クルクルぶん回してジャンプしろ!!
僕はライブ会場で、僕はハンドタオルをグルグルぶん回して、ジャンプしていた。
席の隣には彼女。
同じくジャンプしながら、ハンドタオルをぶん回していた。
三千円のハンドタオル、でもそれは決して高くない。
そのハンドタオルには、彼女との思い出が入っているから。
そんな事もあったな。
僕はお風呂上りに、体を拭いた。
髪の毛はいつも違うタオルで拭くのが、僕のルーティーン。
「あれ?いつものタオルが無い」
僕は体も半分濡れたまま、パジャマに着替え、
洗面所を出た。
「おい、俺のハンドタオルは何処だよ」
すると、ダイニングテーブルの椅子に座った彼女が振り向いた。
彼女は僕の奥さんだ。
「ああ、小学校で雑巾がいるからって、雑巾にしちゃったわよ」
ライブ会場のデートはもう昔の事。
僕だけがいつ迄も、あの日々の記憶を覚えている。
彼女はもう新しい生活に埋もれて、僕との二人だけの日々を忘れてしまったのだろうか。
あの時の記憶よりも今現在を生きている彼女。
僕だけがあの頃に置いていかれている。