未来ビジネス図解「仮想空間とVR」の執筆背景について
株式会社往来から上梓した「仮想空間とVR」のコンセプトや執筆背景について、著者のひとり 堀 正岳(ほりまさたけ)のTweetを抜粋しました。
本書はVRとはなにか、VRにまつわるビジネスの展望、そしていま注目が集まっているソーシャルVRについて初心者向けにまとめた本です。
iPhoneが登場したころに「これは世界を一変する技術だ」と一部の人は気づいていましたが、世間一般はその認識はもっていなかったと思います。
VRについても同じです。多くの人が「VR?自分には関係ないのでは?」と思っているうちに橋渡しとなる本を作りたい。それが基本コンセプトです。
本書はもう一つの意味でも橋渡し的な意味合いをもっています。それは著者らがVRビジネスを専門としておらず、いわゆる「ガチ勢」でもないところから来ています。
多くの先人とガチ勢の人々が切り拓いている世界を、まだVRに触れたことがない人に簡単な言葉で紹介したいと思ったのです。
ところで本書の著者はみなVRChatにハマった人々だったのですが「VRの現状と未来」というテーマで本を書くとなると、その話ばかりをしているわけにはいきません。
このあたりのバランスに苦心して、最初はVRChatがまるで登場しないまま執筆が進んでいた時期もありました。
そうしてVRとはなにか、VRの始め方、ビジネスにおける応用といった話題について分担して書いていたのですが、ずっとどこかでVRChatを念頭においているのに、それについて触れていないという不自然さがありました。
それが原稿入稿の一ヶ月ほど前になって大きく動きます。
VRChatについて副次的にしか語っていなかったことが本全体のクオリティを下げていると判断して、大きく本の構成を変えることになったのです。
章の数は変わりますし、登場する実例も入れ替えになりますし、これまで書いていた原稿は別の場所に飛び回ります(笑)
しかしそうして書き直してみると、あらためてこの本が「VRメタバース」について書きたかったのだというスタート地点に戻ってくる結果になりました。
本を書いていると不思議とこういうことがよくあります。回り道をして、結局同じ場所に戻ってくるのです。でも一段と深みをもって。
本書には、まだ誰も専門家が存在しない萌芽的な内容も多数含まれています。たとえばVRにまつわる新しい専門職の誕生や、メタバースにおける法整備と倫理の問題、メタバースにおけるアバターの重要性などです。
これらは本来、もっと深く語るべき箇所ですし、チャンスがあれば挑戦してみたいです。
こうした萌芽的な話題は、やがて当たり前のものになるはずですが、いまだからこそ話しておく価値があります。
本書では、いつ実現するかわからない夢物語ではなく、1, 2年後にはもう常識になっているくらいのちょうどいい熱さの話題を選ぶようにしました。
そうした未来予想図の箇所について、著者たちだけでは無理だった深みを与えているのが最終章のインタビューの数々です。
多忙の中、取材に協力してくださり、原稿のチェックに協力いただいた専門家の言葉が、本編を書いている我々をどれだけ勇気づけてくれたことか。
こうして本書は、初心者向けの包括的な話題を扱うITビジネス書のジャンルでありながら、世界でもまだ類書がない話題にまで踏み込むことをしています。
少なくとも「VRメタバースとしてのVRChat」の話題に踏みこんで解説している本としては世界初かも?
というわけで自分にとっては「iPhone情報整理術」や「モレスキン本」でやったのと同じような、ささやかながら世界で初めてこの側面を語ることができた本として感慨深いのがこの『仮想空間とVR』です。
(堀 正岳)