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老化に立ち向かう、シニア犬のドッグフードの選び方を考えてみる

人間と同じで、犬も長寿の時代になりました。その一方、衝撃的なデータも示されています。

「15~16歳の犬の35%は2つ以上の分野で認知障害をもつ」

人間と同じように、犬にもケアが必要です。でも、シニア犬のフードの選び方についての情報はあまりにも少ない。ステマし放題です。それはフェアじゃない。

「何が入っているものが良いのでしょう?」

「どんなものはダメなのでしょう?」

今回は、科学的な根拠(Journal of Veterinary Medicine,Topics in Companion Animal Medicineなど)に基づいてドッグフードを選ぶとしたらどうなるのか?を本気で考えてみました。

シニア犬をパートナーにする方は必見です。

栄養学者が考えたら当たり前でも、素人にはあまりにもわかりにくいドッグフード。真剣かつ客観的に考えてみたのでどうぞご覧あれ。

ハイライト
・AAFCO基準、FEDIAF基準、総合栄養食はやっぱり重要です
・ドッグフードを適当に保存する→それだけはやめたげて
・ω-3,ω-6や食物繊維、オリゴ糖を豊富に含むペットフードの勧め


■そもそも、どんなドッグフードを選ぶべきか?

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最低限の基準として、私は「AAFCO基準 or FEDIAF基準 or 総合栄養食」と書いてあるドッグフードを選ぶことをお勧めします。

「AAFCO基準」とは、米国検査官協会が定めた栄養基準を満たす商品。
「FEDIAF基準」とはヨーロッパの栄養基準を満たす商品。
「総合栄養食」は日本の基準を満たす商品。

とりあえず、一生その食事をしても生涯栄養不足にはなりませんよ~という基準だと考えてもらえたらOKです。

この基準は栄養がどのくらい入っているか?程度の意味を示すにすぎないので、基準を満たしているからと言って良いドッグフードとは言えません。

しかし逆に、この基準を満たしていない程度のドッグフードで、一生分の犬の栄養を賄えるかどうかは甚だ疑問です。

「天然」とか「最高の」という言葉をアピールしておいて、「AAFCO」や「総合栄養食」を否定しているヒトもいるようです。

彼らの主張は以下の通り。

”これらの厳しい基準を満たすために合成のビタミンなどを添加している場合があるから、気に入らない”

しかし、犬は体の中で勝手にビタミンを作れるわけではありませんから、この基準を満たさないドッグフードで育った犬は、ビタミン欠乏症などの病気を発症するリスクがあることを理解してください。

さらに、ビタミンは合成だろうが天然だろうが効果は変わりません。

例えば、風邪ひいたときに風邪薬飲みますよね。風邪薬なんて100%合成品です。でも私たちはそのせいで倒れたりしないじゃないですか。そういうことです。

ビタミン欠乏症など、栄養素の不足は明らかな問題です。

したがって、最低限「AAFCO基準」、「FEDIAF基準」もしくは「総合栄養食」と書いてあるドッグフードを選ぶべきでしょう。食が細くなりがちなシニア犬ならなおさらです。


■ドライフードとウェットフード

・ドライフードの特徴

ドライフードは何と言ってもコスパが良いのが特徴です。水分量が8~10%しかないので、腐りにくく長期保存に向くという優れた特徴があります。

カビや細菌の発生は、当然かわいいワンちゃんにとって病気の元です。カビや細菌は水分が多いところでしか増殖できないので、ドライフードは衛生的に大きなメリットがあります。

・ウェットフードの特徴

60~80%の水分を含む為長期保存には向きませんが、犬の食欲を効果的に引き上げる効果があります。したがって、高齢の犬や食事がうまく取れない犬にとっては、ドライフードよりもウェットフードの方が向いている場合があります。

ドライフードで喰いつきが悪くなったシニア犬にとってはとても良い選択になるかもしれません。


■栄養面で気を付けることはある?

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AAFCO基準の例

「AAFCO基準」か「FEDIAF基準」、「総合栄養食」と書いてあるものは、特に深く考える必要はありません。必要な栄養素が含まれていることがこれらの名前を名乗る条件だからです。

これらの基準を満たしていない場合、何百種類もある栄養素を一つずつ見ていく必要があります。とはいえ、栄養の素人にそれはほぼ不可能なので、やはり表示は大切です。


■保存状態で気を付けることはある?

ペットフードは油を含んでいます。油は体をつくる基本的な栄養素なので、必要なことなのですが、酸素と触れると酸化する性質があります。

酸化した油は、体に悪影響を与えるように働いてしまう為、油の酸化は防がなければいけません。特にドライフードは、長期間に及び開封状態で保存する必要が出てくるので、対策が必要です。見た目ではわかりにくいのでなおさらです。

ワンタッチで密閉状態を作れるような容器がオススメです。

冷蔵庫は基本NGです。外に出したときに結露して水分を吸収してしまいます。せっかくドライフードなのに、その水分が原因でカビや細菌が増殖する原因となる可能性があるのでやめましょう。


■シニア犬で一番怖い状態は・・・認知なんじゃないかなぁ。

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昔の犬に比べて、今の犬は栄養状態の良いものを食べています。医療だって進んでいますし、長生きする時代です。人間と同じなのです。

