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母分散推定の検定統計量導出
序
※ この記事は行間が一般的に広い「統計検定準1級対応 統計学実践ワークブック(以下ワークブック)」31章ベイズ法を読み進めるにあたって、統計検定準1級に合格できるレベルの橋わたし的な役割になるよう基礎的な内容だけ書かれたものである
前提となる基礎的な知識がある状態とない状態でワークブックの理解度にあとあと大きな差が出ると考え、またそのようにまとめているサイトがないこともあり今回こちらにて備忘録も兼ねてまとめた
ですので浅い解説や触れていないまま解説が終わっているものに関しては、別の資料等を参考にしていただければと思う
検定統計量について
一般的に検定統計量は平均が0、分散が1となるようにデータを標準化したもの
t検定の時はそれがわかりやすく書いてあり
$$
T = \frac{\overline{X} - \mu}{s/ \sqrt{n}}\\
{}\\
※ \muは母平均 sは標準偏差
$$
となりこれは標本平均は正規分布$${N 〜 (\mu, s^2/ n)}$$に従っているから
これらの値を使って標準化していることがわかる
一方母分散の検定統計量は一見すると標準化しているように見えない
$$
V = \frac{(n-1) s^2}{ \sigma^2} \\
{}\\
※ \sigma は母分散 sは標準偏差
$$
だが実はこれも標準化しているので
検定統計量が従う$${\chi^2}$$分布の復習から導入する
カイ2乗分布について
まず$${\chi^2}$$分布とは確率変数$${W = Z_1^2 + Z_2^2 + ・・・+ Z_n^2}$$が独立に標準正規分布 $${N 〜 (0, 1)}$$に従うのが定義だった
これを確率変数$${X_1^2 + X_2^2 + ・・・+ X_n^2 〜 N(\mu,\sigma^2)}$$を用いて書き換えると$${X_n}$$標準化すれば良いので
$$
W = (\frac{X_1 - \mu}{\sigma})^2 + (\frac{X_2 - \mu}{\sigma})^2 + \cdot \cdot \cdot + (\frac{X_n - \mu}{\sigma})^2
$$
これも自由度$${n}$$ の $${\chi^2}$$分布に従っている
そして分子は偏差平方和を表している
母分散推定の検定統計量導出
偏差平方和は不偏分散の式にも出てきており
$$
s = \frac{1}{n-1} \Sigma_{i} (X_i - \overline{X})^2
$$
よって偏差平方和は
$$
\Sigma_{i} (X_i - \overline{X})^2 (=偏差平方和) = (n-1)s^2
$$
となる
これを検定統計量の式に代入すれば
$$
W = (\frac{X_1 - \mu}{\sigma})^2 + (\frac{X_2 - \mu}{\sigma})^2 + \cdot \cdot \cdot + (\frac{X_n - \mu}{\sigma})^2 \\
{}\\
= \frac{(n-1)s^2}{\sigma^2}
$$
がわかり母分散の検定統計量を標準化から導くことができた
イメージとしては偏差平方和を母分散で標準化している
感じだろうか