金継ぎ。
ガラガラッガシャン!
棚の中のお皿を一切合切割ってしまった。
確か母親が前に、このお皿は私が結婚する時にお祖母ちゃんが嫁入り道具として持たせた
高級品セットだった。
――どうしよう・・・。
どうやって隠そう。
僕は窓の外の犬小屋に目をやった。
あの中にぶち込もうか・・・。
いや、皿はごっそり割れている。
棚はごっそりとがら空きだ。
僕はどうすればいいんだよ~。
ふらふら―フラら~。
ああ、羊が見える。一匹、二匹、三匹・・。
僕は現実逃避を始めた。
そうだ!金継ぎをやろう!
亡くなった祖母は、金継ぎの教室に通っていた。
祖母は奇麗なお皿を集めるのが好きな素敵な女性だった。
旅行の好きな女性で、お祖父さんが生きていた時は、よく二人で旅行に行っていた。
母は神奈川県の平塚に行くのが好きで、毎年
平塚の珍しいお皿や箸置きを集めては、食卓に彩りを与えていた。
そんな祖母が母に送った高価なお皿を僕は割ってしまった。
どうしよう・・・。
僕は割れた皿の破片を手に持って、泣いた。