#6 フィリピンのガイドさんたち(3)
翌日の日の出ツアー(#5の続き)
翌日、私は早起きして、前日に洞窟を案内してくれたガイドさんに案内してもらって日の出を見に行った。
待ち合わせ場所でガイドさんと落ち合った。
ガイドさんが昨日家で、日本から来ているお客さんを案内しているのだということを家族に話したら、息子さんが今日一緒に行きたいと言ったそうで、息子も一緒に行ってもいいかと聞かれた。もちろん、と私は答えた。その後、息子さんとも合流して日の出が綺麗に見えるという山へ、乗合いのバンで向かった。
その子は小学校高学年くらいで英語が少し話せるようだった。バンを降りて山の頂上へ向かって歩きながら簡単な英語でお喋りをした。お父さんに似てあまりお喋りするタイプではないのか、それとも英語にあまり自信がなかったからか、自分からはあまり話さなかったが、私が聞くと学校のことや家族のことなど教えてくれた。
息子は普段は自分の仕事について来たいなんて言わない、今日が初めてだとガイドさんは言っていた。今日はどうしてお父さんについてきたのかと聞いてみたかったがなんとなく聞きそびれてしまった。
真っ暗な中、緩やかな山道を登っていった。私たち以外にも登っている人が多くいたので有名な日の出スポットなのだろうと思った。空が少しずつ明るくなってきた。だいたい1時間弱くらい歩いて頂上に着いた。そこには既に沢山の人がいて、日の出を待っていた。
山の間から太陽が少しずつ出てきた。天気も良くて綺麗な日の出を見ることができた。日が上りきって空が青くなったら、周りはだんだんと下山する人も出てきた。
ガイドさんの息子さんはリュックから何かを取り出して包みを広げ始めた。それは何かと私が聞くと、お母さんが朝ごはんにピザを作ってくれたのだと言って見せてくれた。美味しそうだねと私が言うと、少し分けてくれて一緒に食べた。ガイドさんもどこからかお粥を買ってきてどうぞと言って私にくれた。手作りのピザと温かいお粥が体に染みた。
その後私たちは山を降りた。息子さんはこの後学校に行くのだという。ガイドさんは息子さんを家に送り届け、私も町の中心へ送ってくれた。
とっても素敵な出会いだった。