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有名建築士の出演動画でミスリードされそうになった方の話

高性能な家づくりを考えている方の多くが、今やyoutubeなどの動画で情報を取得し、お気に入りの配信者さんがいらっしゃる今日この頃。

オースタムの見学会に来られる方とお話しても、予備知識をしっかり持っていらっしゃる方多いです。

先日の見学会でも、しっかりと情報収集し続けられているお客様にご案内させて頂きました。

その時に出た、最近の動画の話題で、「おや?」と思う情報を頂いたので、今回はその内容についてちょっと真面目に書こうと思います。


「アクアフォームって、透湿すると思っていたのですが、実はしないんですね。」


その方が言うには、某有名高気密高断熱住宅を得意とする設計室さんが「アクアフォームのスキン層をがあってもなくても、防湿層がある」という動画が出ていたとの事。

そんなことあるかい!と思いつつも、私の不勉強もあり得ると思いなおし、念のため視聴して確認しました。


この動画、お客様が誤認しやすい編集になってるかも。

まず大前提として、その動画では、アクアフォーム自体の透湿性が高いとか低いとかいう事を話題にしておらず、

スキン層がある場合とスキン層をカットしてしまった場合の比較しかしていません。

ではあるのですが、どちらも透湿しなさそうな印象と取れかねない微妙な編集になっています。

そもそも、吹付硬質ウレタンにはいくつか種類があって、アクアフォームは「A種3」という種類に入ります。

フワフワのグラスウールやロックウールがに比べ、発泡湿気を通さなそうな見た目をしていますが、現実に日本ウレタン協会も、アクアフォームの開発元である日本アクアも、施工時に透湿防水シートの必要性をマニュアルに記載されてます。

水は熱を通しやすくしますから、断熱材が吸湿するとカタログ数値に比べ大幅に断熱性能がダウンします。

詳しい原理は、ずいぶん昔に書いたブログですが、こちらに書いてあるのでご確認を。

断熱材にこだわる理由

結果、実質的な断熱性能の低下や壁体内結露など、のちに構造体にも悪さするようにならないように施工しなければなりません。


ちなみに動画内のアクアフォーム120倍発泡品の透湿抵抗値の計算式を出してくれていることから、カタログに出ていないその透湿抵抗を算出比較することができます。


(画像は日本アクア Youtubeより)


透湿抵抗を計算するには、画像の平均1.5の逆数を10の-3乗で割ってあげればいいだけだから・・・

アクアフォーム120倍 透湿抵抗=0.00066

では、ほかの材料と比較してみましょう。

数値参照は旭ファイバーグラスホームページより

※数値が大きいほど、湿気が移動しにくい。

コンクリート     =0.0336

木材         =0.005

グラスウール     =0.000588

セルローズファイバー =0.000645

吹付け硬質ウレタンフォーム断熱材A種3

(100倍発泡ウレタン) =0.00079

吹付け硬質ウレタンフォーム断熱材A種1

(30倍発泡ウレタン) =0.00258


上記比較からわかるように、アクアフォームってグラスウールと同等に透湿します。

なので、グラスウール同様に、例えばフラット35の適合証明を受けようとした場合、透湿防水シートを施工が義務付けられます。

逆に吹付硬質ウレタンフォームでもA種1になると、透湿防水シートの施工しなくてもOKという除外規定あります。


ただ、もちろん上記数値は「厚み」という概念が入っていません。

理論上で言えば、厚くなればなるほど、透湿しずらくすることはできます。

実は、今回話題にしている動画の別の回では、そのあたりの話をしているのですが、あえて別動画に分かれて編集されていることから、一般の方に対して誤解を招く表現になってしまっているのではないでしょうか。

この動画、アクアフォーム製造販売の日本アクアが、某有名建築士にゲスト出演している形なのでしょうから、建築士さんに日がある訳ではありません。

むしろ、分割された別の動画でちゃんとポイントを指摘されています。

多分ですが、都市伝説を信じて「スキン層をカットしないで施工してほしい。」という依頼が増えてしまった日本アクアが、その誤解を解きたいために分けて編集した動画に思ってもいない意図が加わってしまったのでしょう。


でも、動画で学ぶ怖さって、やはりココなんだと思います。

編集の仕方で、受け取り方が変わってしまう。

怖いですね。

信じている人本人が製作した動画か?他の動画にゲストで出ているのか?

切り取られた内容ではないか?

情報過多の世の中、ファクトチェック、大事にしていきましょう。

今回話題にした動画はこちらから。


hiroyuki


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