1月の土曜日「江ノ島へ」
さて、年も明けてそろそろ二週間が経つというころに、ようやく重い腰を上げて初詣なるものに行ってきました王木家。いや、歩いて五分の近所にも小さな神社はあるのだけれど、特段、信心深いわけでもないので、なんとなく先送りにしてきてしまった。この日も、特に初詣に行こう、と思って出かけたわけでもなく、なんとなくちょっとだけ遠出でもしようか……、といった感じに、これまたなんとなく目的地を江ノ島に決め、せっかくだからと江島神社にお参りに行ったのだった。
朝、気だるい雰囲気の中、最低限の掃除と洗濯などを済ませ、出かけても良いし出かけなくても良いし、という空気感をなんとか振り払い、家を出たのがギリギリ午前中の十一時過ぎ。電車に乗っても良いし、乗らなくても良いし、でもせっかくここまで来たのだから、乗っても良いかと駅の電光掲示板を見ると、おあつらえ向きな快速急行がちょうど来たので、飛び乗る。揺られること三十分弱。ちょうどお昼時に片瀬江ノ島につき、ホームにあるクラゲの水槽で記念撮影。お腹すいたね何食べたい? と娘に尋ねると、駅を出てすぐのハワイアンなハンバーガー屋さんが目に入り、「ここがいい!」というので、そこに決めた。ほぼ即決。おもての看板にあるサンドイッチの写真を指差して、「これたべたかったんだぁ〜」と言ったのが、可笑しかった。いやいや、初めて見たでしょ、というツッコミは野暮だ。もうすぐ四歳になる娘、最近は大人口調みたいなのに憧れがあるのか、こういうことをよく言っている。「これほしかったんだよね」とか、「むかし、コレコレこういうことしたよね〜」などと、子供なりに、大人というか年長者には自分にはない過去というか時間の蓄積があることを感じ取っていて、そういったことに憧れのような感情を抱いていることも感慨深い。
娘が指差したのはアボカドなんとかサンドだったけれど、子供にアボカドは微妙かもなと思い、そっとBLTサンドを注文し、僕と妻はチーズバーガーをそれぞれセットで注文した。ファストフードのハンバーガーとは一味も二味も違う、本格的というか本物のハンバーガーで、僕はパティのサイズアップをしたので、本当にアメリカンなドデカいスーパーサイズミーなハンバーガーが来たけれど、食べ応えもあって最高だった。値段もマクドナルドに比べたら三倍以上したけれど。あげく、娘が一人前を食べきれなかったので、サンドウィッチも半分くらい僕が食べたので、結構お腹いっぱいになった。
食事も終えたとはいえ、まだ駅前だ。島に向けて歩き出す。水族館には何度か来たけれど、島まで行くのは数年ぶりだ。島までの道で船が見えて「シーパトロールだ!」と言っていた。海上保安庁ではなく、多分パウパトロールのことを言っているのだと思う。海風が寒いかな、と心配したけれど、日差しもあってそこまで寒くはなかった。
島についてから、上の神社まで階段を登っていった。エスカーで行ってもよかったのだけれど、娘が階段で行きたいというので、三人で登った。終盤はさすがにキツかったけれど、子供の方が元気なくらいで、僕と妻はエスカーに乗れば良かったと少し思った。お参りをして、おみくじを引いて、来た道を降りながら、アイスを食べたりした。僕はお腹が結構いっぱいだったので、ひとくちもらうだけにした。
帰りの電車で少し寝て、カフェで休憩し、回転寿司を食べて家に帰った。年末年始はバタバタとしていて、思えば久しぶりの家族揃ってのお出かけだった。久々なのも相まって、結構クタクタになったけれど、悪くはない疲労感。みんなバタンキューって感じで寝た。でも寝る前に、少しだけ話す時間があって、楽しかったね、また行こうね、と話したのが、いちばん思い出になったような気がしている。