石川劇場、第二幕。
石川裕平。その人を、私はずいぶん長いこと追い続けてきたような気がする。彼の演技を見ると心が華やいだ。いや、私だけではない。彼の行くところでは、多くの観客が彼に喝采をおくっていた。試合でも、演技会でも、海外公演でも。
取材で見る彼は、ごく普通の大学生である。当時、同じフロアで練習していた福永将司さん、川東拓斗さん(二人とも後に日本一になる)の熱と比べると、飄々と練習しているように見えた。大学生になってからは種目別決勝の常連となっていたが、インタビューしても、「優勝したいです」とは言わず、「自分の演技ができれば」と言う。どうしても一番になりたいんだ、という強いモチベーションを持たない選手のように、傍目には思われた。
だがこれは、モチベーションが高い低いの問題ではない。おそらく彼は、自分を客観視する能力が高いのだと思う。自分が持っているもの、持っていないものを客観的に評価し、相対的に比較する。10代、20代でなかなかできることではない。「よく練習できた時の試合では、まったく緊張しません」とも言っていた。自分に過剰な期待をしない。だからこそ、緊張もしない。普段通りに、自分がやりたいと思う演技を。そして石川裕平はそれを実行し、観客の心を掴んだ。
石川君がNHKのテレビ体操にレギュラー出演するという。なんと見事な配役だろうか。現役時代からミュージックビデオに出演したり、新聞や雑誌にも登場した。卒業後も"The Force"のメンバーとして撮影に参加してくれている。
彼が大学4年の引退後に書いた記事の最後に、
「でも、もしまた観客の喝采を聞きたくなったら、石川劇場のアンコールの幕を上げてもらえないだろうか。」
と書いた。
NHKで石川君の体操が毎日のように見られる日々が来るとは。
まさに今、石川劇場の第二幕が上がろうとしている。
なお、石川裕平さんがNHK体操(みんなの体操)に登場するのは、以下の日時。(変更があるかもしれません)
月 午前 6時25分
火 午前 6時25分
午後 13時55分
水 みんなの体操 9時55分
金 午前 6時25分
みんなの体操 9時55分
土 午前 6時25分
日 午前 6時25分