4月の火曜日「4月になったらわが娘は」
早いもので四月も十日が過ぎた。最近は昼間は暖かいけれど、まだ朝晩は少し寒い。風が強いとまだまだ上着は手放せない。そんな感じだ。会社の年度区切りは三月なので、世間とは一ヶ月ずれているのだけれど、最寄駅で定期券購入の列に並んでいる人々を見かけると、ずれていて良かったな、と思わないでもない。みんなで一斉に同じことをするのが苦手なのは、こういうことがあるからで、良い歳をして天邪鬼な自分をどうかと思うこともあるけれど、昔から団体行動はちょっと苦手だ。
それはともかく、娘の保育園の方は新年度で、多少なりとも変化があった。一番仲が良かった子が別の園に転園した。最後の日に、みんなを代表して娘がお手紙を渡したらしいのだけれど、その際は感極まって泣いてしまったと、担任の先生から聞いた。先生も涙ぐんでいたし、それを聞いた僕も若干涙ぐんでしまった。
ともあれ、毎朝元気に保育園に行っている。雑誌の付録のプリキュアの目覚まし時計のアラームを自分で止めて、すすんでお着替えをして、朝の準備も自分からするようになった。まぁ、まだぐずるときもあるにはあるけれど、一年前と比べても格段に成長した。思い返せば一年前は、同じ系列とはいえ違う園になったので、慣れるまでは朝のお別れのときは毎回泣いていたのだ。
そんな感じで、今のところ朝は穏やかなのだけれど、昨日の朝、娘の支度を終えて僕が自分の準備をしている際に、テレビでYouTubeを見せていたのだけれど、時期的なものなのか、メルちゃんの人形劇みたいな動画で、卒園式の回をやっていた。無害そうなので、そのまま見せていたのだけれど、なんか様子が変だな、と思い髭剃り片手にリビングに戻ってみると、娘が泣いていた。シクシクといった感じではなく、うわーんといった感じで、一瞬ワケが判らなかったけれど、テレビからは『さよならぼくたちのようちえん』という定番の卒園ソングが流れていて、それを見て、なんだか寂しく(悲しく)なってしまったらしい。
感情豊かになったなぁ、と微笑ましくて笑ってしまったけれど、健気にも泣いている娘がちょっと不憫で、大丈夫だよ、と抱き寄せた。