ひらめきの瞬間
昔アメリカのアラスカ州の大学へ訪れた事がある
学校見学のツアーがあるか聞きに窓口へ行くと
窓口の女性は私たちが大学入学希望の学生だと勘違いされたようで
個別に学校の施設を紹介してくれる事になった
大学の敷地は広く、あっちこっち歩いてると道にチェスボードが置かれていた
アメリカの大学では道にチェスボードが置かれている事は珍しくないらしいのだが、
その光景を初めて見る私は興奮した
すると案内してくれていた女性がチェスの駒を一つ動かして次の場所へ向かった
なぜ一つだけ動かしたのだろうと思いながら私は彼女の後を追った
次の施設を見終わり、元の場所へ戻ると先ほどのチェスボードでは反対側のチェスの駒が一つ移動していた
案内してくれていた女性によると、道を通った学生が駒を動かしたのだと言う
どうやら学生はチェスの対戦を友達同士で行うだけでなく
このようにチェスボードの横を通るたびに一つ駒を動かし、見知らぬ人と長期的な対戦をする事も多いらしい
その事を教えてもらった瞬間
私の中で何かが弾ける音がした
ときめきとかひらめきってこんな生まれ方をしているのだと思う