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「チェアリング / 何もしない贅沢」
私たちは大量のモノで溢れた社会で暮らしている。大小あらゆるモノが続々と生産されては消費されていく。街に出れば新しいモノが次々に目に入り、店舗の棚に延々と陳列されてゆく大量のモノに毎日包囲される。ある時、僕はそんな状況にもうこれ以上ついていく自信がなくなった。エコだとかグリーンだとかを配慮したわけではない。ただ単純にこの世の中にモノが多くなりすぎて選択することを放棄したという感覚。本当に自分が好きなものは何かということすら忘れさせる物量のモノや情報に対して、もうこれ以上自分自身の感性を摩耗したくないという思いがあった。
自宅から2キロほど歩いた場所に、武蔵野の面影を残す広大な森を発見したのはちょうど1年前。誰もいない森の中で太陽の日差しが木々の影を作り、住宅地や高速道路のそばであるにも関わらず静寂を保っていた。ブナの木が立ち並び、地面には苔が生え、茶色の落ち葉が絨毯のように心地よい場所。
「ここいいなあ。」
正直そう思った。この特別な僕だけの場所に、ただ少しの間だけ留まってたい。
「ここに椅子あったらいいなあ。」
こうして僕のチェアリング活動が始まった。
香川県父母ヶ浜で撮ったチェアリング動画 “With just one chair, the world becomes your living room.”