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<その5>水路のオカメインコ 上(遭遇編)
<捕獲経験4>というのを書こうと思っていたところに、この事件が起きたので、記憶の新しいうちにこっちを書きます(飼い主様承諾済)。
ところで、「捕獲経験」という言い方をしていますが、それは、「捕獲の現場に立ち会った経験」という意味であり、捕獲の部分を私が必ずやっているわけではありません。この<捕獲経験5>も、捕まえてくださったのは、偶然現場に居合わせた✨神✨のおじさまです(おじさまも掲載承諾済)。
☆
コロナでステイホームを意識した中のゴールデンウィークであるという影響もあるのでしょうか。埼玉県志木市で、オカメさんとセキセイさんが、ゴールデンウィークのさなかに1日違いでそれぞれ迷子になってしまったので、私はボランティアで捜索をしていました(偶然その①)。
いつも、近隣で迷子が発生すると、迷子になった日から3日目ぐらいまでは、ついでがなくとも、外に出て見回るようにしています。
現場が近く、迷子になって本当にすぐであれば、早朝も「朝飯前捜索(`・ω・´)キリッ」(※1)と称して、自転車で見回っていました(出勤の日は朝早く起きるしか捜索する時間が取れないという理由もあり)。
2022年5月7日土曜日の早朝のことでした。この日は曇っていて明るくなるのが少し遅かったため、5時半ぐらいに家を出ました。家を出るときに、雨が降りそうだったので、雨合羽を持っていくかどうかで悩みました。しかし、雨合羽は重いから小雨程度なら着たくないなと思って、万が一降ってきたらいったん家に戻ればいいと判断し、持たずに出発することにしました(偶然その②)。
この日はセキセイさんが迷子になった方角の捜索をすることにし(偶然その③)、古いタブレットに入れたセキセイさんの鳴き声を鳴らしながら、自転車で付近をぐるぐるしていました。
しかし途中から雨が結構降ってきて(偶然その④)、「これは合羽がないとさすがに厳しい」と思い、やはり一度家に戻ることにしました。
家に戻る時に、ついでに昨年11月にみんなで頑張って迷子セキセイさんを捕まえた田んぼを通ろうと思いました(偶然その⑤)。その田んぼ周辺は、国道が通る予定があってずっと工事中のため、時々通って工事の進捗状況を確認していたのです。
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右手が迷子セキセイさんがいた田んぼ
この約5分後にオカメさんに遭遇
「工事がどこまで進んだかな」と見ながら田んぼを通り過ぎ、そこを通った時にはだいたい曲がる道を何気なく曲がらずに、まっすぐ行くことにしました(偶然その⑥)。
まっすぐ行った先で交わる道を曲がってしまっていたら、オカメさんに会うことはなかったのですが、その道は、幅が狭いのにバスも通るところなので、万が一大きい車が来たら恐いから嫌だという心理が働き、道を渡り切って行きたい方角と逆側に少し進んだところから入れる、普段はめったに通らないさらにもう1本先の道を行くことにしました(偶然その⑦)。
そのもう1本先の道に入ろうとしたところで、右前方の方角から、何やら鳥の鳴き声がしてきました。その鳴き声は、昔一緒に暮らしていたオカメさんが爪切りのために捕まえられたときに嫌がって鳴く声に似ていました。
「あれ?オカメちゃんの声?どこかの家でオカメちゃんでも飼っているのかしら」と私は思いました。オカメさんも同時に捜索していたくせに、その時すぐに迷子のオカメさんだとは思いませんでした。
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木々の下に水路があります
(これは後日撮った写真)
次の瞬間に、黒い大きな鳥が白っぽい鳥をすごいスピードで追いかけているのが見えました。鳴き声は、その追いかけられている鳥のほうが発しているようでした。
(ん?カラス!? え?え?)
2羽は、チェイスを繰り広げながら、道路の脇の空き地を挟んだ先にある水路のほうにひゅーんと下降していきました。私は、とっさすぎて状況がすぐには飲み込めなかったのですが、とりあえず止めなきゃいけないということだけは悟って、空き地の隣の臨時駐車場(※2)の入り口まで自転車を走らせ、そこに自転車を乗り捨てて、身体だけでそちらに走っていきました。
(ちょっとやめて~!)
私は水路の脇にしゃがんで、2羽が降りて行った水路のほうをのぞき込みました。カラスの攻撃がやまなければ小石でも投げようかと思って、足元の砂利をつかみましたが、幸いなことに、私が駆け寄ってきたことで、落ちた白い鳥に向かっていたカラスは、上向きに方向転換して逃げていきました。
カラスが去った後、白い鳥が、水路の端の水のないところに生えた草の上に落ちているのが見えました。もう鳴き声はまったく発しておらず、胴体着陸した飛行機のような恰好をしていて、しばらく見つめていても、微動だにしていませんでした。
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だいたいこのあたりに落ちました
(これももちろん後日撮った写真。
アヤシイ人影が!)
