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童貞への共感と青春時代

卒業しても、20代になっても、30代に突入しても、変わらないあの時の思い出。「童貞」という二文字を見ると自然と心が躍る。

転校きっかけで、小2あたりからそもそも女の子が得意じゃなくなった。同じマンションに住む同級生の女の子に、「一緒に帰ろう!」と言われ、照れくさかったから断った。今思い返すとまさに思春期の童貞のよう。翌日から始まるその子からのストーカーまがいの行為。きっと誘いを断った転校生の俺が憎かったのであろう。距離を置いて歩いていても、走って距離を縮めてくる。抜いてもらうべく立ち止まると、その子も止まる。話しかけもしないくせに、必ず同じエレベーターに乗るように調整してくる。マジで怖い。

小学生の自分は、トラウマなのかわからないけど、日本人の女の子に興味が無くなって、欧米人に憧れた。それこそ当時デビューしたばかりのChristina Aguileraとか、好きだったWWFのレスラーとか。将来はアメリカに住んで国際結婚しようだなんて、割と本気で思っていた。童貞のくせに思考だけはマセガキである。


中学に上がっても、やっぱり女の子が苦手。中1で出会ったやたらうるさいギャルのクラスメイト。窓際から太陽光を鏡に反射させて俺の顔に当てて遊んでくる。意味わからないけどスカートの中を見せてくれたこともあった。童貞であると同時に思春期を迎えていたからか、喜びではなく遊ばれているイライラで更に女の子が苦手になった。

親友は彼女がいた。他の親友も恋をした。みんなの恋の話を聞いて、漠然としてはいるものの、恋って良いんだろうなって思った。でも、自分には好きな人ができない。

中学の時に聴いたGOING STEADYの名曲、童貞ソーヤング。残念ながら恋はしてなかったけど、してなかったのに、漠然と感じる憧れ。峯田の魂の叫びが心を揺さぶって、当時の自分の心となんだかリンクしたような気がした。

修学旅行。童貞たちの集まる夜。童貞らしい話題だらけ。ピンクなんだけど、若さを感じるというか。きっとみんな同じだよね。


中学三年生。初めて気になる人ができた。派手ではないけど、生徒会に入って、運動もできて、頭が良くて、笑顔がかわいいクラスメイト。所謂優等生タイプ。

文化祭。当時組んでいたバンドで、全校生徒の前で演奏をした。でも、リーダーと喧嘩したボーカルの子が直前に脱退してしまった。ヘルプで歌ってくれたのがこの生徒会ちゃんと、その友達。すごくお世話になったのに、気になってたのに、緊張してあんまり話せなかった。だって、童貞だし。

ある日の席替え。くじ引きで引いた席は、生徒会ちゃんの隣。(なんと、生徒会ちゃん俺と隣なことをめちゃくちゃ喜んでくれてる・・・嬉しい。。)でも、素っ気ない振りをしてしまう。これはもう思春期の童貞。でも、メールアドレスを聞かれて、家で結構メールしてた。学校で緊張して話さないくせに。。

卒業近づくバレンタインの日。生徒会ちゃんに、放課後教室に残ってほしいと言われた。青春だ。。こんなドキドキしたこと、今までの人生で無かった。

・・・・・・・

でも、来たのはその子じゃなかった。その子の友達。バンドを助けてくれた、”もう1人の子”だった。

結局後日この”もう一人の子”に告白されて、ごめんなさいした。

席替えの喜ぶ素振りも、交わしたメールも、友達のためにやってたというか、友達の好きな人には好意的になるあの感じというか。そっちだったのねって。甘酸っぱい。


一番好きな映画の一つに、『スーパーバッド 童貞ウォーズ』という作品がある。高校生のイケてない童貞3人組が、イケてる女の子を追いかけて童貞卒業を目指すコメディ映画。本当にくだらない。でも、童貞独特の友達を大事にする感じというか、所謂ブロマンスなんだけど、めちゃくちゃあったかいんだよね。俺も中学からの男友達とか、大好きだもん。

結局童貞時代の良いところって、男との純な友情物語だと思ってる。女の子との恋や楽しいことを知る前の、男同士の信頼関係。

高校進学以降は色んな人と付き合って、女の子嫌いもなくなった。でも、童貞の気持ちは一生忘れない。『スーパーバッド』も、『童貞ソーヤング』も、いつだって再生すればあの頃の俺たちに時間を戻してくれる。

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