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ストレンジデイズ/Strange Days

『完璧な映画は存在するか』この問いに、どう答えれば良いか。答えは簡単で、実際に完璧な映画をひとつ差し出せば良い。では、完璧な映画とは? 唐突なリプライズ。

 キャスリン・ビグローが監督、脚本をジェームズ・キャメロンというアカデミー賞的にはまさに『完璧』なタッグ(しかも二人は元夫婦だ)をもってしても、完璧な映画というは作り得ないらしい。でもこれは批判じゃない。

 他人の五感を体感できるVR装置「スクイッド」が主なガジェットとして出てくる。一応、キーアイテム的な役割を与えられてはいるんだけれど、まぁ、そこはあまり気にしなくても良いのかもしれない。

 探偵映画というものを当時なりにアップデートしたような映画だ。ただ、クライマックスのカウントダウンのシーンは圧倒された。1999年12月31日。2000年問題(Y2K)、ノストラダムスの予言、ミレニアム。作中の未来がすでに過去になってしまった今観ると色々とツッコミどころはあるのかもしれないが、90年代後半の、未来予想としてのミレニアム、そのカオティックな雰囲気というのを良くも悪くも表現している(映画の公開は95年)。

 音楽も何気に良い仕事をしている。90年代後半はやはり混沌期だと思う。その後の時代に細分化されていくジャンルが、まだごった煮の状態だった。

 ダメな人にはダメだけれど、好きな人はすごく好き、そんな映画だと思う。僕自身、見返してみるまで、大晦日のシーンくらいしか覚えていなかった。真犯人が誰なのかも忘れていた。けれど、手元に置いておきたくなる。ときどき、また観たくなる。

 完璧な映画は、きっとつまらない。なぜなら、仮に完璧な映画があったとして、その映画は、その完璧さゆえに、一度見たら大満足してしまうだろう。それはそれで良いのかもしれないけれど、『映画が好きというより、映画が好きな自分が好き』な僕としては、たまに観返したくなる作品が必要だから。

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