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田中涼介君のこと

日本一を目指すトップ選手として

田中涼介君は、福島県の華舞翔新体操倶楽部出身。高校は男子新体操の名門である青森山田高校に進学。そして、青森大学では個人選手として活躍。いずれ日本一を争うことになるだろうと誰もが考えていた、トップレベルの選手だった。特に2022年東インカレのクラブでは18.425という高得点を出し、種目別優勝。個人総合でも準優勝という成績を残し、全日本インカレ、ジャパンでの優勝争いが期待されていた。

しかし2022年6月、全日本インカレ前の練習中に頸椎損傷の怪我を負い、鎖骨から下が麻痺状態になった。

涼介君の決断

19歳の涼介君は、その事故について、そして自分の現状について、SNSで公表することを自ら決断した。華舞翔の先生方を中心として、支援プロジェクトが計画されている。(記事の最後にアカウントへのリンクあり

自分は、「楽をしたい」「贅沢をしたい」「選手の演技を見て楽しみたい」等々、欲望のみで生きているような大人だ。そんな自分にとって、男子新体操という競技に打ち込む選手たちは、尊敬の対象であった。取材で会う選手たちの礼儀正しさ、真面目さ、ひたすらに競技に打ち込む純粋さ。

そんな彼らには、一人残らず幸せになってもらいたい。それなのに、なぜ神様はこんなことをするのか。

涼介君のお兄さんである田中啓介さん(華舞翔→埼玉栄高校→国士舘大学出身)のメッセージを引用させていただく。

涼介がこのような状態だからこそ、涼介のために出来ることを新体操界全体でしていきたいです。
いつかまた歩けるようになって笑顔で戻ってこれるように願い、祈り続けていただきたいです。
涼介の怪我を意味のあるものにするために。
涼介の頑張りや覚悟を証明していくために。

親思いの田中三兄弟

啓介さんは、昨年の井原フェスティバルでご両親へのサプライズ演技をした。思いがけずご子息の演技を見ることができて涙するご両親の姿に、観客もまた涙した。

田中家の末っ子である田中紳介さんも当時井原高校にいたが、現在は国士舘大学へ進学し、啓介さん・涼介さん同様、個人選手として日々練習を続けている。

左:紳介さん 右:啓介さん

ちなみに田中家は5人きょうだいであるが、男子新体操の強豪校である県外の名門高校、そして私立大学へと3人のお子様たちを進学させたご両親のご苦労を思うと、ファンとして足を向けて寝られないようなご一家である。

右から紳介さん、お父様、啓介さん。保護者は裏方のスタッフとしてフェスティバルを支える。
啓介さんのサプライズ登場に涙するお母様。啓介さんは「16年間支えてくれた両親には感謝しかありません。ジュニアの時から毎日送り迎えをしてくれて、ご飯も作ってくれて。僕だけじゃなく、涼介も紳介も面倒見てくれて。」と語った。

スポーツを観戦する者として

男子新体操に限らず、スポーツの練習には、とりわけトップレベルで競技をしていく中には、多くのリスクが存在する。そのリスクを減らしていくために、現場では様々な努力がなされていることと思うが、そのリスクを防ぎきれず、このような辛い結果を生んでしまうこともあるのだと思う。そしてそれに対して闘うのが今の涼介君の立場なのだとしたら、競技を楽しませてもらっているファンとして、その闘いを支援していきたい。

どうか皆様、涼介君応援プロジェクトのアカウントをフォローして、支援の輪の拡大につなげていただけますように。

そして願わくば、ご一緒に涼介君の回復を願ってくださいますように。
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