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清原和博氏は薬物依存と闘い続けている件

▼薬物依存で苦しんでいる人や、そのそばにいる人にぜひ読んでほしい記事が、2020年1月25日付の朝日新聞に載っていた。

元プロ野球選手の清原和博氏(52歳)へのインタビューである(大岩ゆり記者)。見出しは、

〈根性意味ない病との闘い〉

▼清原氏のプロ野球選手としての業績を知っていれば知っているほど、以下の言葉は衝撃的だ。

「僕は気合と根性は誰にも負けないと自負して生きてきました。でも、薬物だけはだめでした。それに気がついたのは逮捕後でした。」

薬物だけは、気合と根性が通用しないのだ。

「いま薬物で苦しんでいる人には、一刻も早く専門的な治療を受けてほしい。」

「体験から言えるのは、独りでは依存症と闘えないということです。周りの人は当事者を孤立させないように受け入れ、支援の手を差し伸べてあげて下さい」

▼薬物依存は「孤立の病」であり、「否認の病」である。これは、これまでも何度か書いているが、大切なことは繰り返さねばならない。

依存症は自業自得だとか、自己責任だから、などと他人の受け売りを繰り返し、人の不幸を評論して自己満足に耽(ふけ)る人が多い。

▼自己満足が目的の人は、〈高校野球やプロ野球での活躍も含めて自分の価値を否定し、「消えてしまいたい」と落ち込んでいた時期があった〉という清原氏の信じられない言葉を読んだり、「そんな時に、たとえばダルビッシュ有さんの『さぁ皆で清原さんのセカンドチャンス、応援しましょうよ!』というような温かい言葉は、うつの薬の何倍も僕を元気づけてくれました」という言葉を読んでも、自分の考えを変えることはないだろう。

そもそも、言葉を発する目的が違うからだ。

病気の人には、治療が必要なのである。

病気で苦しんでいる人に対して「自己責任だ」「自業自得だ」「甘えているだけだ」「努力が足りない」等々と責める無知な人が多い社会は、生きにくい社会である。

この問題は、〈日本社会に「QOL(生活の質)」という名の優生思想が浸透しつつある件〉で書いたこととも通ずる。

ほんとうに切実な悩みにぶち当たっている人にこそ届く言葉、というものがあることを、清原氏へのインタビューは教えてくれる。

(2020年1月30日)

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