君の腰をくだきたい
誘いまくる私と、1人も誘わない彼
2021年6月、結婚した。
北海道で 結婚パーティーを企画。
けれど、彼氏から夫に昇格した 彼は誰にも声をかけなかった。
途中、何度も確認した。「それでいいの?」
返ってくるのは
「きてくれるか不安」
「集まってくれる自信ない」
「俺のためになんて そんな…」
という言葉ばかり。
ほな、ええか。
そうして 7月に開催した結婚パーティーのゲストは全員、私の友達になった。
祝福されない怖さ
パーティーの2日間は それはそれは楽しい時間だった。
ドレスを汚したくて 色水の水鉄砲を撃ち合うリアルスプラトゥーンをしたり、美しいコースを競い合う ミニ四駆選手権を開催したり
BBQもしたし、花火もした。
ちょっと照れながら お互いへの手紙を読みあったら、ゲストが大泣きしてくれたり。
※全員にPCR検査をしてもらって陰性の確認のもと開催しています
日常に戻っても余韻は なかなか冷めなかった。
仕事が手につかず、ふとスマホを手に取ったある日の昼下がり。
彼が こんなツイートをしているのを見かけた。
なるほど
「祝福されない怖さ」
「義務で祝われる無機質さ」
そんなものがあったから、彼は自分の友人に声をかけるのを敬遠していたらしい。
でも、ほら最後に言ってるじゃん。
「幸せな週末でした」って。
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知ってる?
自分の大切な友人だったら、もっともっと幸せなんだよ?
そうして 私は彼に内緒で、彼の結婚パーティーを開催することを心に決めた。
共犯者アラワル
早速私は、彼の友人に連絡をする。
何度か顔を合わせたことがあった。
「サプライズの結婚パーティーやりませんか」
「いいね!」
そうして私は 共犯者をつのりはじめた。
結果、12人の 共犯者が 集まった。
さあて、いかに 彼を驚かすか?
zoomで 作戦会議。
出てきた案は
などなど。
彼が「謎解きしたい」と言ってたことを思い出し、謎解きに決定。
「プロのクオリティ出すの難しいだろうし、さすがに素人っぽくて バレるんじゃ」 という心配をよそに、これまで培ったスキルを駆使して準備を始める。
そうして出来上がったのがこのページ。
まったくもって 架空のイベントだが、それっぽい。
そして こちらが謎解きカード。
謎解きに携わっていた友人に力を借りた。
こちらは 鍵を入れておくための宝箱。
100均一で箱を買い、ドライバーで金具をつける。
準備はOK。
さて、彼に声をかける時がきた。
天才か!?!? 模範回答
「ねぇねぇ、これ行こう。 9/4の土日がまだチケットあいてる!」
彼にURLを送り、反応を伺う。
私の心臓は バクバクと音を立てていた。ここでバレたら 計画が丸潰れだ。
ページを開くやいなや、彼は興奮気味に こう話す。
ニコホテルの謎解き?え?まじ???? あのニコホテル? なになにコロナで限界?
は!!!これ行くしかないじゃん!救わな!ニコホテル潰れたら困る。
ニコホテル面白いことすんね〜〜〜 まさかほんとにニコホテルとは。しかも物語の登場人物、俺がそのうち描きたいと思ってる世界の登場人物じゃん
泊まれる謎解きはじめてだ。所要時間5〜7時間?へたし23時までかかるやつやん。謎解きも面白いといいな〜〜〜
天才的な反応だった。模範回答だ。
どうやら 彼は見事、騙されてくれたようだ。
私は胸を撫で下ろす。
あとは、当日までバレることなく過ごせるか。
これは バレたか…?
1週間ほど経過した ある日の午後、彼が ふと私に声をかける。
ねぇねぇ、ニコホテルの謎解き さぁ
おっと、バレたか???
「んー?」と 平静を装いながら 相槌を打つ。
進行状況によって夜ご飯らしいよ!
謎解けないとご飯食べれないかも!?
バレてなかった。笑
安心した私は
「まじ??? え、おあずけ…?🥺 ぺこりん?」
と 悲しそうな反応をしておく。
ちゃんとイベントページ 読みこんでるなんて可愛いすぎんか!?
