5月の木曜日「ケーキづくり」
昨日今日と、五月にしては暑い日が続いている。三〇℃越えと聞くと真夏の猛暑を想像してしまうが、実際は朝晩は気温も下がり、日中も日向で直射日光を浴びると流石に暑いが(当たり前だ)、日陰に入れば緩く吹く風の中にはまだ涼しさがあり、僅かに規格外な初夏といったところ。というのが昨日の感想だったけれど、今日はお昼過ぎくらいから、もんわりとした風を感じている。
日曜日は母の日で、その数日前から娘に「パパ、どようび、おしごとのあと、クリームとフルーツかってきて。おさらにクリームもって、そのうえにフルーツのせて、ママにプレゼントするから」と言われていて、一瞬「?」となったけれど、ようは母の日にケーキをプレゼントしたい、とのことだった。僕が「ケーキのスポンジは?」ときくも、「それはいらない」とのことだったけれど、一応、それも買っておいた。結果的に買っておいて正解で、初めての手作りケーキを無事にプレゼントすることができた。
しかし、正直にいって甘く見ていた。というのも、ホイップクリームは『トーラクのらくらくホイップ』なる、すでにホイップ済みの絞るだけのヤツがあること自体は知っていたけれど、買い物に行った土曜日は母の日の前日である。スーパーを二軒回ったけれど、どちらも売り切れで、ポッカリと商品棚に穴が空いていた。店員さんに聞くも、「ないです。普通のやつを混ぜて、百均とかにある絞り機を買うしかないと思います」という返答。最悪それしかないか……、と思いつつ、比較的大きい二軒目のスーパーに、手作りお菓子用の材料がまとまっているコーナーがあったので、ダメもとで探すと、牛乳と混ぜるだけで出来る粉末のクリームの素があったので、それを買った。ありがたいことに、絞り袋と口金も付いていたので、ことなきを得た。
翌日、プリキュアが終わり、早速作り始める。娘は「ママ、あさごはん、つくってあげるからまっててね〜!」と意気揚々だ。フルーツを洗い、いちごのヘタは僕が取り、娘もキッズ包丁で半分にカットしていく。正直かなり危なっかしかったけれど、なんとか全部切ってもらう。途中、僕が「ブドウに種が入ってないか確かめてみるね」とひとつ口に放り込むと、娘も真似して「たしかめる!」と言ってつまみ食いしていた。「こっちははいってなかったけれど、これははいってるかもしれない」と言って、また一個食べていた。「ケーキに使う分がなくなっちゃうよ」と言いつつ、スポンジの上にクリームを乗せて、そこにフルーツを盛り付けていった。写真をみれば分かる通り、ブドウとマスカットの比率が多いが、いちごが足りなかったわけではない。僕が「いちごいっぱい乗せないの?」ときくと、「だって、いちごはもったいないから」と言っていて、ようはあとで自分が食べたいからで、誰に似たんだか食い意地が張っていて微笑ましいな、と思った。
前日に僕が買ってきたお花と、娘が保育園で書いてきた似顔絵をプレゼントし、初めてのケーキづくりをした母の日は成功だった。