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3月の金曜日「おりがみ」

 娘とケンカしてしまった。原因は些細なことで、それは折り紙だ。え? 折り紙で? といった感じだけれど、何ヶ月か前に買った折り紙の教本みたいなものがあって、折に触れて(折り紙だけに)、それを開いてはそこに載っているものを一緒に折っていた。初めは、犬とかウサギとかクマとか、簡単なものを折っていたのだけれど、段々と難易度が上がっていき、元々不器用な僕は次第についていけなくなってしまった。

 例えるなら、前述の動物たちの難易度は高中低でいうと低で、折り鶴が高の下くらい。鶴は僕も何度か折ったことがあるので、工程が多いけれどなんとかできる。しかし、他の難易度が高めのものは初見のものばかりで、なかなか難しい。『ここをこう折る』と図で示されてはいるのだけれど空間認識というか位置関係の把握が苦手な僕は上手く理解できないというか、折る前→折った後の間が上手く想像できない、といった感じだ。動画にしてくれたら、流石にわかるかもしれないけれど、それでも多分、三人称視点ではなく一人称視点じゃないと理解できないかもしれない。

 そんなもんだから娘に、「いっしょにおろ〜?」と言われても、僕自身が折り方を試行錯誤しながらやっているので、「パパ、さきにおらないで! いっしょにおって! おしえて!」と言われても僕だってわからない。「パパだってわからないんだよ〜」と繰り返しているうちに娘も不機嫌になってしまって、しまいにはお互いにイライラして、ケンカみたくなってしまった。夜だったので、娘の不機嫌も半分は眠さが原因だろう。最後にはテーブルに突っ伏したまま、ふて寝してしまった。でもまぁ、これは完全に僕が悪い。僕の方が大人なのだ。見かねた妻が「パパとココちゃん、もう折り紙の本、禁止ね!」という始末。面目ない。

 それでも次の日になって、「パパ〜、いっしょにおりがみやろ〜?」と懲りないというか、無邪気に言ってくれる娘は可愛い。しかし折り紙は苦手だ。だからというわけじゃないけれど、昨夜は簡単な紙飛行機を折って遊んだ。上手く折れると綺麗に飛ぶのが面白いらしい。妻が輪ゴムを出してくれたので、ゴムの力で飛ぶようにカスタマイズした。ゴム動力というわけではなく、ただゴムを指に引っ掛けて、カタパルト的に発射できるようにしただけだけれど。ビューンと結構な速さで飛んでいくのを見て、とても楽しそうだった。以来、工作の素材リストに輪ゴムが加わった。セロテープ、ハサミ、輪ゴムと、どんどん使えるアイテムが増えていき、作れるものが増えていく。こういうのって、楽しいよな、と僕もなんだか懐かしい気持ちになった。

 

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