感激しながら、「まあ 夜ごはん用意するの私だけどな」と心の中で つぶやく。
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後日、バレない自信が増してきた私は 自分から話題を振る。
「ねえねえ 来週無駄におしゃれしてこ」
いいね!スーツとかきてく?
「いいね!じゃあ私 ドレス着る」
仮面とかつけたいな
「あり!」
でも、他のお客さんもいるかな?
貸切ではないよね。一般のお客さんはいるなら、びっくりされちゃうかなあ
仮面つけてこうと提案するあたり、よほど楽しみらしい。
疑う様子は一切ない。
中学時代の演劇経験と、高校・大学・社会人時代の人狼で鍛えたポーカーフェイスが 功を奏している。
前日準備
前日、友人の力を借りつつ部屋を装飾。
謎解きのシミュレーションも行う。
よし、これでバッチリ。
準備が終わったのは深夜2時。
「仕事がんばった 今から帰る」と彼に連絡をしてタクシーで帰宅。
明日 来てくれる 共犯者たちに
「私たちは16時にホテルに到着するので 16:15から16:30の間にホテルの1101号室に直接 来てください」
とメッセージを送る。
準備をはじめてから2ヶ月弱。
「明日にはバレるんじゃないか?」と、ずっとヒヤヒヤしていたけれど、なんとか当日を迎えられそうだ。
第一関門、チェックイン
「無駄におしゃれしていこう!」という私の誘いを まったく疑うことなく スーツに着替えた彼。
正装で 謎解き会場へ向かう。
会場のホテルは 無人チェックイン。
今までもう10回以上きたことのある思い出のホテルだ。
今まではいつも、タブレットでチェックインが必要だった。
しかし 今日は 前日に チェックインを済ませてしまったので、タブレット操作はできない。
「事前にWEBチェックインしておいたんだ!ポストの番号は XXXだって!」と言って 彼を直接 ポストへ誘導。
彼は 私の言葉を疑うことなく
ニコホテル便利になったんだな〜
なんて いいながら部屋のキーを受け取る。
そうして、部屋に到着。
第一関門、クリア。
いざ、謎解きスタート
机の上にセットされた謎を見て彼が一言
お、いいね〜〜〜
彼のテンションは心なしか高いようだ。
最初の指示はこちら。
「部屋の中を探検し、24枚の紙を探せ」
カードの指示に従い 手分けして 部屋に隠された 謎解きカードを探していく。
次々と 見つかる謎解きカード。
早速 謎を解き始める。
必死に考えるも なかなかヒラメかない彼。
すべての答えを知っている私は 絶妙なタイミングでひらめいたフリをする。
何も知らない彼は「すごいねぇ〜〜〜!」と素直に私を褒める。
私は彼に ドヤ顔をしておく。笑
何度も ニヤけそうになるのを我慢し、とにかく自然に振る舞おうとつとめる私。 彼は 微塵も 疑う素振りを見せない。
最後の1枚、、、禁じ手 出動
順調に 進んでいたかと思いきや、私たちはピンチを迎えていた。
謎解きカードが1枚足りなのだ。
しかも よりによって、それがないと進めない 一番大事なカード。
部屋に到着してから既に40分が経過していた。
もし、このまま見つからなかったら?
別の部屋で彼の友人がスタンバイしている…
何時間も待たせることになる。
さすがに…それは….
