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男勝り教習所✴︎東場学園4✴︎
宝塚部内で最初に声をかけてくれたのは、私の次に身長が高かった三色階級の男役希望、三槓子だった。三槓子は小学生の頃から宝塚部にずっと憧れていて、何も知らない私に色々教えてくれる良い子だった。
様子がおかしくなったのは、初めて家に遊びに行った頃。三槓子は代々医者家系で自社ビル1棟が自宅。三槓子だけに建物は三階建てと言いたいところだが、実際は八階建てだった。おやつの時間には大マカロンを食べ、父の付き合いでよく社交界に出席するんだと沢山のパーディードレスを見せてきた。「そんなの初めて聞いたよ、凄いね!」と驚くと、お母様が怪訝そうな顔で私の家柄や両親の仕事について聞いてきた。濁せばいいものを私はペラペラと聞かれたことに答えた。むしろ少し尾ヒレをつけて話したかもしれない。両親が離婚していること、父が当時労働に意欲的でなかったこと、学力的に滑り込みで入学したこと。もちろん麻雀プロになった今は分かっている、素直は諸刃の剣。世の中素直だけでは食っていけない。とはいえひねくれすぎると夕刊フジ杯に一生出れなくなるから塩梅が大事だ。いい加減私も塩梅を覚えたい。
この日を境に三槓子はガン無視を決め込み、結局同じクラスでありながら高校生活3年間一度も口を聞くことはなかった。話しかけてもまるで天鳳に六段以下が存在してないかのような立ち振る舞いだった。貫禄の鳳凰民である。
この影響力は強く、他の部員にも伝染し私は宝塚部をやめなければならなくなった。こうして三槓子は見事一番背の高い男役の称号を手にしたのだが、3年後の卒業公演。ど真ん中でスポットライトを浴びながら大きな羽を付けて客席に手を振るのは彼女ではなかった。意地でも舞台は見に行かなかったが、その事実を人伝に聞いて黒い笑顔が渦巻いたのを覚えている。三槓子、今思い返しても名前通りの大クセ野郎だった。
とまあこんな形で私は宝塚部をやめ写真部に移行した。しかし天鳳位から声をかけられた効果はすさまじく、その後F4に選抜された。F4とは漫画『花より団子』でヒロインの周りに集うイケメン4人を指す。ここからこの物語は新たなステージへと突入する。
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