<その7>ドッグランのインコ 中 (追跡編)
待ちに待った2022年9月17日土曜日。木曜と同じく朝6時半ぐらいに現地に着きました。
まずはまっさきに、木曜にインコさんを発見した木を探しました。
が、いませんでした。鳴き声も聞こえず。「やっぱりいなくなっちゃったのかな」と、どんどん不安になりました。
落ち込んでも仕方がないので、気を取り直して初心に返ろうと思い、ドッグランに戻って、またエリアとエリアの間の通路を歩きながら耳を澄ますことにしました。すると、なんとなくかすかにピュルピュルと声がするような気がしました。またまた願望の反映かもしれないと思いつつも、諦めきれずに周辺をぐるぐるしていたところ、ドッグランの一番奥のエリアあたりから、気のせいではなくて、実際に声がしていることを確認しました。
イタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!
インコさんはドッグランの奥のきわにある藪の中にいました。私は心底ほっとしました。この時に結構近づいて写真を撮ることができたので、2日前はただのシルエットだったインコさんのボディの色を、ちゃんと肉眼で確認できました。
そのうちインコさんは藪から飛んで、ドッグラン内部の木に移動し、さらにまたどこかに飛んで行ってしまいました。私はドッグランの周りを走りまわって探しました。
この日は、ドッグランの隅にあるベンチに、ご老人が座っておられました。そのご老人に「何か探しているの?」と聞かれたので、インコを探している旨をお伝えしたところ、インコさんをさっき見たとおっしゃって、方向を教えてくださいました。
インコさんは、この日のこの時間は、ドッグランのあちこちの、そんなに高くない木を飛び回って移動しているようでした。時々、2022年9月14日水曜日昼の目撃情報の写真にあったように、ドッグランのフェンスにとまって、メヒシバの実をつついていましたが(※1)、私が特別近づいたりしなくても、フェンスにとどまることはなく、短時間で飛び立つことを繰り返していました。
インコさんがあちこち飛んだ後、この日最初に見つけた地点付近に戻った時だったか、見失っている時だったか、既にインコさんがムクドリたちと合流し始めた時だったか、もう詳細は忘れましたが、ともかく私がドッグラン付近にいた時に、一人の人影が近づいてきました。私のTwitterの投稿を見ていらしてくださったMさんでした。
☆
それからはふたりでインコさんを追いかけました。インコさんは今まで1羽でいたくせに、急にムクドリたちと行動を共にし始めました(※2)。
ムクドリたちは群れとなって、木立から木立へとどんどん移動していきました。インコさんはその群れを追うように行動していました。飛び立つタイミングが他のムクドリたちより遅く、「あ、行っちゃうの?」と気が付いてから、慌ててついていく感じです。
そんなインコさんを見ているうちに、小学校の教科書に載っていたスイミー』を思い出しました。あるいは『醜いアヒルの子』。ストーリー云々ではなくて、1羽だけ違うのが混じっているというところからの連想です。
インコさんは、一生懸命群れと同化しようとしているのに、はた目から見ると、ちっとも同化できていません(超目立つ&常にびりっけつ)。そんなところが何とも愛おしいと思いました。
私とMさんのふたりは、インコさんをこの状況下で捕まえられるとはまったく思っていませんでしたが、いったん見失ってしまうと、見失ったまま今日という一日が終わってしまうかもしれないことを恐れていたので、ムクドリたちとインコさんが飛び立つたびに、ダッシュで後を追いかけました。よい大人が汗だくで、靴を泥だらけにして、「こりゃ、めちゃくちゃいい運動ですね」なんて会話までしていました。
ムクドリとインコさんが地面に降りてしばらくたたずんでいるときは、追いかけるスピードをぐっと緩めてそーっと近づき、驚かさないように気をつけながら見守っていました。
本音を言えば、インコさんが地面にいる時にも何とか捕まえる方法があったら、捕まえてみたいです。でも現状として、今のところ地面にいる子をうまく捕まえる方法がよく分かりません。
今までの経験からしても、地面にいる子に対しては、しゃがまないと何もできないけど、しゃがむタイミングで(その風圧とか気配により)だいたい飛ばれてしまうので、手の出しようがないという感じでした(※3)。
☆
そのうち、インコさんはムクドリの群れとともに、道路の反対側にある某球団の練習場のほうに行ってしまいました。練習場内にも高い木があり、ムクドリたちとインコさんはそこにとまったり、地面の草むらになっているところに降りて何かをつついたりしていました。
練習場の入口には、お目当ての選手の出待ちをしている人が2、3人いました。しかし私たちが熱烈に出待ちをしている相手は、✨インコさん✨でした。
☆
やがて、インコさんは、ムクドリの群れからは外れて、1羽だけでドッグランに戻ってきました。今までスズメやムクドリと目撃された子でも、本当にずーっとべったり一緒という子はほとんどいなくて(※4)、だいたいの子は、それなりの時間を追いかけていると、1羽になる時が必ずありました。このインコさんも、そういう気分になったのでしょう。
インコさんは、1羽になってドッグランの中にぽつんと生えた木にいました。その時だったと思うのですが、木曜日にもいらしてくれたTさんがやってきました。それからは3人で見張りはじめました。
☆ ☆ ☆
※1 フェンスに止まった方が、高さ的にメヒシバの実が食べやすくなるのです。インコさんはホバリングして食べるわけにいきませんからね。
※2 私はこのあたり(インコさんがムクドリと合流する少し前あたり)から、写真を全く撮っていません。走っていてそれどころではなかったというのもありますが、写真を撮ろうとするとそちらに気を取られてしまい、捕獲に集中できなくなるのが嫌なのです。プラス、捕獲成功の願掛けのような気持ちもありました(やりたいことを我慢して願掛けするっていうやつ)。
記録のために写真をたくさん撮って画像を残したい気持ちは大きいのですけどねえ(;_:)
※3 本当にほとんど飛ばない子だったら近づいて上から網をかぶせることもできるかもしれませんが、私の場合は今までそんな子に出会ったことがありません…。
※4 唯一、一日中スズメといたのは、2021年11月に保護した志木市中宗岡のセキセイさんだけです。しかしその子も、さすがにねぐらはスズメと一緒ではなかったように思います(朝、1羽だけ違う方向から飛んできたりしていた)。迷子の鳥さんが、他の野鳥さんとどのような関係を築くのかは、これまた研究してみたいテーマですね。
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