すると、認知機能が衰え、人間のように認知症になってしまう犬はどんどん増えています。このような症状は7歳~8歳を超えた犬に良く起こります。

ご飯を何度も食べたり、生活が昼夜逆転したり、徘徊したりと人間と同じような状態になってしまうのです。

2001年に行われたアメリカの調査(*)によると、

・11~12歳の犬の28%が1つ以上の分野で認知障害をもつ
・11~12歳の犬の10%が2つ以上の分野で認知障害をもつ
・15~16歳の犬の68%は1つ以上の分野で認知障害をもつ
・15~16歳の犬の35%は2つ以上の分野で認知障害をもつ

などのちょっと怖いデータが示されています。

生活を維持できないという恐怖は、人間と同じように、犬にも恐ろしいことです。自分らしい生き方を助けてあげるためには認知機能を維持するのはとても重要なファクターです。


■シニア犬の認知機能を維持するためにやるべきこと

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認知機能を維持するために何をするべきでしょう?

私たち人間なら、脳トレなど、積極的に自分の頭を使って機能が落ちないように努力することができますが、犬にそれは難しいですよね。

ですから、「食事を良いものに変える」ことがとても重要です。

2015年のJournal of Veterinary Medicine誌にて公開された研究では、犬も人間と同じように、食事によって認知機能にポジティブな影響を与えられることが示されました。

彼らは6か月にわたって「ω-3、ω-6不飽和脂肪酸」を豊富に含む食事を与えた犬のグループを作ったところ、脳神経細胞の成長を促すBDNFという物質の増加と、体に害を引き起こす酸化レベル(dROM)の低下を引き起こすことに成功しています。

したがって、シニア犬にとって重要な認知機能の維持のために、ω-3、ω-6不飽和脂肪酸を豊富に含む食事を摂っておいて損はないと言えます。


■んじゃー、結局何を選べばいい?

カナガンがオススメのドッグフードです。まずはその理由を説明します。

まず、カナガンはFEDIAF基準をクリアした商品です。栄養バランスや栄養素の不足はカナガンでは起こらないと考えてOK。FEDIAF基準は他の基準よりも厳しい管理法で、製造途中の安全チェックも行われているので、安心できます。

次に、「ω-3、ω-6不飽和脂肪酸」について。カナガンには量が明記してあります。他のドッグフードのほとんどは大事な栄養素であるω-3やω-6について全く書いておらず、入っていないものも多いと思われます。カナガンにはしっかり入っているので安心できます。

さらに、グルコサミンメチルスルフォニルメタンなど、関節に良い成分を含んでいることから、足が弱らないようサポートしてあげることができるでしょう。

そして、豊富な食物繊維であるオオバコや、フラクトオリゴ糖によって腸内環境を整えることが期待できます。フラクトオリゴ糖も不飽和脂肪酸と同様に、体の活性酸素を減少させるというデータが示されているため、とっておいて損はない成分と言えます。

注意すべき点は、栄養豊富すぎるので、食べ過ぎると下痢になったりすることです。少なめの量から試したり、普段のフードと混ぜて試すのもオススメです。

シニア犬で、食べる量が少なくなってしまった場合はむしろ、少ない量でたくさん栄養を摂れることはポジティブなことだと言えます。

さらに、ω-3,ω-6不飽和脂肪酸は酸化しやすいので、直射日光の当たらない、乾燥した場所で保管する必要があります。先ほど紹介した密閉容器などを使いながら、酸化を避けて保存していくことで、新鮮な状態を維持することができますよ。


カナガンほど薦められるわけではありませんが、ウェットフードでお探しの方にはButchもオススメです。これもω-3不飽和脂肪酸1.3%と明記されているので良い感じ。

ドライは食いつきが悪いというワンちゃんや、カナガンが合わないワンちゃんにオススメ。Butch単体であげたり、他のドライフードと混ぜて使えばデメリットをうまく隠せますね^^


まとめ

ドッグフードを選ぶときはとりあえず、「AAFCO基準 or FEDIAF基準 or 総合栄養食」のいずれかを満たすものを買っとくべき。基準を満たさないものを食べさせて、何かしらの栄養素が不足していても文句は言えません。

15~16歳の犬の68%は1つ以上の分野で認知障害をもつというデータがあることを考えると、シニア犬にとって、認知機能を保護することは非常に重要です。

その手段として、ドッグフードを使うことが最も手っ取り早い方法です。とくに良い成分にはω-3,ω-6不飽和脂肪酸があります。これらの良い栄養素を含むドッグフードを選んであげましょう。

保存の際は、酸化を避けるために密封容器を用意して、直射日光を避けて保存しましょう。人間だって、何日も前に空けたジュース嫌でしょう?少しでも新鮮な状態を維持してあげましょう。


おしまい

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引用

Zicker, Steven C. "Evaluating pet foods: how confident are you when you recommend a commercial pet food?." Topics in companion animal medicine 23.3 (2008): 121-126.

Neilson, Jacqueline C., et al. "Prevalence of behavioral changes associated with age-related cognitive impairment in dogs." Journal of the American Veterinary Medical Association 218.11 (2001): 1787-1791.

Sechi, Sara, et al. "An antioxidant dietary supplement improves brain-derived neurotrophic factor levels in serum of aged dogs: preliminary results." Journal of veterinary medicine 2015 (2015).

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