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そうして、私は禁じ手を使った。
「ごめん、部屋の外に カードおいてくれない?」
別の部屋で待つ友人に 予備のカードを準備するよう頼む。
セット完了。
あとはタイミングよくそのカードを回収するだけ。
「うーん、最後の1枚見つからないね〜」
ないね〜〜〜 ほんとにあるんかな
「ひょっとして部屋の外とか?」 しらじらしく言う私。
うーん、さっき見たけどな〜 まあ一応みとくか。
と 言いながら 2人で 部屋を出る。
次の瞬間、目に飛び込んできた 謎解きカード。
「あるやん!」
「マジか、さっき見たと思ってたけど 確認が甘かったわ…」
と素直に自分の行動を反省する彼。 すまんな。笑
1つ目の鍵ゲット
無事、最後のカードを見つけた私たちは謎解きを続行。 4桁の数字を見つけ出し 宝箱を開ける。
出てきたのは…
部屋番号が書かれた鍵と、小さな鍵、そして3桁の数字を示すダイヤルロック。
1101号室に行けってことかな
「そういうことやな」
ほな行きますかい
「うぬ! あ、ちょっと待って!トイレ行きたい」
そう言い残し、スマホを片手にトイレにこもる私。
別の部屋で待機する 友人のグループLINEにメッセージを送る。
まずは直接、1101号室に向かう。
「今の気持ちは?」 と聞くと 彼は
楽勝♫
と答えた。 いや、ほとんど謎は 私が解いたけどな。笑笑笑
2つ目の鍵ゲット
1101号室に到着。
扉は鍵が閉まっている。
一緒に入っていた 小さな鍵で開くはずもなく…
「じゃあ下か!」と1Fのポストへ向かうことに。
たぶん俺たち早く解きすぎてる気がする
と 上機嫌の彼。
いや、むしろ時間オーバーしとるんよ。笑笑笑
これで 謎解き 終わりかな〜
「え〜、イベントページには5~7時間かかるって書いてなかった?」
そんなことを話しながら 1階に降り ダイヤルロックに示された数字を頼りにポストを開ける。
2つ目の箱をゲット。
南京錠に小さな鍵をさす。
あいた。 中を開けると 今度こそ 部屋の鍵。
そして 鍵の他には2枚のカード。
「次の部屋で13枚の紙を探せ」と「ぜ」と書かれた謎の紙。
まだあるじゃないですか〜〜〜
と 次の部屋に仕掛けられているであろう謎に期待する彼。
「レッツゴー!!!」と私は 元気にお返事。笑
いよいよだ。
最後の扉、 緊張の瞬間
チン♫
エレベーターで 11階に到着。
鍵を持った彼は ズンズン進む。
今度は見逃さないぞ!と言いながら、部屋の外にカードが隠されてないか探す彼。
んなもん ないけどな、と思いながらも 一緒に探すふりをする私。
カードが隠されていないことを確認した彼は、鍵をさし、勢いよく扉を開ける。
ガチャ。 部屋は薄暗い。
こんにちは〜
誰もいるはずのない部屋に 挨拶をして入る彼。 なんて 育ちがいいのだろうか。
部屋は装飾されている。
おっ!そういうタイプの部屋ね
と彼は早合点する。
その時、カーテンが揺れた。
「うわ、カーテン動いてもうた。誰かいるのバレてもうた。これはしくったか?」
と内心 焦る私に対し
え?誰かいる!?!?!?
早く着きすぎた?
スタッフの人が間違えちゃったかな???
と心配する彼。
なにはさておき、部屋の電気をつける。
バルーンで装飾された可愛い部屋だった。
壁にはたくさんの写真が貼ってある。
、、、へ!?!?
彼はフリーズした。
そりゃそうだ。
壁に 自分の写真が貼ってあったら 誰だって驚く。
え?なんで?どういうこと!?!?!?
状況を飲み込めず、フリーズする彼。
.
.
.
次の瞬間、
パーーーーン
パン、パーン、パーーーーン。
爆音がした。
10連発の クラッカー。
驚きのあまり彼は 腰を抜かした。
大成功。笑笑笑
友人たちは皆、笑う。
彼は なおも状況を飲み込めない。
「え?あ?え?」
彼は再びフリーズした。
友人たちはそんな彼の反応を心から楽しむ。
「いい反応〜〜〜!!!」
こわっ!!!
1分ほど経ったろうか、ようやく処理が追いついたらしい。
壮大なフリーズの後、彼は 私の方に向き直り こう聞いた。
え、あのページまりーちゃん作ったん?
うん
は!?!? 謎解きも?
うん
は!?!? こわ!!!え、こわ!!!
彼の反応に私は 満面の笑み。
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.
.
さぁて、主役の到着だ。
結婚パーティーのはじまりはじまり。
(つづく)
次回予告
・13枚のカードを探せ
・突如はじまる謎のラジオ、、、え、誰?
・集まった72通のお手紙
・写真ケーキと巨大スプーン
乞うご期待!