意味のある涙を流す時。
僕は泣いていた。
タオルは涙でビタビタだ。
そのタオルを絞って、出た涙はちょっと汚れてしまっている。
この涙はどうして出た涙だったのだろう。
この涙は、初めは奇麗な涙じゃなかったんだろうか。
純粋で穢れの無い美しい涙だったのではなかったのだろうか。
でも、それはちょっと前の事だ。
今ではもうちょっと薄黒く汚れている。
でも今は、汚れた涙が出切ったので、僕の心は結構、白く美しくなってくれたかも知れない。
僕の体はデトックス作用で、涙で全てを洗い流してくれたのだ。
だから涙は汚れてしまった方がいい。
だから、涙は尊いのだ。
だから、涙は美しいのだ。
涙が出切った僕は、もう悲しくなかった。
涙で一杯に埋ったプールに身を浸した。
ビニールで出来たバンビの絵柄のプールは、
子供用なので両手足が飛び出している。
アイスピックで穴を開けたら、水がちょぼちょぼと抜けていき、お漏らししたような感覚に見舞われた。
気持ちいいような、悪いような。
ちょっとプールでお漏らしするちびっ子の気持ちが分った。