(そんな、間に合わなかった…!?)
私は脱力してしまいました。
(やっぱりオカメ?オカメちゃんのほうを見つけたのか?でも白い?白いオカメ???)
同時に私は頭が混乱しました。というのは、私が捜索していたオカメさんの身体の色は灰色のはずなのです。どうしてここに白いオカメさんがいるのか、さっぱり分かりません。
(まさか別の迷子を見つけた???こんなことってあるの!?)
この子がどこの家の子かは分からないけども、とにかくカラスに襲われているオカメインコに遭遇したことは確かなことであり、飼い主様のために写真を撮って、場所を確認しておかねばならないと思いました。
何より、この子が大けがをしているにせよ、亡くなっているにせよ、この子の身体を水路から引き上げなくてはいけません。
水路の幅は広くなく、水量もさほどありませんでしたが、三方がコンクリートで固められていて、簡単に降りられるようなところではありませんでした。オカメさんの身体のピックアップを一人でやるのはとても無理なので、誰かを呼ぶ必要がありました。
なのに私は、身一つで駆け出してきたため、写真を撮ったり場所を確認したり助けを呼んだりするための文明の利器・スマホを持っていませんでした。私は一度スマホを取りに、自転車のある所へ戻らなくてはなりませんでした。
自転車の位置まで走って戻り、スマホを手にしたところ、またオカメさんの叫び声が聞こえました。カラスはもう視界になかったので、既に去ったものと思い込んでいましたが、カラスは去っていなかったのです!
しまった!
と思いましたが、私の軽率な行動のせいでカラスの2回目の襲撃を許してしまいました。
オカメさんはカラスの襲撃を受けて、ぽちゃんと川の中に落ち、水につかりながらバサバサと反対側の岸に逃げ、私が慌てて戻ったことによってカラスが去った後には、立ち姿で呆然としていました。
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どうしよう…
2回目の襲撃によって、皮肉にもオカメさんが生きていることは分かりましたが、さらに傷が増えた可能性があり、一刻の猶予も許されない事態になってしまいました。これでオカメさんが本当に死んだら私のせいです。
その場を離れる前に、カラスの現在位置を確認するべきでした。現に、2撃目を終えた今も、去ったとは言っても比較的近くの水路上のパイプにとまってこちらの様子をうかがっていました。
私は、今度こそ本当にカラスを追い払わないといけないと思い、オカメさんのいる場所から離れてカラスの方につめより、目力(`・ω・´)を発揮して「悪いけどあの子は勘弁して」と気合を入れて頼みました。
カラスは頭がいいので分かってくれたのか(※3)、変な人間が来たからうんざりしたのか、諦めた様子でさらに遠くの木の枝に移動しました。
これならもう大丈夫だろうと判断し、私はオカメさんのところに戻りました。オカメさんは相変わらず同じ場所で同じ格好のままになっていました。一応生きてはいるようですが、やはり鳴き声を発することはなく、ただただ呆然としています。
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私はスマホで自分の現在位置をスクショして、田んぼに現れる迷子セキセイさんの時に一緒に頑張った保護仲間のMさん・Kさんと、迷子発生情報を伝えるといつも捜索をしてくださる近くにお住まいのOさんに、「ヘルプー」とDMしました。早朝(朝6時ちょい過ぎ)だから反応が遅いことは覚悟の上でした。
一人じゃどうしようもないけど、皆さんすぐには来られないだろうし、どうしようかなあと悩みながら、何気なく振り返ったところに、いつの間にかワゴン車が停めてあるのが見えました(偶然その⑧)。運転席に乗っている男性がこちらを見ているのが分かります。
私が不審だから見られているのだろうなと思いました。しかし、その表情から、男性がネガティブな感情は抜きでこちらを気にしているのが伝わって、なんとなくこの人なら助けてくれそうだと感じ、私は、車のほうに近づいていきました。
☆
※1 「朝飯前捜索」は、車も人も少ないのでおすすめです。特に、迷子にしてしまってすぐの2日間は、早朝に捜索することをおすすめします(もちろん近所迷惑にならないよう注意しましょう)。
※2 近隣で大規模な工事があるので、ここは、工事関係者の方々が車を停める臨時駐車場になっていました。✨神✨のおじさまもその関係者のおひとりでした。
※3 以前、Twitterで、小鳥がカラスにくわえられても、人間がカラスにお願いすれば放してくれることがあると教えていただいたことがあるのですが、実際その通りで、カラスにはちゃんとこちらの意図が通じている感じがしました。
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