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11月の金曜日「白い月」

 昨日は保育園のお芋掘りだった。去年と同じくバスで移動して、さつまいもをみんなで掘ってきたようだ。前日からすごく楽しみにしていて、当日、娘は一番に起きて、いつもはなかなか進まないお支度もさっさと終えていた。

 準備を終えて家を出る。エレベータを待っている間、娘がふと空を見上げると、白い月があって、「まだあさはやいんじゃない?」と言っていた。確かに娘はとても早く起きて身支度も済ませていたのだけれど、家を出る時間はいつもとそう変わらない。あんまり早く出ても僕も時間を持て余してしまうし、そこは大人の事情で調整していた。だから、なんとなく申し訳ないような気にもなる。保育園が近づくと、「もしかしたら、いちばんのりなんじゃない?」とも言うので、尚更そう思ってしまった。

 運悪く、その日は仕事が立て込んでしまい、帰りが遅くなってしまった。入浴を済ませて布団に入ることには、すでに娘は深い眠りに落ちていた。夜明け前に尿意で一旦目を覚まして(歳かな)、トイレから戻ってくると、娘が夢を見ているのか、二分くらいずっとクスクスと笑っていた。笑いながら何かを言っていて、そのときの僕は、そんなに楽しい夢なら笑っちゃうよな、と笑っている理由が思い当たるようなキーワードを聞いていたはずなのだけれど、すぐまた二度寝をしてしまって、何を言っていたのかは忘れてしまった。

 打って変わって今日は祝日なのに僕は仕事で、朝から祝日のくせに混んでいる電車に乗って職場に向かった。なんでこんなに混んでいるのだろう、と思いながら職場に着く。文化の日なので文化祭などで人出があるのだと気がついたのはお昼を過ぎた頃だった。初めて入ったラーメン屋さんで、夫婦で切り盛りしているこじんまりとしたお店だった。奥様の方は背中に一歳くらいの男の子を背負いながら作業をしていた。そうか、祝日だから保育園はお休みだよな。もしかしたら、通ってはいないのかもしれないけれど。味の方は普通だった。

 僕が文化の日なので華麗に文化的雪かきに従事しているあいだ、妻と娘は妻の父、娘からみたところのじいじとランチに行ったようで、なんと優雅に鰻を食べていたらしい。お昼過ぎに妻から画像が届いた。写真からでも伝わる高そうな店オーラ。ググってみると、鰻とふぐ料理のお店らしい。高級店だ。羨ましかったので、「鰻は絶滅危惧種なんだぞ」と精いっぱいの負け惜しみの言葉を返信した。

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