Our Music:Tatebayashi 制作ノート #4
4話で取材したのは館林を拠点にするクルー"ZHGS(ジグス)"のラッパーRwyL、y4、SLINKY DOGの3人。
彼らの楽曲も紹介したいところですが、WEB上で聴ける曲はまだ特にないみたいなので、動画の本編でチェックしてみてください。制作途中のデモをちょっとだけ聴かせてくれた場面が使われています。やはり館林の事をラップすることが多いようで、自分の足元のことを掘り下げて言葉を生み出す彼らには、単純な地元愛というだけではなく、言葉を扱う事のへの誠実さや力強さを感じました。
動画に出てくる話題以外にも、館林在住のラッパーならではのリアルで面白い話をたくさん聞きました。ラップを始めるきっかけや、影響を受けた仲間、館林での生活や仕事の事や、館林のラーメン屋情報(しかも、かなりたくさん)まで。
その中で館林出身の有名人としては宇宙飛行士の向井千秋さんがいるという話もしたのですが、聴かせてもらったRwyLくんの楽曲のリリックの中にも向井千秋さんの名前が登場していました。館林から宇宙へ。誰もが知る館林NO.1の有名人だとその時に実感しました。ということで翌日には館林市内にある"向井千秋記念子ども科学館"にも取材のために行こうと思ったのですが、こちらはコロナウイルスの影響で休館していたため訪問は断念。残念でした。
向井千秋さんにちなんだ宇宙に関する展示やプラネタリウムがありますが、それ以外にも館林の岩石・鉱物、動植物などに関する展示もあります。
向井千秋記念館子ども科学館の隣にあるのは"田山花袋記念文学館"。田山花袋は館林出身の小説家。1872年生まれで代表作は『蒲団』『田舎教師』などの自然主義派の作品です。
さらにその並びにあるのは"旧上毛モスリン事務所"。和洋折衷の特徴的な建築に大きな棕櫚の木が映えてエキゾチック。とても目を引く建物です。"上毛モスリン"は明治大正期に館林で織物業を営んだ企業。近代の館林において代表的な企業でした。
同じく館林が拠点の代表的な企業としては"正田醤油"があり、駅前や街の中にも正田醤油の看板はよく見かけました。創業145年の超老舗醤油メーカーです。全国のスーパーなどでも見かけますね。
森繁久彌主演映画の"駅前シリーズ"の中には、そんな正田醤油とタイアップしたシーンも登場する『喜劇 駅前茶釜』(1963)という作品が存在します。(途中のお祭りのシーンでやぐらの後ろに"正田醤油のキッコーショウ"の垂れ幕が映ります。)内容は"呑福茶釜"という茶釜を巡ってのドタバタ人情コメディ。 ジャイアント馬場が普通に役者として出演しつつ、後半は派手な立ち回りで大暴れするのも見所。多彩なキャストが縦横無尽に動きまくるが、どこか牧歌的なムードが漂っています。赤城山のふもとにある"呑福寺"というお寺が物語の舞台になっていますが、これは分福茶釜の舞台とされる館林市の"茂林寺"がモデルになっていて、実際のロケ地になってるようです。何度か登場する観光客で沸く駅前の映像は、おそらく当時の茂林寺前駅でしょうか…。その映像から分福茶釜の地として観光客で賑わう当時の館林のムードを想像しました。今度は茂林寺にも訪れてみたいですね。
他に館林出身の有名人の中にはミュージシャンだとオカリナ奏者の宗次郎もいます。市内では宗次郎のコンサートのポスターも何度か見かけました。ギターウルフの初代ベーシストのビリーも館林の出身です。館林から世界中を駆け巡ったミュージシャンのひとり。
話をZHGS戻すと、彼らは東京でライブする他には、館林から利根川を渡った南西にある埼玉県の熊谷のラッパーとの交流もあると話していました。館林からは距離にして約20km。利根川がちょうど群馬県と埼玉県の県境になります。
熊谷といえば2019年にリリースした2ndアルバム『GODBREATH BUDDHACESS』が最高だった"舐達麻"の地元でもあります。
彼らもまた自分たちが見てきた街の風景と、その中で経験した出来事を音楽の中に落とし込んでいます。ローカルから生まれるリアリティ。
ということで最後はリリックや映像の中にも熊谷が登場する舐達麻の曲を。
(VTM)
・舐達麻「GOOD DAY」(2019)
動画は LINE NEWS 「VISION」にて配信中
https://news.line.me/issue/oa-vi-ourmusic/byhgtc1ik4jz