだろう。もしかすると、そういうものを教会に置いてきているのかなあと思った。
私は日本で暮らしていて嫌なことがあったりストレスを感じると、美味しいものを食べたり、友人とお喋りしたりして発散する。この人たちにとっては、そういう選択肢の一つとして教会に行くというものがあるのかなあと思った。
日本だと初詣で神社に行ったりお墓参りでお寺に行くことはある。信仰は生活の中に無いわけではないが、特別な行事として認識されているような気がする。一方私が見たフィリピンでは、買い物のついでに教会にも行こうかな(もしくは、教会に行くついでに買い物行こうかな)、みたいな、信仰はもっと日常生活の中に当たり前にあるもののような感じがした。